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EU離脱交渉、英国がいくら出すかがカギ 英離脱主因、国家の老化 出口終止符打ちたいドラギに待った トランプ疑うウォール街
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 4 月 07 日 14:59:11: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

EU離脱交渉、英国がいくら出すかがカギ

FINANCIAL TIMES

独政府が恐れているのは、英国の穴埋めをさせられること
2017年4月7日(金)
FINANCIAL TIMES


ドイツのメルケル政権は今、英離脱後、EUの第2の資金拠出国である英国の穴埋めを求められることを恐れている(写真:ロイター/アフロ)
 交渉をうまく運ぶには、「ウィン・ウィン」の考え方に基づくのが一番よいというのは、ビジネスパーソンや外交官にとって馴染みの深い決まり文句だ。しかし、英国の欧州連合(EU)からの離脱交渉には、この原則は当てはまらない。英国とEU双方が今、目指しているのは、どちらも相手により打撃を与えようとする「ルーズ・ルーズ」の合意だからだ。

EUより英国の方が打撃を被るべきというEUの決意

 つまり、双方とも相手に自分が満足できるほどの痛みを負わせることができれば、自分は交渉に成功したと言える、と考えている。

 まず、英国は既に離脱するという行為そのものによってEUに打撃を与えている。英国離脱により、EUの市民は英国に無条件で移住できるという権利を失うことになる。EUは、英国における法的管轄権を失い、さらにEUの予算を大いに支えてくれてきた資金拠出国を失うことになる。

 EUは面目を失うことにもなる。もし事態が極めて悪い方向に転がり、他の加盟国が英国に続いて離脱すれば、EU自体が崩壊するかもしれない。実際に被る打撃も、今後、生じ得る打撃も含め、こうした事態を前にEUは、英国には離脱されるEU側以上に打撃を被ってもらわなければならないと決意している。

 EUより英国の方が打撃を被るべきだという問題は、EUにとっては正義にかかわる問題であると同時に、EUの存続に関わる問題でもある。英国がEU離脱により目に見える形で痛みを負わなければ、他の加盟国もEUにとどまるべき理由がなくなるからだ。EUへの負担金や責任を放棄した英国に対して、なぜ加盟国と同等の恩恵をすべて認める必要があるのか、というわけだ。

 英国政府は表にこそ出さないが、互いに「相手により打撃を与えなければならない」というこの論理を理解している。そのことは、ハモンド英財務相が最近、「我々は、離脱するのに加盟国としての権利も維持するという両方を手にすることはできない」と発言したことからもうかがえる。だからこそ英国政府にとって交渉の焦点は、離脱の代償をいかに抑えるかになる。

英国の前に立ちはだかる4つの難題

 しかし、互いにある程度の打撃を被るのは致し方ないという「ルーズ・ルーズ」の合意形成を目指すに当たって、英国の前には4つの難題が立ちはだかる。第1に、英国の一般国民は、離脱には相当なコストが伴うことについて心構えができていない。第2に、これは対等な立場にある者同士の交渉ではないという点だ。英国のEUに対する貿易依存度は、その逆よりもはるかに高い。

 
 第3に、交渉の仕組みがそもそもEUに有利にできている。もし2年後までに合意に達しなければ、英国は何の協定も結ばないまま離脱することになる。そうなると、英国にとって最大の単一市場であるEUに輸出する場合、関税を課され、様々な規制を受けることになる。

 最後に、英国にもEUにも強硬派が存在する点を忘れてはならない。彼らは、貿易協定も、それまでの暫定協定も締結できずに「列車が正面衝突するような破局的な離脱になればいい」と考えている。英国から投資が引き上げられていく様子を楽しみにしている人々がEU本部だけでなく、欧州各地に多くいる。彼らは、英国からの輸出品を積んだトラックが、税関での新たな規制への対応に苦慮し、ドーバー港の外で立ち往生したまま列をなしている光景を目にしたいと願っている。

 一方、英国の側にも、EUと合意にこぎ着けられないまま離脱に至っても何も恐れる必要などないと主張する強硬派がいる。彼らは、英政府が離脱交渉で少しでも譲歩すれば裏切り行為だと叫ぶだろう。メイ英首相でさえ、「合意できなくても、悪い条件で合意するよりは望ましい」と発言している。

 言葉遣いこそ勇ましいが、英国政府が破局的な離脱の危険性を理解し始めていることは明らかだ。メイ英首相が3月29日にEUに正式に離脱を通知した翌日、英政府の主要閣僚であるハモンド財務相とジョンソン外相がドイツのエリートたちの支援を取り付けようと訪独した。

 両氏は、英独各界の重要人物を集めて毎年開催される「ケーニヒスビンター会議」に出席した。筆者も同会議に参加したが、そこで両氏は、ドイツ人参加者を英国ひいきにしようと必死だった。両氏への参加者の反応は礼儀正しく、時に温かくさえあったが、その反応よりも重要なのはおそらく参加者の顔ぶれだ。

 今年はベルリン近郊で開催されたにもかかわらず、ドイツ政府からはハモンド氏やジョンソン氏に相当するクラスの閣僚の出席はなかった。そこから読み取れるメッセージは明白だ。英国は今、ドイツが英国を必要としている以上にはるかにドイツを必要としているということだ。

EU第2の資金拠出国である英国の穴を埋めるのはドイツ?

 ドイツにとっての最優先課題は、EUの残る27加盟国の結束の維持だ。これは、出て行こうとする英国の要求より、(英国などに多くの移民を出しており、人の移動の自由の確保を重視する)スロバキアや、スペインの要求のほうが、無条件に高い優先順位を持つ、ということを意味する。

 EU側が残る加盟国重視をどう進めるかについての最初の兆候は、英領ジブラルタルの問題を巡る姿勢に垣間みることができる。ジブラルタルは長年、スペインが英国からの返還を求めてきた。EUが3月31日に示した英国との離脱交渉ガイドライン(指針)の草案に、ジブラルタルの地位を問うという項目が含まれていたからだ。

 ドイツ政府の今の関心は、英国が離脱した後のEUのあり方についてだ。いろんな意味でドイツは離脱後のEUへの懸念を深めている。悩ましい問題の一つは、EU第2の資金拠出国である英国の離脱で失われるEU予算の穴埋めを誰がするのかという点だ。メルケル独政府は、ドイツがその負担を迫られるのではないかと恐れている。

 この資金を巡る懸念は、離脱交渉において英国にとって小さなチャンスとなるだろう。英国は、離婚に伴う和解金を十分に支払うと提案すれば、良好な対応を得られるかもしれないからだ。露骨に言えば、単一市場へのアクセスをカネで買うという合意だ。

 このような合意形成を成し遂げることは、技術的にも、政治的にも極めて難しい挑戦になる。専門的な細かい問題以上に、相手により大きな打撃を与えなければならないという心理的問題がたちはだかる。

 英国とEUは、互いの利益のために協力することができる、という考えを改めて発見する必要がある。現在の互いに相手により大きな打撃を与えようとする「ルーズ・ルーズ」という考え方の問題点は、それが必ず容赦のない仕打ちにつながり、一層悪化していくということにある。

 「ウィン・ウィン」の交渉が大事だとの言葉は使い古された表現かもしれないが、今はそうした観点から世界を見ることが必要だ。どちらかが一方的に勝利するのではなく、双方にとって少しでもいい方向に交渉を進めることが大切だ。

Gideon Rachman, Chief foreign affairs commentator
(cFinancial Times, Ltd. Apr. 3, 2017)

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英国のEU離脱の主因は、国家の「老化」である

神野正史の「人生を豊かにする世界史講座」

歴史上のどんな強国も、衰亡の歴史を繰り返す
2017年4月6日(木)
神野 正史
イギリス、いよいよEU脱退へ

 去年の6月、イギリスが欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票を行った結果、民意は「EU離脱」を選択し、世界中で大きく報道されました。この結果により、すでに事が成ったかのように離脱派の人たちが熱狂して喜ぶ映像が全世界に流されたものです。

 しかし、離脱派が勝ったといっても、離脱:残留=52:48という僅差。その上、残留派が多い若者層の投票率が低かったことから、全国民で見るとおそらく残留派の方が多いだろうということ。また、そもそも国民投票の結果は「法的拘束力」を持たないこと。さらには、「イギリス政府は本当に、EUを離脱してやっていく自信と方策と手腕があるのか?」という疑念があって、以前に「まだまだこの先、ほんとうに離脱するのかどうかは未知数」という旨の記事を書きました。(日経BPネット 2016年6月28日配信記事「離脱しないかも? 英国のEU離脱を歴史視点で完全理解」)

 ところが先日(3月29日)、イギリス政府はEUに離脱の意思を通知し、いよいよ本格的に「EU離脱」へ向けて舵を切りはじめたようです。


3月29日、イギリス政府がEUに離脱の意思を通知すると、一方のEUは、離脱交渉指針の基本原則として以下の項目を挙げた。@「離脱後はEU加盟国と同等の権利や恩恵は受けられない」、A「単一市場へ特定の産業分野だけ参加を認める手法はとらない」、B「27カ国が統一した立場で交渉に臨む。イギリスとの個別交渉はしない」 (画像:PIXTA)
身勝手なイギリス

 しかし、イギリスがこれまで望んできた条件をみると思わず苦笑してしまいます。

移民(難民)は受け容れないけど、できればEUとの経済協定はこのまま存続したい。

 なんと都合のよい!

EU加盟国である以上、法的に移民(難民)の受け入れを拒否できないから、たとえ脱退してでも拒絶する。でも、EU加盟国としての経済的利得は捨てたくない。

 もちろん、こんな身勝手なイギリスの「EU離脱条件」が通るわけはありません。

 EUがそんなことを許したら、他の加盟国も一斉に脱退、EUはその瞬間に崩壊してしまうことは火を見るより明らかだからです。建国以来、海千山千の国際外交の舞台を渡り歩いてきたイギリスともあろうものが、そんなことも分からないとは考えにくく、これはやはり、イギリス政府にはハナから離脱の意思がなく、わざと無理難題の条件を突きつけて、あえて“破談”に持っていき、「一応、“民意(国民投票の結果)”に沿って努力はしてみたけど、やっぱりダメでした」という“国民向けアピール”のための方便ではないかと勘繰りたくなるほどです。いずれにせよ、英国とEUの交渉に対する考えの溝は深く、困難な交渉となるのは必至です。

“移民”の歴史、因果は巡る

 「身勝手」と言えば──。一般的に「イギリス人」といえば、民族系統はゲルマン系(アングロサクソン人)というイメージですが、実際には、スコットランド・ウェールズ・コンウォール・アイルランドに住む人たちの多くはケルト系民族です。そもそも、これらの各地域を含むグレートブリテン島に住んでいた人たちの多くはケルト系民族でした。今もこれらの地域には、ゲール語、スコッツ語など英語以外の言語が残っています。

 そこに5世紀ごろ、現在のデンマークのあたりに住んでいたアングロサクソン族が海賊行為を行いながら侵掠(しんりゃく)してきて、原住民であったケルト系の人たちを西に北に駆逐しながら居座りました。その末裔こそが、現在イギリスに住むアングロサクソン人です。現在のイングランド地方に住んでいる人々は、その昔イギリスに「移民」してきたと言うことができます。

 因果は巡る。自分たちが昔したことを、今、自分たちがされる側に立った途端、必死になってこれを排斥しようとしている姿は、人間の身勝手さが露骨に顕れていて失笑させられます。

事態打開できない政治家の取る常套手段

 しかも今回の脱退騒ぎは、一部の政治家やそれに煽動された国民が、現在イギリスが立たされている経済苦境の原因を「すべて移民のせいだ!」と、移民をスケープゴート(生贄、身代わり)とした結果です。

 しかしながら、じつのところイギリス経済が悪化の一途をたどっているのはそんな短絡的・些末なものではない、と筆者は考えています。確かに近視眼的にみればそういう側面もなきにしもあらず、ですので、歴史に疎い国民が「移民のせいだ!」と煽る政治家に騙されてしまっても致し方ない側面もあります。


東欧などからの移民に職を奪われ、移民への社会保障給付で税負担まで重くなる。そんなイギリス国民の不満がEU離脱を選んだ直接の理由だと言える。残留派だったキャメロン首相(当時)が与党内の離脱派を取り込もうと国民投票を持ち出したものの、結果的には移民排斥を訴える政治勢力に利用されてしまった。キャメロン首相の見通しが、甘かった。(画像:PIXTA)
 しかし歴史を紐解けば、今回のイギリスの意図もよく見えてきます。ひとつの国家が政治的・経済的苦境に陥りながら、政府がそれを打開する政策を持ちあわせないとき、政府中枢の政治家たちは国民の不満の矛先が自分たちに向くことを懼(おそ)れるようになります。

 「政策も持たぬのなら、政治家などさっさと辞めてしまえ」とツッコみたくなるところですが、「政治家」という職業、いつの時代でもどこの国でも一度就いたら辞められない“旨味”があり、政治家はこれを吸い続けたい。

政治的スケープゴートを仕立てあげる

 そこで一部の政治家は一計を案じます。「政治的スケープゴートを仕立てあげて国民を煽り、そのスケープゴートにすべての責任を押し付けて、自分たちの地位を守ろう!」 企業においても、経営が傾いてきたにもかかわらず、これに対処できず、なおかつ自分の地位を守りたい者が、部下に責任を押し付ける姿と似ています。

 そうした“スケープゴート”に選ばれるのは、たいてい「国内(社内)における異分子」であることが多い。たとえば、戦前においてアドルフ・ヒトラー(1889年〜1945年)は「現在のドイツの苦境はすべて国内に住むユダヤ人のせいだ!」と主張し、国民の不満を彼らに向けさせました。

 それが、400万とも600万とも言われるユダヤ人虐殺を生むことになりましたが、現在のイギリスの政治家が「すべて移民のせいだ」と責任転嫁し、国民もこれを支持している構図自体は、ヒトラー・ドイツのユダヤ人迫害の構図と変わりません。

 18世紀、フランス革命が進行する過程においても、スケープゴートに責任を押し付けるという事件がありました。当時のフランス経済は一向に安定せず、国民の不満が内乱となって頻発。そのうえ不敗将軍ブラウンシュヴァイク公(1735年〜1806年)率いるプロイセン軍が迫るという、まさに内憂外患の中、これらの国家問題になんら対処できない革命政府は、突如として「すべての元凶は国内にいる裏切者のせいだ!」と主張して殺戮事件(九月虐殺、1792年)を起こしています。

 他にも例を挙げればキリがありませんが、だいたい政府がこのようなスケープゴートをでっちあげて政策無能を隠そうとするとき、すでにその国は“終わりの始まり”にあるときがほとんどです。

イギリス衰退の真因は「老人の病」

 しかし今、イギリスが衰亡の一途をたどっているのは「移民問題」とか、そんな些末な理由ではなく、もっと大略的歴史的観点から見れば、「老人の病」のようなものといえます。

 たとえば──。若いころは屈強だった肉体が見る影もなく老い、病みがちになったとき、医者はその原因として「酒」「煙草」「過食」「睡眠不足」「ストレス」などなど、いろいろな生活習慣的原因を指摘するかもしれません。しかし、実際のところ、そんな不摂生など若いころならビクともしなかったのに、ちょっと無理をしただけでたちまち体調を崩すことを考えあわせれば、その根本的な原因は「老い」だということができます。

 老いない人間も死なない人間もいないように、国家もまた「老い、死に至る(滅亡する)」宿命を避けることはできません。ただ、人間の寿命に比べて国家の寿命はだいたい200年、300年…と長いので、一般的にはなかなかこれが理解できないだけです。現在のイギリスは、人間に喩(たと)えれば「後期高齢者」といってよい。

 今のイギリスの経済苦境も、老いさらばえた体(国)が今まさに多臓器不全を起こして“老衰”を迎えようとしているにすぎません。大きな歴史の枠組みの中で今回の動きを捉えたとき、「移民阻止」を掲げてEU脱退に生き残りをかけようとしているイギリスの姿は、「老衰によってまさに死を迎えようとしている老人に酸素吸入器を付け、心臓マッサージをし、必死に延命措置を施している医師」に似ています。

 しかしながら、どんな名医がどんな施術を施そうとも、「寿命による死」を免れることはできないように、今回のイギリスがたとえ「移民阻止」を実行したところで、大した効果もないどころか、事態は悪化の一途をたどるであろうことを、筆者はここに“予言”しておきましょう。

 繰り返しになりますが、歴史的観点からみればイギリス衰退の根本原因は「そこ(移民問題)」にあるのではなく、「老い」にあるからです。

21世紀は「欧米諸国衰亡の世紀」

 イギリスだけでなく現在の欧米諸国はこぞって、中国でいうなら19世紀末ごろの清朝末期、日本でいうなら幕末のような衰亡期に入っています。このあたりの詳しい解説は、拙著『「覇権」で読み解けば世界史がわかる』に譲るとして、19世紀の中国や日本でも、今のイギリス同様、さまざまな人々が躍起になって清朝/幕府を護ろう、維持しよう、蘇らせようと人生をかけて努力したものです。

 清朝では曾国藩(そうこくはん、1811年〜1872年)・李鴻章(りこうしょう、1823年〜1901年)・左宗棠(さそうとう、1812年〜1885年)・張之洞(ちょうしどう、1837年〜1909年)らが自国を護ろうと尽力しました。もちろん日本でも、徳川幕府を護ろうとして命がけの戦いをした者たちがいました。

 しかしながら、どんなにすぐれた人物がどれほどの努力を投じようとも清朝や、徳川幕府を救うことはできなかったように、「老いから来る死(滅亡)」を逃れる術は存在しません。

 18世紀に躍進し、19世紀にAA圏(アジア・アフリカ文化圏)の人々を隷属させて我が世の春を謳歌したヨーロッパ諸国も、20世紀には停滞し、21世紀は「老い」の症状を示して「衰亡の世紀」となるでしょう。そして22世紀には、もはや世界的に見てほとんど影響力を持たない“辺境国”となり下がって、ヨーロッパのことなど誰も顧みない時代が到来していることでしょう。

振り返って日本

 しかしながら、もちろんそれは“対岸の火事”ではありません。栄えた者は必ず潰(つい)える。日本もまた20世紀末、日本メーカーが世界を席巻し、繁栄を謳歌する「バブル時代」を迎えました。歴史を紐解けば、こうしたときが一番殆(あや)うい。

勝って兜の緒を締めよ。

 こうしたときこそ、いよいよ気を引き締めていかなければならないのに、当時(20世紀末)の日本は上から下まで、そして右から左まで、まさに日本中が浮かれ、舞い上がっていたものです。“大人買い”と呼ばれる「ここからここまで全部ください」という常軌を逸した商品の購入の仕方が横行したり、ソバに金粉をまぶしたり、数千万円の福袋が飛ぶように売れたり、OLがタクシーで通勤したり、眉をひそめたくなるようなお金の使い方が横行していきました。筆者は当時まだ大学生でしたが、こうした風潮に危機感を感じていたものです。

嗚呼、こんなことでは日本はこれから厳しい時代がやってくるぞ。

 筆者の予想どおり、まもなくバブルははじけ、以来、四半世紀経った今ものたうち回って苦しみ、そのころ全盛を誇ったソニーやシャープ、東芝は今や風前の灯火です。

 しかし──。第二次世界大戦の敗戦で国をリセットしてからすでに約70年が経っているとはいえ、同じく衰えを見せている欧米諸国とは違い、筆者は日本にはある種の期待を抱いています。それは、筆者が日本人であるという贔屓(ひいき)目もあるかもしれませんが、何と言っても日本は、これまで何度も国家存亡の機に立たされながらこれを日本人特有の智恵と努力で乗り越え続け、人類史上でも唯一「神話時代から一度も滅亡したことがない国」だからです。

 日本はこれからも長く辛酸を味わう歴史を歩むことになると思われますが、しかしいざとなれば、持ち前の「日本力」を発揮してくれることを期待しています。

【4月13日開催!】イアン・ブレマー氏 来日記念セミナー
“迫りくる「先進国リスク」に、企業としていま何をすべきか”
 欧州問題を早くから提言していたユーラシア・グループ代表のイアン・ ブレマー 氏(政治学博士)が来日。さらに企業経営者やPwC Japanグループ のブレグジット・アドバイザリー・チームに登壇いただき、今後想定される 主要国の政策シナリオ、ならびにその政策シナリオに基づいた各企業として の対応策を検討する上でのポイントを解説します。

このコラムについて

神野正史の「人生を豊かにする世界史講座」
人生に役立つ知識を世界の歴史から学び、読者の方々が日々の生活に役立てていただくことを目指します。筆者は日頃、歴史を学ぶ歓びを人々に伝える、「歴史エヴァンジェリスト」として活動しており、このコラムをきっかけに、1人でも多くの方に「歴史を学ぶ楽しみ」を知っていただければ幸いです。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122700036/040300009/

 

出口議論に終止符打ちたいドラギ総裁、待ったをかけるバイトマン氏
Alessandro Speciale
2017年4月7日 07:33 JST
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トランプ政権の本気度疑うウォール街−グラス・スティーガル法復活
• ECBの政策スタンス、変更するべき時ではない−ドラギECB総裁
• 正常化をめぐる議論は正当なこと−独連銀のバイトマン総裁

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、出口戦略を巡る議論に6日に終止符を打てるものと思っていたかもしれない。それは簡単ではないことは、すぐに判明した。
  ドラギ総裁はフランクフルトでの講演で、ECBが計画より早く引き締めを開始するとの臆測や、いずれ迎える刺激策解除への道筋についての疑念を払しょくしようとした。しかし3時間もたたないうちにドイツ連邦銀行のバイトマン総裁が、ECBフォワードガイダンスについて議論することは正当だと発言し、問題を蒸し返した。
  現在のECBガイダンスは量的緩和(QE)を今年いっぱい続け、QE終了後も相当期間は低金利を維持するというものだ。ドラギ総裁はこれまで一貫しているこのガイダンスから「離れる理由は見あたらない」と述べた。「インフレ見通しに関するわれわれの認識を大きく変えるような証拠は見られない。インフレ見通しは依然、かなり著しい度合いの金融緩和を前提としている」と話した。
  一方バイトマン氏はベルリンで、「ユーロ圏の持続的で力強い景気回復と物価圧力上昇の見通しを踏まえ、金融政策の正常化をいつ検討するべきか、それに沿ってあらかじめコミュニケーションをどのように調整すべきかを話合うのは正当なことだ」と述べた。

原題:Draghi Struggles to Shut Down ECB Debate Weidmann Wants to Have(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-06/ONZXMH6JIJUO01


 

トランプ政権の本気度疑うウォール街−グラス・スティーガル法復活
Zeke Faux、Donal Griffin
2017年4月7日 08:37 JST

ANA社長、出資伴う提携が世界潮流の一つに−アジアなどで模索
議会の優先議題でなく、法律の復活は想像しにくいとアナリスト
コーン氏発言でも6日の米株式市場でBofAとJPモルガンは上昇

トランプ米大統領と大統領顧問らは預金を扱う商業銀行業務と投資銀行業務の分離を定めた大恐慌時代の法律、グラス・スティーガル法の復活を明言している。しかしウォール街はこれが実現するとはみていない。
  コーン米国家経済会議(NEC)委員長は5日の議員らとの非公開会合で、グラス・スティーガル法を支持するトランプ政権の立場をあらためて示した。しかしアナリストらは、抜本的な規制改革が行われる可能性は低いと指摘。6日の米株式市場では、同法が復活した場合、最も大きな影響を受けるとみられるバンク・オブ・アメリカ(BofA)とJPモルガン・チェースが上昇した。

グラス・スティーガル法の復活にウォール街は懐疑的 Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

  1930年代の銀行危機の際に作られ、99年に廃止されたグラス・スティーガル法を復活させるには、米銀行ルールの改定が必要になる。ドッド・フランク法(米金融規制改革法)の際は議会が1年強、改定作業に取り組んだ。トランプ政権はまだ計画の詳細を明らかにしておらず、下院共和党が提案した修正案はグラス・スティーガル法復活に言及していない。
  キャピタル・アルファ・パートナーズのアナリスト、イアン・カッツ氏は「グラス・スティーガル法に似た法律で成立しそうなものはなく、想像しにくい」と述べ、「単純に議会の優先議題ではないということだ」と説明。上下両院で多数派の共和党は銀行規制の強化ではなく緩和を望んでいると指摘した。
原題:Wall Street Doubts Trump Wants to Split Up Big U.S. Banks (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-06/OO0EZE6JTSEN01

 

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