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仏大統領選を機に独仏が築く新時代
FINANCIAL TIMES
ルペン候補の勝算は低く 新独仏関係がEUを救う
2017年4月10日(月)
FINANCIAL TIMES
ドイツとフランスは様々な違いを乗り越え、これまで欧州統合を牽引してきた(写真:ロイター/アフロ)
欧州経済共同体(EEC)を生んだ1957年のローマ条約が重要な意味を持つのは、調印の時点でさえ、当時の西ドイツとフランスの考えにはズレがあったという事実ゆえである。
西ドイツは当時、共同市場の創設を求めて調印したが、フランスは同時に設立された欧州原子力共同体(ユーラトム)の立ち上げに熱心だった。西ドイツ政府は工業製品への関税の撤廃を強く求め、フランス政府は自国農民の収入を何としても守ろうとした。
こうした食い違いに対して独仏両国が歩み寄りの精神を発揮し、違いを脇に置く意思を共有できたことこそが、その後の欧州統合に向けた動きの強みとなった。「欧州連合(EU)においては、常に欧州大陸の二大国による利害と見通しの緊密な一致がみられる」という神話が特に英国では浸透している。この神話は「独仏機関車」と呼ばれたけん引力が成果を上げてきたことの証左でもある。
衝突を繰り返してきたドイツとフランス
だが、逆のことも言える。欧州のあるべき姿について、ドイツとフランスは最初から言い争ってきたからだ。フランスにとって欧州統合とは、覇権国である米国に対して防火帯を敷設するという問題だった。一方、北米との関係を重視する汎大西洋主義のドイツにとって、欧州は国家再統一への手段であり、近代史上で自国が負った悪霊を退散させる手立てだった。
ベネルクス3国(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)がEECの青写真を提案した直前、フランスは欧州で防衛連合を築くというドイツの計画を潰したことがある。ローマ条約から何十年もの間、連邦主義的な方向性を求めるドイツと、ドゴール主義(フランスの国家主権と独自性を重視する)のフランスは、衝突を繰り返してきた。
フランスにとって単一通貨ユーロは、ドイツの経済的支配力を封じ込める一つの手段だった。ドイツはドイツマルクを手放すことには消極的だったが、ユーロはドイツが切望する欧州における政治同盟の結成に不可欠な道だった。EUの小国に対し、ドイツ政府は基本的に配慮してきたが、フランス政府は彼らを軽視しがちだ。
ドイツとフランスの歩み寄りは、1963年のエリゼ条約(独仏協力条約)によってさらに強固なものとなった。この合意により独仏両政府は、あらゆるレベルで協力することを制度化した。両国は放っておけば隔たりが広がっていく関係にあったが、この条約締結によって緊密になる力が働くようになったのだ。
ただ、この条約も内容を子細に見ると互いが妥協をせざるを得なかった事実がわかる。条約のドイツ語版には対米関係重視を確認する文言が含まれているが、フランス語版にはなぜか入っていない。
しかし、一連の独仏間の合意は、欧州が結束する基礎となり、同時にEU加盟国間の協力を進めることにも役立った。フランスが自国の主権を犠牲にし、ドイツが貴重な自国通貨を最終的には手放すなど、独仏が欧州共通の利益を追求するために両国の違いを乗り越えられるのなら、他の加盟国も何かで譲歩することを拒絶することはできないだろう。
独仏関係を常に誤解してきた英国
英国の政治家たちはこうした点をよく理解せず、ドイツとフランスの間にくさびを打ち込もうと何度も無駄な時間を費やしてきた。「ドイツはほぼ(我々と同じ)アングロサクソン的な考え方をするのだから、フランスからドイツを引き離せるに違いない」と。
英国のメイ首相は、3月25日のローマ条約60周年の記念式典には出席しなかった。同首相は、EUからの離脱交渉が始まれば、英国が過去やってきたように今回もドイツとフランスの分断を図ろうとするだろう。だが、その試みは再び失敗する。ドイツのメルケル首相は、離脱する英国と合理的な協定を結ぶことを望んではいるが、そのために仏政府との関係を犠牲にする気はないからだ。
欧州はここ数年、様々な危機に見舞われ、EU加盟各国首脳は明るい展望について考える余裕を失っている。経済は停滞し、ユーロ圏はギリシャ債務問題など難問を抱えている。難民の大量流入とポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭を前に、各国は自信を失っている。欧州は衰退の道をたどっている。英国の離脱交渉が不調に終われば、今後、EUはさらに不安定になる可能性がある。フランス大統領選に極右政党「国民戦線」のルペン党首が出馬したことで、見通しは一段と暗くなった。仮にルペン氏が勝利したら、確実だといえることは何もなくなる。
だからこそ、今は正反対のことを考える好機だ。黒雲が晴れ、空が明るくなってくるかもしれない。今後数年間の欧州は、悲観論者を多少なりとも驚かせるかもしれない。ドイツとフランスの間で新たな政治的な協力に向けた動きが出てくるかもしれないからだ。
ルペン大統領が選出される可能性は低い
どういうことか──。ルペン氏が大統領に選出される可能性は低い。勝つのは、本命とされる中道系独立候補のマクロン元経済産業デジタル相か、共和党のフィヨン元首相だろう。マクロン氏はフィヨン氏よりも親欧州だ。フィヨン氏は自国の主権を重んじるドゴール主義の信奉者で、マクロン氏よりも急進的な経済改革を主張している。両氏とも、経済停滞と、それがもたらした政治の弱体化を打破するため、何か手を打たなければならないという認識では一致する。フランスがEUで再び発言力を持つには、時代に追いつく必要がある。
一方、ドイツ政府は、フランスがまさにこの方向に進むことを待っていた。フランスの弱体化によりドイツが1強となってしまい、共に指導力を発揮する国が消え、EUはまとめ役がいなくなった。そのためにメルケル氏は自動的に、望まぬまま欧州の指導者となり、最大の悪役を演じることになった。
メルケル氏は何よりフランス政府とのかつての関係を取り戻したいと願っている。今秋の独連邦議会選挙で首相の座を目指す社会民主党のシュルツ前欧州議会議長も同じだ。シュルツ氏にとって、マクロン氏がフランス大統領になる方がパートナーとして付き合いやすいだろう。メルケル氏が再選されても同じだ。両氏ともフィヨン氏が選ばれても、やはり良好な関係を築こうとするはずだ。
EUが抱えている今の亀裂を埋める魔法のような解決策はない。独仏機関車も、27カ国に増えたEUをけん引するとなると、EECの6カ国時代ほど馬力が出ない。
しかし、独仏両政府の関係が再構築されれば、自信が生まれる。それは、統合を深める意志と力を備えた新たな「欧州の中核」が誕生することになるかもしれない。欧州の将来について楽観的になるのは難しいが、今こそ悲観論を少しばかり和らげるべき時だ。
Philip Stephens, Chief political commentator
(cFinancial Times, Ltd. Mar. 23, 2017)
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2017.4.10 12:00
【国際情勢分析】
米紙が「対日外交を人質に」韓国左派を一括の社説
「日本という記憶の傷がうずく…」韓国メディア批判の寄稿も
ソウルの金浦空港に到着し、取材に応じる長嶺安政駐韓大使=4日(共同)
韓国・釜山(プサン)の慰安婦像設置への対抗措置として、日本政府が一時帰国させていた長嶺安政(ながみね・やすまさ)駐韓大使(62)らを4日に帰任させたことについて、一部の韓国紙は「遅くなったが幸いなこと」(東亜日報)と胸をなでおろす。だが、大統領選の有力候補は、一貫して一昨年の「日韓合意」に反対姿勢だ。海外メディアからは「左派集団は外交政策を人質にしようと、慰安婦問題を悪用している」といさめる論説も出ている。
釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されたのは今年1月。韓国紙でも海外メディアでも、大使帰任を前向きに評価する論調に共通するのは、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮への対抗のためには日韓の協調が不可欠だとの認識だ。
米紙ウォールストリート・ジャーナルの社説(4日電子版)は「北朝鮮への対抗はあまりに重要であり、第二次大戦の問題が支障となることは許されない」と述べる。
社説は、基金を設けて元慰安婦を支援する内容が盛り込まれた2015年12月の日韓合意をめぐり、「老齢の被害者を支援する日韓合意を台無しにするようなことは理解できない」とする。その上で、「外交政策を人質」にとり、日韓間の政策協調を阻むことになっている左派勢力に、批判的な認識をにじませた。
長嶺大使の帰任が、日韓の「安全保障上の関係強化を助ける」とみる同紙は、「東京が責任ある行動を続け、和解を提供しているのだから、報いるのがソウルの責任だ」と指摘する。
一方の韓国では、慰安婦や教科書問題などに注文をつけつつも、「遅くなったが幸いなことだ」(東亜日報社説)と評価する向きもある。
だが、朝鮮日報は社説で「日本政府は極端な対処で韓国政府を圧迫した」として、駐韓大使を帰国させた対処がそもそも行き過ぎだったと批判する。その上で「安倍晋三首相の支持率を上げるため韓国たたきが続いた」として、日本側の意図を曲解した論法を展開している。
同紙は半面、韓国世論にも注文を述べる。5月の大統領選では、すべての主要候補が日韓合意の破棄や再交渉を主張し続けている。この点、「一度結んだ国家間の合意が政権が代わったといって覆されるなら大問題だ」として、扇情的な世論に警戒感を示している。
中央日報(6日=日本語電子版)も、反日世論がまかり通る「感情外交」にくぎを刺しつつ、慰安婦問題をめぐる感情の衝突が、韓国外交の「戦略的空間を縮小すると懸念される」との専門家の見方を紹介。慰安婦問題が外交の選択肢を狭めているとしている。
1月に長嶺大使が一時帰国したことは、主要な欧米メディアでも報道され、慰安婦問題に改めて世界の目が向けられた側面がある。
長嶺大使の帰任決定を報じたロイター通信の記事(日本時間4日配信)は、慰安婦問題を概略した部分で、韓国人活動家が概算した「韓国人犠牲者が20万人に及んだ可能性がある」との見解を紹介しており、韓国側に立脚したバランスを欠く事実認識が、依然として一人歩きしている様子がうかがえる。
韓国から海外に向けて発信されて続けてきた、こうした「被害者」としてのイメージは、国民感情に深く根ざしたものだ。朝鮮日報の社説は、この点に関連して、「釜山少女像の設置は韓国の民間団体が行ったもので、韓国政府が乗り出して解決するのは基本的に難しい問題だった」との見解を提示している。慰安婦問題の糾弾を求める大衆感情には、政府が立ち入ることができないという「責任放棄」を黙認する韓国政府内の空気を映し出している。
外交問題を扱う韓国最大のシンクタンク「峨山政策研究院」のベン・フォーニー研究員は、米国の外交専門誌ディプロマットへの寄稿(2月25日)で、「外部の立場からすれば、日本を依然として宗主国として位置づける見方をする韓国人に当惑する」と述べる。
また、「韓国メディアは被害者としての語り口を助長しており、日本という抑圧者の記憶の傷がうずく国として自国を描ている」として、国民感情を誘導する報道機関にも批判的な目を向けている。
「東条英機の肖像は東京の下町のどこに行っても見られないが、北京に行けば(朝鮮戦争で)韓国への侵攻を命令した人物、すなわち毛沢東が、いまだに畏敬の対象として、人民元札や天安門広場でみられる」
フォーニー氏はそうも述べ、歴史問題を中心とした対日感情が、適切な韓国外交を阻害する大きな要因のひとつだと指摘している。(外信部 塩原永久)
朝鮮半島緊迫…米空母が北朝鮮…2【怒濤の世界】崩れ落ちる世界…4中国メディア、森友問題報道で…3東芝、国内テレビ売却検討 ト…5「共産党との選挙協力理解得ら…6沖縄・翁長知事“破産危機” …7米空母打撃群が朝鮮半島へ8【シリア攻撃】シリアへのミサ…10【東京都議選】下村博文都連会…
http://www.sankei.com/premium/news/170410/prm1704100006-n1.html
インドの中国国境防衛、命がけで道路建設
崖のような現場、重機は分解してヘリで空輸
KARAN DEEP SINGH/THE WALL STREET JOURNAL
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NIHARIKA MANDHANA
2017 年 4 月 10 日 06:46 JST
【TAME CHUNG CHUNG(インド)】ヒマラヤ山脈東部にある垂直に近い斜面で、労働者たちが岩場を爆破したり切削したりしている。インド政府が最優先する全長約55キロの軍用道路建設プロジェクトだ。
道路の先にはインドと中国が領有権争いを続ける国境がある。
そこから遠く離れた首都ニューデリー――車、鉄道、飛行機を使っても、徒歩も含めて到着するのに6日間かかる――では、首相府が工事の進捗(しんちょく)状況を監視している。ナレンドラ・モディ首相は強力な隣国中国に対抗しようと、数十億ドル規模のインフラ建設計画の大幅強化を図っているところだ。
インドが戦略上重要な道路の建設を加速しているのは、武力衝突が起きた場合に国境に兵力や物資を迅速に輸送したり最新鋭兵器を配備したりするためだ。中国は既に自国側に大規模なインフラを整備している。
「今は平時ではない。われわれはギアチェンジした」。プロジェクトを監督するインド政府高官は言う。
中国政府はインドとの国境地帯に広がる約9万平方キロを南チベットと呼び、領有権を主張している。これはインドのアルナチャルプラデシュ州のほぼ全域だ。今週にはチベット仏教の精神的指導者ダライ・ラマ14世が同州を訪問し、ダライ・ラマを分離主義者と非難する中国とインドの対立をあおる結果となった。両国の対立は国境問題だけにとどまらない。
ダライ・ラマはアルナチャルプラデシュ州滞在中、タワン僧院を訪問する予定だ。ダライ・ラマは1959年、中国政府によるチベット弾圧から逃れ、同僧院に逃げ込んだ。数十年に及ぶインド亡命はここから始まり、両国間のしこりは今も消えていない。
中国外務省はダライ・ラマが同州を訪問することで国境の安定を著しく損なうと述べた。これに対し、インドのキレン・リジジュ内務担当閣外大臣は「自由で民主的な国家として、インドは自国の領土である地域への宗教的指導者の訪問を制限しない」と述べた。
インド・アルナチャルプラデシュ州にある谷あいの村 PHOTO: KARAN DEEP SINGH/THE WALL STREET JOURNAL
インドと中国を隔てる全長3540キロの国境――その4分の1がアルナチャルプラデシュ州内にある――のほとんどは確定していない。インドの政府関係者によると、2週間前には、断崖の建設現場からそう遠くない場所で中国の兵士がインド領に入ったという。両国の兵士の間の小競り合いは上官が介入するまで数時間にわたって続いた。兵士は翌日まで退去しなかった。
アルナチャルプラデシュ州――戦略的に重要な地域だが人口は少ない――の領有権を主張し、開発を進めるため、モディ政権は2016〜17年に9億ドル(約996億円)の道路契約を発注した。これはその前の2年間の規模の5倍に上る。2020年までに全長640キロの道路建設を完了するため、新たな政府企業が土地の取得や民間建設会社との契約を進めている。
インド政府の建設計画で最優先されているのが冒頭で紹介した55キロの道路だ。道路の終わりにあるのは戦略上重要な国境の村Taksing。この村は海抜約2440メートルのところにあり、ここに配置された兵士は燃料や卵、砂糖などの生活必需品をヘリコプターやかごを背負った運搬人に頼っている。運搬の任務を任されているのは軍の将官がトップを務める政府機関だ。
ヘリコプターでの物資輸送は5回に1回は予想外の天候の変化に見舞われる。だからこそ軍事計画担当者は道路が欲しいのだ。
この道路プロジェクトにかかる予算は昨年倍増され、完成期限は2024年から2018年に前倒しされた。インドは時間のほかにも、自然や地形とも戦っている。現場はかなりの奥地にあるため、ブルドーザー1台を9つに分解して軍用ヘリにつるして1つずつ320キロの距離を運ばなければならない。
中国国境にいるインド兵士たちに20リットル入りのディーゼル燃料1缶を届けるため、ケムドさんはつり橋を渡り、生い茂った木々の中を歩き、急な斜面を乗り越えた PHOTO: KARAN DEEP SINGH/THE WALL STREET JOURNAL
ダンプカーやカタピラ車、掘削機も同じようにして運ばれている。3月までの1年間でインド空軍が運んだ機材は290トンに上る。橋も新たに6基建設された。軍はこの地域への立ち入りを制限している。
割れた不安定な岩場と6カ月に及ぶモンスーンのせいで現場は危険がいっぱいだ。ごつごつした岩の斜面を爆破したあと、作業員のタジ・ナチョさん(20)は不安げに、崩れ落ちそうに突き出したぎざぎざの岩を何時間も眺めていた。ナチョさんの作業チームは120センチしか進めない日もある。
「ここの山は見た目とは違う。何層にもなっている」とナチョさんは言う。先日は岩の破片でケガをした。「何が凶器になって命を落とすか分からない」
国境の山岳地帯に向けヘリで運ばれるブルドーザーの一部 PHOTO: KARAN DEEP SINGH/THE WALL STREET JOURNAL
昨年11月には当局が別の州から熟練作業員60人を連れてきた。2カ月後、失業して不満を感じていた部族系住民によって殴られたり嫌がらせをされたりすると、作業員たちは逃走した。
インドはこうした理由から長い間、この地域に手を付けなかったが、理由はそれだけではない。インドには、道路を作れば、中国がインド領に攻め込みやすくなるという懸念もあった。
1962年の中印紛争時には中国の兵士がアルナチャルプラデシュ州に侵攻した。道路建設現場のそばには、多くの敵兵を殺害したとされるインド兵シェール・タパの記念碑が置かれている。
中国が国境周辺のインフラ整備を大々的に進めると、インドも2000年代以降、徐々に方針を変更した。あるインド政府高官はデジタル地図で中国の道路や町を指しながら言った。「見てくれ。何という計画力、なんという実行力だろう。われわれが追い付くにはだいぶ時間がかかる」
中国が道路や町を建設したのは主にチベット台地で、気候も乾燥している。インドのような規制もない。
一方、インドでは資金が不足しているほか、長雨で地滑りも起きる。地元住民の要求や環境関係の認可にも対応する必要がある。山の側面が崩れて、何年もかかって建設した道路が19キロにわたって崩落したこともある。別の区画では、ジャコウジカが生息する野生生物保護区を避けて通るように建設計画を変更しなければならなかった。
政府は、地元のタジン族が山や河川、樹木について先祖から引き継いだという所有権を巡って交渉を続けている。政府は滝から水を採取する代わりに部族の家族を建設現場で雇ったり、川のそばに建設資材を保管できるように部族に報酬を支払ったりしている。
トパック・ケムドさん(35)は先週、雨の中を山に向けて出発した。道なき道を7時間歩いて兵士たちに20リットル入りのディーゼル燃料1缶を届けるためだ。1缶あれば発電機1台を10時間運転できる。
ケムドさんは木材とロープでできたつり橋を渡り、生い茂った木々の中を歩き、急な斜面を乗り越えた。ヘビの恐怖にもさらされた。岩の割れ目ははしごで渡った。
途中でケムドさんは国境からそれぞれの基地に帰任する歩兵にあいさつした。兵士が徒歩で国境を出たのは28時間前。途中で一夜を明かしていた。
「非常に困難な仕事」とケムドさんは言った。「道路の完成を心待ちにしている」
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