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アジア・エネルギー・リング: 現実化しつつある未来図
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2017年3月25日 マスコミに載らない海外記事
2017年2月17日
Dmitry Bokarev
New Eastern Outlook
最初にロシアが提案した、アジア・エネルギー・リング(AER)の草稿は長年存在していたが、様々な理由から、実現はしていない。しかしながら、ロシア、アジア・太平洋地域のパートナー諸国の双方に恩恵がもたらされるのが確実なので、アジア・太平洋地域における最近の進展が、モスクワが構想を実現するのを後押しする可能性がある。
AERプロジェクトには、国家間で送電できる単一の電力ネットワークの実現が必要だ。
そのようなネットワークがあれば、ある国での発電が消費を上回った場合に生じる余剰電力を効率的に配電できるようになる。ロシアには、アムール地域では、常にそのような余剰があり、中国の北東諸州と国境を接していることは注目に値する。そこは工業地帯で 膨大な産業からの需要があり、消費電力量が毎年増加し続けている。
余剰や不足電力の発生は発電される地域にのみ依存するわけではなく、季節にも依存する。例えば、寒い気候のおかげで、ロシアでは、夏の方が、冬よりエネルギー消費が少ない。同時に、昼間の電力消費は、夜の時間より遥かに多いことも良く知られている事実だ。もしAERが実現すれば、ロシアは、余剰電力を中国に、更に、急速に増加しつつある人口が、経済拡大を推進しており、それにより不断のエネルギー消費をもたらしている他のアジア太平洋諸国に輸出することが可能になる。
もしロシアが、単一ネットワークで、アジア-太平洋諸国につながれば、全ての当事諸国は、負荷をお互いの間で均等に分散し、余剰エネルギーを容易に分け合うことが可能となるだろう。更に、当時諸国は、現地での発電を混乱させるような災害に対する備えを強化できることにもなる。
AERの概念が初めて紹介された1990年代末には、ロシアと、中国、モンゴル、北朝鮮、韓国や日本などの国々をつなげることが計画されていた。ところが、その実用化は延期されつづけて来た。
2011年、福島第一原発事故の後、AERへの関心が高まった。当時、日本は原発の稼働停止を余儀なくされ、新たなエネルギー源を緊急に必要としていたのだ。膨大な炭化水素資源があり、地理的に近いロシア以上の適切なバートナーを探し出すのはまず無理だろうことは言うまでもない。ところが、長年にわたる様々な政治論争が、モスクワと東京との二国間関係をこじらせ、この分野での両国の協力を妨げてきた。それでも、多少の進展はあった。2016年3月、北京が、北東アジアにおける相互接続された配電システムの推進協力の覚書に調印した。文書には、ロシア最大の送電企業ロスセチ、中国の国家電網公司(SGCC)、韓国電力公社SKEPCOと、日本のソフトバンクが署名した。覚書によれば、ロシアは、pledged近い将来、電力供給を日本に開始する。2016年6月、モスクワは、年次サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)を主催したが、そこで、AERプロジェクトは活発に論議された。
当時、日本側は、日本海縦断に敷設する海底電力ケーブルに、100億ドル拠出する意図を発表した。だがその後、改定が必要な多数の国内法があるため、日本は電力を輸入することができないことをモスクワが知ることとなった。ロシアとの政治対話で、北方領土問題などを議論するなか、エネルギー協力を利用して、東京は時間稼ぎをしている見なされている。とはいえ、日本にとって、エネルギー安全保障は大きな懸念なので、近い将来、AERを実施する妨げになっている法律を、日本が改定する可能性は高い。だから、新たな国々がプロジェクトへの関心を示しつづける中、日本のAER参加は時間の問題にすぎない。
2016年9月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウラジオストックでの東方経済フォーラム(EEF)で、AERプロジェクトを話し合う作業部会を設置するよう提案した。ロシア大統領によれば、モスクワは、二国間の協定で長期間固定される、地域にとって手頃な価格水準を維持して、電力をアジア・太平地域に輸出することが可能だという。
2017年1月、バンコクで一連のフォーラムが開催されたが、いずれにもエネルギー省のキリル・ モロツォフ次官率いるロシア代表団が出席した。特記に値するのは、初めて、エネルギー協力に関するタイ-ロシア作業部会と、モロツォフ次官が、AERプロジェクトを説明したESCAP(国際連合アジア太平洋経済社会委員会)会合だ。
プロジェクトは、東南アジア各国から多くの関心を集めているが、専門家によれば、ロシア電力の最初の輸出は、2025年という早い時期に開始可能で、その頃には東南アジア諸国における電力需要は膨大となっており、ロシアによる提案は時宜に適っている。
タイ当局が、プロジェクトへのかなりの関心を示している。現在、タイは地域における、電力の主要消費国の一つになっているが、自国の発電能力では増大し続ける需要を満たすことができない。そこで、水力発電所が発達している隣国ラオスから、電力を購入することが良くある。近年、タイは、ロシアとの関係をかなり深めていることも注目に値する。そこで、タイと、ロシア連邦が主導的役割を演じているユーラシア経済連合 (EAEC)との間で、自由貿易圏を設ける交渉も行われている。従って、ロシアにとって、タイは実に有望なバートナーだと言って良いだろう。しかも、タイは最も発展したASEAN諸国の一つなのだから、更に多くの地域の国々を、AERプロジェクトに参加させるだろう。
長年にわたる交渉の後、近頃、AERが実現に大きく近づいているといっても誇張ではあるまい。いつか実現することになれば、アジア・太平洋地域全体に対するエネルギー安全保障を確保し、ロシアとの経済的、政治的つながりを強化することに貢献することになる。更に、モスクワが、資源を慎重かつ効率的に利用することも意味するが、これも極めて重要だ。
ドミトリー・ボカレフは政治評論家。オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。
記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/02/17/asian-energy-ring-the-vision-is-being-turned-into-reality/
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