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World | 2017年 04月 18日 11:34 JST
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ソマリアの少女、飢える一族救うため失った自由と夢
4月10日、干ばつに襲われたソマリア南部の村で、アブディル・フセインさんが家族を飢餓から救うために残された最後のチャンスは、14歳の娘ゼイナブさん(写真)の美貌だった。4日、ソマリアのドーロで撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
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Katharine Houreld
[ドーロ(ソマリア) 10日 ロイター] - 乾ききった低木地の広がるソマリア南部の村では、井戸が涸れ、家畜が死んでいった。そんな苦しい状況下で、アブディル・フセインさんが家族を飢餓から救うために残された最後のチャンスは、14歳の娘ゼイナブさんの美貌だった。
ゼイナブさんは左から2番目。3日、ソマリアのドーロで3日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
年配の男性が昨年、ゼイナブさんとの結婚支度金として1000ドル(約110万円)を渡すと申し出た。エチオピア国境に近いドーロの街に親族もろとも引っ越すには十分な金額だ。ドーロでは、国際支援機関が壊滅的な干ばつから逃れてきた各世帯に食料と水を供給している。
だが、ゼイナブさんは結婚を拒んだ。
ソマリアのドーロで2日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
「死んだ方がまし。茂みに駆け込んでライオンに食べられた方がまだいい」と黒い瞳を持つ細身の少女は、高く柔らかい声で語った。
「そうすれば、私たちはここに留まって餓死し、動物たちに骨まで食い尽くされることになる」と彼女の母親は言い返した。
10代の少女とその母親が交わした会話は、2年に及ぶ干ばつを経て、ソマリアの家族たちが突きつけられている典型的な選択だ。「アフリカの角」に位置するソマリア全域で、作物は枯れ、白骨化した家畜の死体が散乱している。
この災害は、アフリカから中東にわたって2000万人の住民を脅かしている飢餓と暴力の一部にすぎない。
ソマリアのドーロで3日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
国連によればソマリアの人口1200万人の半数以上が支援を必要としている。2011年にも似たような干ばつが発生し、何年も続く内戦によって状況がさらに深刻化したため、26万人が命を落とすという世界的にも大規模な飢饉が発生した。現在この国は、ふたたび飢饉状態の瀬戸際まで追いやられている。
犠牲者は今のところ数百人程度だが、3─5月も降水量が改善しなければ、その数は急増するだろう。見通しは楽観を許さない。
ソマリアのドーロで2日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
米国のトランプ大統領が国際援助予算の削減をちらつかせるなかで、国連は、ソマリア、ナイジェリア、イエメン、南スーダンの4カ国における干ばつと紛争により、第2次世界大戦以降で最大となる人類の集団災害が現実化しつつあると指摘する。
オブライエン国連事務次長(人道問題担当)は3月、安全保障理事会に対して、「私たちは歴史の臨界点に立っている」と述べた。「国連が創設されて以来、最大の人道的危機に直面しているのだ」
国連は7月までに44億ドルの資金を必要としているとオブライエン事務次長は語る。だが、これまでに国連が受領したのは5億9000万ドルに過ぎない。
ゼイナブさんの6歳の妹。4日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
<辛い選択>
統計数値には表われないが、家族たちは日々、生き残るために胸を締め付けられるような選択を余儀なくされている。
フセインさんは、ゼイナブさんの自由を、彼女の姉妹の生命のために売り渡した。
アブディル・フセインさん。4日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
「とても辛い気持ちだ」とフセインさんはロイターに語った。棒とボロ布、ビニールシートでできた粗末なテントには、彼女と14人の親族が身を寄せ合っている。「あの子の夢を終わらせてしまった。しかし結婚支度金がなかったら、私たちは全員死んでいたはずだ」
ゼイナブさんの手は染料の色に染まり、10代の子供らしく、自分でした落書きの跡がある。ぴったりとしたスカーフを頭に巻き、一番下にラインストーンで装飾を施したズボンの上に、長い淡褐色のスカートを履いている。内に秘めるのは鉄のように強固な意志だ。彼女は英語の教師になりたがっている。学校を卒業したいと思っている。彼女は結婚などしたくないのだ。
「私が求めているのは、こんな状況ではない」と彼女は言う。2歳の甥は裸で砂の上に横たわり、その弟である赤ん坊が弱々しく泣いている。
化粧をするゼイナブさん。4日撮影((2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
ゼイナブさんの夢の引き換えとなったのは、20人の姪や甥たちの命だ。彼らの母親はゼイナブさんの3人の姉で、若くして結婚したが、いずれも夫に死別するか離婚している。他にも、心配事でやつれた兄や、すきっ歯の妹、それに中年にさしかかった両親がいる。
かつて一家は牛やヤギを飼い、3頭のロバを馬車につないで移動手段として使っていた。だが家畜たちは死んでしまい、彼らがこの状況から逃れるための唯一の希望はゼイナブさん自身となってしまった。
皿を洗うゼイナブさん3日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
1ヶ月にわたって彼女は結婚を拒否し、ふさぎ込み、部屋に閉じ込めておくことを家族が忘れたときには逃げ出した。だが結局、家族のあまりの困窮ぶりに、彼女の気持ちは折れた。
「娘に強制したいとは思わなかった」と母親は憂鬱そうに言う。心労のために額には皺が刻まれ、娘は硬い表情のまま隣に座っていた。「ストレスで眠れなかった。あまりにも目が疲れていて、針に糸を通すこともできなかった」
3日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
<結婚>
支度金を受け取り、祝福を受けて結婚は成立した。ゼイナブさんは3日間、婚家に留まった後、そこを逃げ出した。
家族が自動車を借りて40キロ離れたドーロに移ったとき、ゼイナブさんも同行した。彼女は地元の学校に入学した。簾(すだれ)で壁を作り波形の鉄板で屋根をふいた教室には、教師が10人、生徒は約500人いた。
夫は後を追ってきた。
「彼は、自分を拒むなら金を取り戻さなければならない。さもなければ力ずくで彼女を取り戻す、と言った」とザイナブさんは静かに語る。「金を返せ、さもなければ夫としてお前のそばにいる、というメッセージを彼は私に送ってきた」
家族には支度金の一部でさえ返済することはできない。彼らのわずかな財産は、シミの付いた発泡素材のマットレスが2枚、調理用の鍋が3つ、その場しのぎのテントを覆うオレンジの防水シート、たったそれだけだ。他には何も売るものはない。
3日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
そこで、ゼイナブさんの英語の教師であるAbdiweli Mohammed Hersiさんが仲介役を買って出た。干ばつのために学業を諦める生徒を彼は何百人も見てきた。
<結末>
Hersiさんはゼイナブさんを地元の支援団体のもとに連れて行き、彼女をイタリアの支援団体に紹介した。欧州連合(EU)の資金提供者と一緒に視察に訪れていた地域コーディネーターは、介入を決意した。
「この少女のために何かしなければならない」。祈祷への呼び掛けが屋根を通して聞こえてくるなか、説明を聞くために集まった同僚たちのために茶を注ぎながら、Deka Warsameさんはそう語った。「さもなければ、毎晩レイプが行われることになってしまう」
彼女のスタッフは献金を募り、支度金の返済に足りるだけの現金を集めた。そしてゼイナブさんに、支援団体が両家の男性会合で仲裁を行うと語った。彼女の夫が証人の前で離婚を認めるならば、彼は支度金を取り戻すことができる。
それを聞いて、うつむいていたゼイナブさんは、さっと顔を上げ、 「私は自由の身になるの」と尋ねた。
4日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
(翻訳:エァクレーレン)
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個人消費に焦点当て、中国市場でシェアトップに
トランプが強くする中国経済
日本ペイントホールディングス 田堂哲志社長
2017年4月18日(火)
田村 賢司
中国市場の成長が鈍化していることに注目が集まる。しかし、個人消費は拡大しつつある。これに焦点を当てた日本ペイントは、住宅内装用塗料でシェア1位になった。トランプ大統領が“攻撃”する元安について現地企業には影響がないとする田堂哲志社長に営業戦略を聞いた。
中国の住宅内装用塗料市場でシェア1位になっている。日本企業では数少ないシェアトップですね。
田堂:中国は、一戸建て、マンションとも、住宅の壁を塗装します。壁紙を使う日本と異なり、塗料の需要が大きい。
田堂 哲志(たどう・てつし)氏
1952年7月生。77年、同志社大学卒業。83年4月、日本ビー・ケミカル入社。2009年6月、同社社長就任。13年6月、日本ペイント取締役上席執行役員に。15年4月、日本ペイントホールディングス社長就任(写真:鈴木愛)
それだけではなく、沿海部などでは最近、生活レベルが上がったためにリフォーム需要が出てきました。狙いは住宅の資産価値を維持することだと思います。リフォームの際にも塗料を使います。
こうした動きを含め、中国の塗料需要は、2013年以降も年率8%で伸びています。輸出の伸びが鈍化し中国経済全体の成長力が落ちたように言われますが、消費市場は変化しています。
おっしゃるように当社は中国の住宅内装用塗料で、2011年頃からシェア1位になっています。中国市場においてシェアNO.1になっている日本企業はあまり例がないのではないでしょうか。
原料調達は国内。元安の影響はほとんどない
どうやってシェアNO.1を達成したのですか。
田堂:重要なのは、市場戦略をしっかりと立てて実行することです。当社が中国に進出したのは1992年。その当時は、欧州の大手が圧倒的に強かった。そこで、まずブランドをしっかり確立しようと考え、パートナー企業と一緒になって「立邦塗料」というブランドを立てました。中国人はブランド好きだからです。
思い切った広告を展開し、手応えのあった地域に集中的に営業をかけ、足場を築いていきました。平行して、専売店や併売店などの販売網を、そうした地域から全国に広げました。今、専売店は3300、併売店は4万2000にまで増えています。
2つめの戦略は、設計から施工、メンテナンスまで一貫して手がけることで、製品・サービスの質の高さを印象づけることです。3年前に高価格帯の市場から着手しました。これもブランド戦略です。高価格帯の市場でブランドを確立し、中間層にも徐々に浸透させていったわけです。店舗網はそれに伴って増やしていきました。
最終的に実質見送りとなったようですが、米国のドナルド・トランプ大統領は元安を問題視し、いったんは「中国を為替操作国に認定する」とまで言いました。元安は輸出には追い風ですが、輸入物価の高騰につながります。影響はないのですか。
田堂:中国は、これまで経済成長の中で、皆さんが考えるよりずっと多様な産業が育っています。そのおかげで、塗料原料の相当部分は中国国内で調達できるようになっており、あまり問題はありませんね。そこはやはり市場規模の大きさですね。
資本規制についてもよく聞かれます。配当の送金は事前に認可を取れば問題はありません。それに、我が社は基本的に、現地で稼いだ利益は現地に投資しているので、大きな障害にはなっていません。
中国政府は、環境保護に力を入れ始めています。その対応はブランド価値に影響しますか。
田堂:実は我々は、環境に優しい水性型塗料を早い時期から売り出しています。この姿勢もブランド価値の向上に貢献したと思います。
こうした着実な販売戦略が効果を上げるのに伴って工場も増やしてきました。全国に5カ所のマザー工場を配置し、その下に地域中核工場を7カ所、さらにその下に小型工場などを17カ所、計29カ所の生産拠点を張り巡らしています。これは、顧客の需要に素早く応えられるようにすることで、さらに浸透しようと考えた結果です。
施工業者のための学校まで作った
顧客のニーズにきめ細かく、素早く応える仕組みを作った。
田堂:施工まで手がけているとお話ししました。これを実現すべく、地場の施工業者に技術を習得してもらうため、5年前に学校まで作りました。中国全土に16校を設け、塗料の知識や施工技術を業者の方々に教え、卒業証書まで出しています。
それまで技能を認定する機関は中国になかったから、当社の学校を出たことは彼らにとって技能の証明になり、顧客にも業者にも価値のあるものとなりました。当初は無償だったものを昨年から有償にしましたが、それでも学びたい人が来るまでになっています。
東南アジア諸国でも同様の戦略で、個人と企業市場を攻めています。タイ、ベトナムでは、自動車や二輪車市場で大きなシェアを獲得。シンガポールやマレーシアでは住宅用で非常に強くなりました。
アジア市場では、シンガポールの投資会社、ウットラムにTOB(株式公開買い付け)をかけられたことがありました。2013年のことです。当社とウットラムは50年来の付き合いで、合弁会社を設立する仲でした。この件は、話し合いで決着させました。合意内容は、ウットラムが当社に39%出資する、アジアに展開していた合弁会社は当社の子会社にするというものでした。
これにより、当社の売上高は2015年度、一気に世界4位に浮上。ウットラムとも協議し、今後の成長に伴って、ウットラム側は出資比率を下げていくことになりました。中国市場は大きく変わりつつあります。内需を捉える戦略をしっかり立てていけば、まだ可能性はあると思います。
このコラムについて
トランプが強くする中国経済
4月6日、米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席が初めて会談した。
トランプ大統領はかねて中国で作られる安価な製品が米国の雇用を奪っていると主張。
中国製品に高税率の関税をかけると公言してきた。
会談中に米国はシリアを攻撃。
米中の懸案に対する具体策は乏しく、両国の溝が埋まったとは言い難い。
モノの貿易高だけで60兆円を超える世界1位と2位の経済大国の関係にヒビが入れば、
両国だけでなく世界全体が大きな影響を受ける。
それでなくても中国の成長は減速しており、経済の構造転換は待ったなしの状態だ。
だが、トランプ大統領の圧力が中国経済の変革を促すようなことがあるとすれば、また違った世界が現れるかもしれない。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/041400131/041700005/
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