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FX Forum | 2017年 03月 15日 12:29 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:欧州政治のトランプ化、実はEUの救世主
嶋津洋樹MCP シニアストラテジスト
[東京 14日] - 筆者は昨年6月のコラムで欧米政治の急進化を中道左派勢力の退潮と結び付けて論じた。その流れは、米大統領選でクリントン民主党候補が敗北し、トランプ共和党候補が勝利したことで一段と加速したと言えるだろう。
しかし、トランプ氏の米大統領就任をきっかけに、その潮目が変わりつつある。実際、欧州各国では最近、急進的な公約を掲げて台頭した政治勢力の人気に陰りや伸び悩みが見える一方、中道左派や中道がじりじりと支持を集めている。
例えば、15日に総選挙を控えるオランダでは、反移民や反イスラムを掲げる右派の自由党(PVV)の支持率がじりじりと低下。ルッテ首相の率いる中道右派の自由民主国民党(VVD)との差は一時に比べてかなり縮小した。ただし、必ずしもVVDが支持率の主な受け皿となっているわけではなく、中道左派の労働党(PvdA)や民主66(D66)、中道系のキリスト教民主アピール(CDA)の党勢回復が目立つ。
また、ドイツでは「ドイツのための選択肢(AfD)」内で路線対立が表面化。AfDはユーロ圏の解体などを主張し、今秋に予定される連邦議会選で第3党への躍進が予想されていたが、今や分裂の危機さえ報じられている。この間、メルケル首相の率いるキリスト教民主同盟(CDU)/キリスト教社会同盟(CSU)は安定した支持を確保。そこへ、最近はシュルツ前欧州議会議長が党首に就いた中道左派の社会民主党(SPD)が追い上げ、接戦となっている。
これらとは対照的に、フランスでは依然として国民戦線(FN)のルペン党首が高い人気を誇る。しかし、候補者が乱立する中、第1回投票を首位で勝ち抜くことはできても、決選投票を制することは難しいとみられている。それどころか、最近では中道系のマクロン元経済相が幅広い支持を獲得。第1回投票を首位で通過した上、決選投票を制するとの調査結果も報じられ始めた。
──フランス大統領選挙:候補者の横顔と支持率推移
むろん、米大統領選でのトランプ氏勝利や英国民投票での欧州連合(EU)離脱選択の経験は、こうした調査がそれほどあてにならないことを示しており、結果をうのみにするわけにはいかない。ただ、トランプ大統領は移民の受け入れや環境保護など、欧州で重要視される価値観の尊重に消極的で、それに関連した大統領令への署名が国際的な物議を醸してさえいる。欧州の人々が似たような公約を掲げる政治勢力への支持を続けるとは考えにくい。
一方、トランプ大統領の掲げる経済政策への共感が、欧州での中道左派や中道系の復調につながっている可能性もある。というのも、トランプ大統領の掲げる経済政策は米共和党の保守派が好む自由主義と明らかに一線を画しているからだ。このことは、党内保守派が反対するオバマケア(医療保険制度改革法)の代替案に賛成したことからも明らかだ。企業の意思決定に介入してまで自国の雇用を重視する姿勢は、左派的とさえ言えるだろう。
<中道左派の失地回復で欧州が再び団結する可能性>
筆者は、欧州の中道左派や中道系の支持率回復について、トランプ大統領の左派的な経済政策に対する実利的な共鳴なしで説明することは難しいと考えている。もちろん、トランプ大統領の政治的な思想に対する感情的な反発を抱く人はいるだろうが、それは左右を問わず中道系の追い風になるはずだ。そして、今のところ、中道左派や中道系に比べると、中道右派の支持率回復は限られている。
欧州政治を分析した「The Franco-German Axis in European Integration」(2001年刊、Gisela Hendriks/Annette Morgan著)では、ドイツとフランスをけん引役とする欧州統合の共通理念として、共同体的な社会を重視する「キリスト教的民主主義イデオロギー(Christian-Democratic ideology)」と、社会的な配慮の必要性を説く「ラインラント資本主義的経済モデル(’Rhineland capitalism’ economic model)」が指摘されている。
この2つの基本理念こそ、トランプ大統領に対する欧州世論の反発と共鳴という一見矛盾した反応をもたらしたと考えられる。トランプ大統領の誕生は、欧州統合の基本理念を問い直すきっかけとなった可能性があるのだ。
なお、英国は「キリスト教的民主主義イデオロギー」と「ラインラント資本主義的経済モデル」のいずれとも縁遠い。英国が昨年、EUからの離脱を決めたこともまた、欧州が統合の基本理念に立ち返るきっかけとなったかもしれない。
こうしたことを踏まえると、欧州主要国の中道左派や中道系は今年の選挙でかなり善戦する可能性がある。それどころか、欧州各国がEUやユーロ圏という枠組みで団結を取り戻すことも考えられるだろう。
欧州における中道左派や中道系はもともと右派や中道右派に比べて親EU、親ユーロ色が濃く、統合の深化や促進に前向きな傾向が強い。ドイツでシュルツ前欧州議会議長の率いるSPDが政権を獲得すれば、欧州内の遠心力も弱まりそうだ。
というのも、ドイツでの政権交代は、世界的な緊縮財政路線の見直しを加速させると考えられるからである。それは、欧州での政治的、経済的な緊張も緩和させる可能性が高い。欧州債務危機以降のドイツは、国内世論の支持を取り付けるためとはいえ、原則論を振りかざし、域内の被支援国を中心に一方的な緊縮財政を求めてきた。そうした姿勢が、ドイツ以外の国でのポピュリズムや急進勢力を台頭させた可能性は否めないだろう。
メルケル独首相は今年、3期目を終え、4期目を目指している。トランプ米大統領の誕生で、メルケル首相を自由主義世界の盟主と仰ぐ向きも少なくないが、それは買いかぶり過ぎというものだ。15日のオランダ総選挙では、PVVの動向に加え、中道左派や中道系の躍進にも注目する必要がある。
*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントなどを経て2016年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネジャーとしての経験を活かし、経済、金融市場、政治の分析に携わる。共著に「アベノミクスは進化する」(中央経済社)
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
(編集:麻生祐司)
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2017年3月15日 ロイター
仏のユーロ離脱に備え、物価連動債取引が活発化
3月13日、来るフランス大統領選で同国のユーロ離脱を唱える極右政党、国民戦線のルペン党首(写真)が勝利してインフレが起こる事態に備え、投資家は同国の物価連動債を買うなどのヘッジ取引を行っている。仏シャトールーで11日撮影(2017年 ロイター/Christian Hartmann)
[ロンドン 13日 ロイター] - 来るフランス大統領選で同国のユーロ離脱を唱える極右政党、国民戦線のルペン党首が勝利してインフレが起こる事態に備え、投資家は同国の物価連動債を買うなどのヘッジ取引を行っている。
ルペン氏が勝利する可能性は小さいと見られているが、仮に勝利してユーロから自国通貨に切り替えられた場合、新通貨は下落してインフレを招くとの理屈が背景にある。英国では国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利した後、ポンドが下落して物価が上昇した。
投資家が手掛けているのは、利率がフランスの物価に連動する国債を買い、ユーロ圏の物価に連動する国債を売る取引だ。
ある主要銀行の国債トレーダーはこうした取引について、「かなり純粋に通貨切り替えのヘッジになる。ほかにそうした取引は珍しい」と説明した。
資産運用会社パイオニア・インベストメンツの欧州債券責任者、コジモ・マラシューロ氏は「わが社は現在、10年物のフランス物価連動債を買って10年物のユーロ圏物価連動債を売っている。これならルペン氏が選挙に負けても機能するのでお気に入りだ」と話した。
大統領選で中道系のマクロン前経財相が勝利した場合でも、同氏はインフレ率を押し上げるような政策を実行しそうだとマラシューロ氏は説明した。
直近の世論調査では、大統領選は4月の第1回投票でルペン氏の得票率がマクロン氏をわずかに上回るが、5月の決選投票ではマクロン氏が大差でルペン氏を破る見通しとなっている。
(Abhinav Ramnarayan記者)
http://diamond.jp/articles/-/121416
Business | 2017年 03月 15日 17:25 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
G20、「経済の強靭性」で文書 自由貿易の意義も明記=関係筋
[東京/ベルリン 15日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、今年の主要テーマの1つである「経済の強靭(きょうじん)性」に関し、財政の持続可能性や自由貿易の意義などを盛り込んだ付属文書の取りまとめを検討していることが15日、明らかになった。共同声明(コミュニケ)とは別の文書とする方向で、17日からドイツのバーデンバーデンで始まる会合で採択を目指す。
G20交渉に詳しい複数の関係筋が明らかにした。付属文書の策定は議長国・ドイツの発案で、実体経済や金融政策、貿易など5分野・10項目程度について、中長期的な観点から経済財政のあり方を指摘する「原則集」の色彩が強い。
具体的には、過去のG20での議論を踏まえ、財政余地を確保することの重要性に触れるほか、通商分野では公平で自由な貿易の意義を明記し、保護主義への反対姿勢をにじませる公算が大きい。
トランプ新政権発足後、幹部職員の不在が続く米財務省が「現段階では組織として明確な意思決定ができない」(G20交渉筋)ため、各国は米国の事情を考慮した上で最終的な文言調整を続けている。
G20の共同声明の内容は、その時々の世界の経済情勢が色濃く反映されることが多い。ドイツ当局は、経済が「危機」から「平時」に移行しつつある現状を踏まえ、共同声明とは別に、経済財政運営を巡るより普遍的な指針が必要と判断した。
この付属文書はバーデンバーデン会合で示される方向だが、今後の調整次第では7月のG20首脳会合(ハンブルク・サミット)まで持ち越される可能性もある。
(ポリシー取材チーム 編集:田巻一彦)
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http://jp.reuters.com/article/g-idJPKBN16M0TZ
World | 2017年 03月 15日 13:33 JST 関連トピックス: トップニュース
トランプ米大統領、財務副長官にゴールドマン幹部指名へ
[ワシントン 14日 ロイター] - 米ホワイトハウスは14日、トランプ大統領が財務副長官にゴールドマン・サックス(GS.N)のマネジングディレクター、ジェームズ・ドノバン氏を指名する見通しであると明らかにした。
トランプ大統領は、ムニューシン財務長官やコーン国家経済会議(NEC)委員長など、既に数名のゴールドマン・サックス幹部を政権ポストに起用している。
ホワイトハウスによると、ドノバン氏は、ゴールドマンで企業戦略や投資銀行業務、運用などを担当。財務省では国内問題を担当する予定という。
大統領はまた、昨年の選挙戦でトランプ氏の経済アドバイザーだったデービッド・マルパス氏を国際問題担当の財務次官に指名する。同氏は、ロナルド・レーガン政権とジョージ・H・W・ブッシュ政権の時の政府高官。金融危機で破綻したベア・スターンズでエコノミストも務めた。
さらに、司法省の元高官シガール・メンデルカー氏をテロ・金融諜報担当の財務次官に指名する。
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