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トランプ米政権が議会に提出する2018会計年度の予算案の概要が16日明らかになり、各方面に衝撃が広がっている。「強い米国」をつくる国防費を大幅に増やすため、途上国などへの援助や地球温暖化対策費などを大幅にカット。国内の低所得者への生活支援策も削減対象になるなど、反発が出ている。
政権は「米国第一予算」と名付け、目玉は国防費の540億ドル(6兆1千億円)増額。政権幹部は「強い力の政権であるという、同盟国と潜在的な敵対者への大統領からのメッセージ」と強調している。
「強さ」と引き換えに削減対象になったのは、住居や食糧、教育、法律など、低所得世帯向けの支援策が目立つ。山地での職業訓練や雇用創出に取り組む団体への財政支援の廃止も盛り込まれた。
これに民主党系の議員を中心に「勤労世帯を危険にさらす」(民主党下院トップのペロシ院内総務)、「高齢者や子ども、労働者の支援策を削減するべきではない」(サンダース上院議員)と反発が広がった。
もう一つ目立つのが、対外援助の大幅削減だ。
政権は、国務省と、海外援助を担う国際開発局の予算を全体で28%、101億ドル(約1兆1400億円)減らす方針。行政管理予算局のマルバニー局長は「削減の大半は対外援助に集中する」と明らかにした。
米国は国連で通常予算の22%を負担する最大の財政貢献国。折しも世界では南スーダンなどで2千万人以上が飢餓状態にあり、国連幹部が「国連創設以来、最大の人道危機」と世界に支援を呼び掛けたばかり。マルバニー氏は「今回の方針は驚きではない。大統領は選挙中に『海外の人々に使う資金を減らし、国内の人々により多く使う』と繰り返してきた。それを実行しようとしている」と答えた。
上院外交委員会のカーディン議員は「この予算が通れば、世界は米国にとってより危険になり、国益の保護や価値の普及が困難になる」と懸念を表明した。ゲイツ財団は「予算案は国内外の最貧困層に偏って影響する」と表明した。(ワシントン=金成隆一)
■温暖化対策も「税金の無駄」
「気候変動にはもう予算は使わない。税金の無駄だ」。ホワイトハウスであった記者会見で、マルバニー局長はこう述べた。国内の温暖化対策を担う環境保護局(EPA)の予算の削減幅は、関係省庁で最大の31%減。17年度の予算約82億ドル(約9350億円)から一気に57億ドルになる。1万5千人の職員のうち約2割を解雇するという。
さらに、現行予算から28%減となる国務省でも気候変動関連が標的に。オバマ前政権が国際公約に掲げた途上国の温暖化対策を支援する「緑の気候基金」への総額30億ドルの拠出金などを停止する。エネルギー省(DOE)では、核保安関連部門が前年比で11%増えるのに対し、省エネや次世代エネルギー技術の開発支援などが打ち切られ、予算全体で5・6%減となる。
航空宇宙局(NASA)では、気候変動の観測などに使う人工衛星4機の運用停止などが盛り込まれた。
政権の提案通りに予算案が決まれば、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」への影響は避けられない。
がん治療や感染症対策など先端医療研究を担う国立保健研究所(NIH)も、18%減の259億ドルになる見通し。NIHは、予算の8割以上を国内外の研究者に支援する役割も担う。30万人以上が支援を受けており、NIHの支援を受けてノーベル賞を受賞した研究者は、日本人を含め約150人に達する。
オバマ政権で大統領補佐官(科学技術担当)を務めたホルドレン・ハーバード大教授は、声明で「世界における米国の地位や国際関係の深刻な妨げになる」などとして、議会に見直しを求めている。トランプ政権は、5月により詳細な案を示す見通し。米国では予算案を出す権限を議会が握っており、折衝は難航が予想される。(ワシントン=小林哲)
3月18日 朝刊
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