★阿修羅♪ > 国際18 > 752.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
数字を操作し始めたトランプ政権 岡崎研究所(WEDGE)
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/752.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 3 月 27 日 15:50:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

数字を操作し始めたトランプ政権
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9191
2017年3月27日 岡崎研究所 WEDGE Infinity


 ワシントンポスト紙コラムニストのランペル氏は、2月20日付の同紙で、トランプ政権による数字の操作について論評しています。要旨は次の通りです。

 大統領選挙の候補者の経済政策を評価する目安として、成長率を高く見せる候補者の政策ほどよくない政策であるとの経験則がある。トランプ政権は現在予算の作業を行っているが、こうした経験則が当てはまりそうである。

 選挙後、政権移行チームは予算編成作業に入った。通常、この作業は大統領諮問委員会(CEA)のスタッフが、現在の政策を前提にした場合の成長率や財政赤字についての基準ケースを推計することから始まる。そして、新政権の新しい政策によってこの基準ケースの成長率や財政赤字はどの程度修正されるかという作業を行う。最終的な結果は他の機関の見通しよりも楽観的になることがよくあるが、大きな差ではないのが普通である。

 ところが、今回は異なっている。トランプ政権移行チームはCEAのスタッフに3〜3.5%の成長率を命令した。そして、CEAのスタッフはこの高い成長率が試算されるように、計量モデル内の数値を隠しておくように命じられた。

 このような方法で予測された3〜3.5%成長はいかに変わっているかを見ておこう。まず、過去10年間の年率の実質成長率は2%以下であった。また、他の機関の今後の成長予想を見ても、例えば、FRB、CBO、民間の予測は1.8%〜1.9%である。すなわち、ご都合主義に基づいてトランプチームが預言する成長率は他よりも1%も高いのである。減税と規制緩和で高い成長を達成できると信じている保守派の経済学者でもトランプが命令した成長率を飲みこむことは難しい。例えば、先月開催された米国経済学会の座談会で、コロンビア大学のハバード教授(G.W.ブッシュ政権下のCEAの委員長)は、今後の成長率は高くても2.75%であろうとした。多くの経済学者はそれでも超楽観的であるとコメントした。

 選挙期間中、トランプは経済学者を軽蔑していると公言した。そして、先日、閣議メンバーからCEAの委員長を外すという決定をしたことによってこのような経済学者無視のスタンスを一層明らかにした。トランプが経済学の法則を無視し、成長や雇用、貿易などに関して楽観的な見通しを行うことにはリスクも伴う。それは、トランプに投票した国民はあなた(トランプ)が約束したことを覚えており、もし、公約を実現できなかった時にはあなたを罰するということである。たぶん、その時にはトランプチームは選挙でトランプに投票した人の記憶を覆い隠せるのではないかと期待しているのであろうが。

出 典:Catherine Rampell ‘The Trump White House is already cooking the book’(Washington Post, February 20, 2017)
https://www.washingtonpost.com/opinions/the-trump-team-is-already-cooking-the-books/2017/02/20/a793961e-f7b2-11e6-be05-1a3817ac21a5_story.html

■鉛筆を舐める

 過度に楽観的な予測を作ることを、“鉛筆を舐める”と言いますが、エコノミスト嫌いなトランプ政権にはその傾向が著しいようです。また、公式統計そのものも改変するとの報道もあります。もしこれが本当だとしたら、このような行為は先人が築いた貴重な知的財産を破壊する行為だと言えるでしょう。この点を踏まえた上で以下3点コメントします。

 第1は、今後の成長見通しについてです。過去においても3%を超える高い成長率はありました。レーガン時代の成長率は3.4%で、クリントン時代は3.7%でした。しかし、こうした成長率を再現することは難しいという見方が大半です。例えば、P.クルーグマンは、次の2つの理由を挙げています。その1は、レーガン時代はベビーブーマーが労働市場に参入しましたが、現在は違います。労働力人口の変化だけで今後の米国の成長率は約1%低くなります。理由2は、レーガン政権とクリントン政権の発足時は、失業率は約7%で、景気が低迷する中で政権を引き継ぎました。このことは多くの遊休資源を再利用するだけで高成長が可能でした。が、現在はほぼ完全雇用です。高い成長余地はありません。

 第2に、トランプ政権が掲げる3%を超える成長率を今後10年間にわたって実現するためには生産性の飛躍がなければなりません。減税と規制緩和というサプライサイド政策によってそれが実現可能かどうかです。この点に関しての標準的な考え方は、トランプの税制改革は短期的にはGDPの水準をある程度は引き上げるが長期的にはその引上げ効果はないこと、さらには、GDP成長率の引き上げ効果はやや長い期間で見れば殆どないというものです。

 第3は、米国は貿易収支の定義を変更して輸出からは再輸出分を除くとの報道についてです。この定義変更によって例えば対メキシコ貿易収支の赤字は631億ドルから1154億ドルに拡大するようですが、この件については3つの疑問があります。第1は再輸出分を輸出から控除するのであれば、輸入からも同額を控除すべきであるがなぜそうしないのかという疑問です。第2は、よく知られているように、国際収支統計はIMFが作成した世界標準に基づいて各国が作成しています。米国だけ貿易収支の赤字を大きく見せるというトランプ標準に換えることは許されるのでしょうか。まさか最大の出資国である米国はIMFを脱退する気なのかと疑いたくなります。第3の疑問は仮に貿易収支の定義をこのように変更することが許されたとしたら、国連による世界標準によって作成されているGDP統計の中の純輸出の赤字も当然大きくなり、米国のGDPは小さくなります。トランプはそれには満足するのでしょうか。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 国際18掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
国際18掲示板  
次へ