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Column | 2017年 03月 30日 14:34 JST
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コラム:
道筋なきEU離脱へ、火種抱えるメイ英首相の胸中
3月28日、英国のメイ首相が29日リスボン条約第50条を発動し、いよいよ2年にわたる欧州連合(EU)離脱プロセスが正式に始動する。写真は29日、ロンドンの首相官邸を出る英国のメイ首相(2017年 ロイター/Stefan Wermuth)
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Peter Apps
[28日 ロイター] - 英国のメイ首相が29日リスボン条約第50条を発動し、いよいよ2年にわたる欧州連合(EU)離脱プロセスが正式に始動する。
今のところ、そのプロセスがどのようなものになるのかはほとんど分かっていない。2007年12月に加盟国がこの条約に署名したときには、どこかの国が離脱するような状況は誰も想像していなかった。
極端な可能性としては、貿易や移民その他の重要な問題について何の協定も結ぶことなく、英国がEUと決裂するかもしれない。あるいは、EU諸国からの移民流入を制限する権利を取り戻す一方で、欧州単一市場へのアクセスを失うという、「ハード・ブレグジット」に合意する可能性もある。
また、ブレグジットがスコットランドと北アイルランドの離反を促し、「英国」自体が解体される可能性もある。どちらの地域も圧倒的にEU残留を支持しており、スコットランド自治政府のスタージョン首相は、ブレグジットが「ハード」なものになればなるほど、英国政府からの反対があろうと、スコットランドは独立の是非を問う2回目の住民投票に突き進むことになると明言している。
他方、実際にはほとんど何の変化も起きない可能性もある。今月初めには、英国当局者が、第50条に定められた2年間の離脱手続を延長し、現行の貿易・移民に関するルールを10年間固定するという暫定協定に取り組んでいると報じられた。
こうした方法には経済的ショックを回避するという利点があり、離脱プロセスを際限なく引き延ばすことになるかもしれない。しかしこれでは、離脱派・残留派の双方から多くの怒りを買うことになろう。
最終的に、ブレグジットをどのようなものにしていくか判断するのはメイ首相だ。首相は慎重な実務家で、政治的に賢明だと首相自身が考える基準に従って動く可能性が高いだろう。だが、何しろ有権者が何を望んでいるかが明らかでないだけに、その判断は難しい。
3月21日に行なわれた英世論調査では、「明日もう一度国民投票が行なわれたら」という質問に対して、回答者の44%が「離脱」と回答したが、「残留」も同じ比率だった。約12%が「分からない」と回答。これらの比率は昨年夏以来ほとんど変わっていない。
25日にブレグジットに対する抗議デモに参加した数千人のように、熱心なEU支持派の一部は、離脱決定を覆せるのではないかとまだ期待している。現在、国民投票を再度行なうべきだと考える人は「残留」派有権者の3分の2に達しており、12月の時点から大幅に増えている。もっとも、少なくとも今のところは再投票が行なわれる可能性は低いようだ。
メイ首相が実際のところブレグジットについてどう考えているのか、英国政界では憶測が飛び交っている。公式には、メイ氏は「残留」派陣営に属していたが、陣営のメンバーによれば、彼女は主だった役割を果たすことに消極的だったという。
内務大臣だったメイ氏は移民に対して厳しい姿勢をとっていたが、英国がEUに加盟しているため、欧州内からの移民の流入については何も統制できなかった。現在メイ首相は、「離脱」票を支えた主要な動機は、英国への移民流入を抑制したいという願望だったと考えているようだ(それは恐らく間違っていないだろう)。
とはいえ、そのバランスは難しい。英国内の外国人労働者は、経済のあらゆる分野で不可欠な存在となっている。その多くは、2004年に国境が開放された後、EU域内から流入してきた労働者だ。
ここには、基本的な政治上の計算もある。メイ首相が率いる保守党支持者のうち、「離脱」を選んだのは過半数をわずかに超える程度だが、ここ数年、保守党は反EUを掲げる英国独立党(UKIP)に議席を奪われている。UKIPが党内の政治抗争に悩んでいる今、メイ首相としては、ブレグジットを推進して支持者を取り戻すことで、この劣勢を逆転させるチャンスがある。
だが問題は、国民投票の時点で、ブレグジットが持つ意味は人によってバラバラだったという点だ。国民の52%が「離脱」を選んだものの、彼らが期待していたことは非常に多様だった。そのうちどれが実現しようと、不満を抱く人はいるかもしれない。
メイ首相にとって好ましい道、つまり「移動の自由」をある程度制限しつつ、「自由貿易へのアクセス」を維持するという選択肢を採用できる可能性は低い。欧州各国の首脳は、この双方が欧州プロジェクトの中心であり、英国がどちらか一方だけを享受することはできないと発言している。
比較的「ハード」なブレグジットへと傾いているメイ首相自身も含め、こうしたスタンスによって交渉開始の立場が決まってくるが、変化する可能性はある。英国にとって心配なのは、欧州各国の首脳が、将来的に英国に続いて離脱をめざす国が出てくることを防ぐため、ブレグジットの代価を吊り上げたいと考えるのではないかという点だ。
スコットランドという要素も非常に重要になってくるかもしれない。英国を解体した人物として歴史に名を残すことを望む首相は誰もいないため、メイ首相には、スコットランドを引き留めるためにブレグジットを骨抜きにするというインセンティブが生じるかもしれない。
ブレグジットが思ったほどひどいものにならないという兆候もある。経済が崩壊するのではないかという不穏な予測のいくつかは、国民投票から50条発動までの9カ月のあいだに沈静化した。株式市場は依然として活況を呈しており、失業率は低下している。もっとも、ポンド安のためにインフレが進み、生活にかかる費用は高くなっているが。
だが、不確実性という感覚が続いていることで、現実的な悪影響も生じている。
英国内で暮らす欧州各国の市民、そして欧州各国で暮らす英国市民を中心に、何百万もの人々が途方もない不確実性に直面している。
英国内で暮らす約300万人の欧州市民は、わずか2年先に自分がどのような立場にあるのかも明白には分からないまま、仕事や住居、人間関係、その他たくさんの事柄について判断を強いられている。
同じことは雇用する側にも言える。金融サービス部門を中心に、いくつかの企業は、市場へのアクセスを失うことを懸念して、欧州大陸に雇用を移転させることを検討している。
メイ首相は党首として選挙に勝利したことは一度もないし、ブレグジットが片付くまで、つまり恐らくは2020年まで、選挙に踏み切るつもりもない。
彼女は、キャメロン前党首が有権者から受けた負託を引き継ぐことになる。キャメロン氏はEU離脱を問う前代未聞の国民投票を実施すると約束して勝利を収めた。しかし彼は同時に、離脱が選択されたら大惨事になるとも断言していた。
キャメロン前首相は最初の約束を果たした。メイ首相としては、2番目の約束が実現することを全力で防がなければならないだろう。
*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
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Column | 2017年 03月 30日 13:45 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:英独取引所合併破談、真の敗者は経営陣のみ
George Hay
[ロンドン 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ロンドン証券取引所グループ(LSE)(LSE.L)とドイツ取引所(DB1Gn.DE)の合併計画が、欧州連合(EU)欧州員会から正式に却下された。これによって多くの人々が悲しみにくれているようだ。
合併を認めなかった当の欧州委員会は、LSEが傘下のイタリア債券取引プラットフォーム「MTS」売却を拒否したことを嘆かわしく思っている。MTS売却で競争上の懸念が和らぐと期待していたからだ。逆にLSEとしては、欧州委が最初からMTS売却に固執したのが残念でならない。一方、ドイツ取引所は、欧州最大となる時価総額約300億ドル規模の取引所誕生がなくなったことが悲しい。
合併が破談になったのはだれの責任かを正確に解明するのは難しいが、LSEのロレット最高経営責任者(CEO)にはその一部が帰せられる。欧州委のベステアー委員(競争政策担当)が、LSEが当初申し出ていた清算機関LCHクリアネットの売却だけでは競争問題解決に不十分だとの考えをはっきり示していたのに、ロレットCEOはMTS売却を断った。LSE側の重要資産を手放すには時間が足りないという主張にはある程度根拠があるとはいえ、乗り越えられない壁ではなかったはずだ。
だが結局のところ、破談になったからといって涙する必要はない。計画が進んでいれば相当なシナジー(相乗効果)を生み出すことが可能だった。しかしドイツの規制当局や政治家は、統合後の本社をロンドンに置くという決定をまるで相手にしなかった。ドイツ取引所のケンジェターCEOにインサイダー取引の疑いで捜査の手が伸びた点に関して、LSEが懸念を抱いていなかったとすれば奇妙な話になる。さらにブレグジット(英国のEU離脱)問題があった。
ブレグジットの影響は、両社の雇用削減についてのすべての決定に影を落とし、コスト節約の取り組みは損なわれるだろう。同じ理由で「清算取引を行う顧客が差し入れる証拠金を減らす好機」という合併計画の本来のアピール要素も、実現の可能性がどんどん減少しているようだ。恐らくは、LSEのLCHクリアネットとドイツ取引所のユーレックスはどちらかがどちらかに事業を譲る必要が出てくる。
このように合併に伴うマイナス材料がそろっているからこそ、破談を受けて両社の株価は小幅ながらも上昇した。投資家は、シナジーなど達成できないとずっと前から判断していたのだ。合併を発表した2016年2月直前と比べると、いずれも株価は上がっている。株主が数百万ユーロを手数料の形で支払うという事実を別にすれば、今回の件で真の敗者と言えるのはロレット、ケンジェター両CEOとそれぞれの経営陣だけだ。彼らは、初めから明らかだったリスクに目を向けようとしなかったのだから。
●背景となるニュース
*欧州委員会は29日、ドイツ取引所とLSEの合併計画を正式に却下した。
*欧州委は、合併で債券商品の清算事業が事実上独占状態となり、決済や証券保管、担保管理などにも影響が波及すると指摘。LSE傘下の清算機関LCHクリアネット売却提案については、個別株デリバティブを巡る懸念を払しょくできるが、債券清算に対する問題解決にはならないとの見解を示した。
*また欧州委は、MTSの売却という提案が実現しても、LSEは統合後の収入や時価総額に比べて失う資産は小規模だったと付け加えた。
*LSEは声明で、2億ポンドの自社株買い計画を発表した。
*ドイツ取引所は、欧州委の決定により欧州を拠点とする世界的な市場インフラを提供する機関が生まれる機会を失ったことに遺憾の意を表明した。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
コラム:中国、通商駆け引きでトランプ氏にささいな贈り物 2017年 03月 10日
アングル:インタビューの達人L・キング氏が語る人生の教訓 2017年 03月 20日
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http://jp.reuters.com/article/lse-m-a-breakingviews-idJPKBN1710CV?sp=true
レッグ・メイソンも人員削減、資産運用業界に低手数料化の波
John Gittelsohn
2017年3月30日 16:13 JST
米レッグ・メイソンは管理部門のほぼ3%に相当する30人前後を減らす。手数料の低い商品への需要のシフトに対応する。
広報担当のメアリー・アスリッジ氏は29日の電子メールで、「資産運用業界が大きな変化に見舞われている中でレッグ・メイソンは資源の再配分を進めている」と説明。業界への圧力に対応するため「人員削減を含めて営業費用をさらに削減した」という。
アクティブ運用を手掛けるファンド会社は手数料が安いパッシブ運用の指数連動投信に特化した運用会社との競争に直面している。世界最大の資産運用会社、ブラックロックも株式のアクティブ運用部門で30人余りを削減すると関係者が述べていた。
レッグ・メイソンの削減については先に米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じていた。
原題:Legg Mason Cutting Jobs as ‘Disruption’ Hits Fund Industry(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-30/ONM86U6K50XV01
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