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2017年2月27日 野地 慎[SMBC日興証券為替・外債ストラテジスト]
極右当選懸念で仏長期金利上昇 大統領選後は急低下の公算も
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2017年の欧州は「政治イヤー」とされ、ドイツやフランス、オランダなどで総選挙や大統領選挙が行われる。高失業率などを背景に政治への不満は高まっており、選挙結果を懸念する声も増えつつある。
ただ、米国などと違い、少数政党が議席を奪い合う国が多いのが欧州の特徴だ。総選挙において過半数を獲得する政党が現れず、連立形態の政権となるケースが多い。
オランダの総選挙では、イスラム系移民の排除やEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票の実施を主張している極右の自由党が第1党に躍り出る可能性が高い。
だが、他の政党が自由党との連立を拒否することで自由党以外の勢力による連立政権が樹立されそうだ。現時点ではイタリアの五つ星運動も政権奪取は難しいだろう。
ただ、フランスでは4月に行われる大統領選(初回投票)で反EUを掲げる国民戦線のル・ペン党首が1位通過するとの世論調査の結果が出続けており、フランスの政治リスクが最も高いとの声が増えてきた。
最有力候補のフィヨン元首相が公金不正受給問題で支持率を落とし、フランス10年債利回りは対ドイツ10年債利回りスプレッドを拡大させながら急上昇した。
しかし、決選投票となった場合、ル・ペン党首の極端な政策を嫌う多くのフランス国民がフィヨン元首相かマクロン前経済産業相のいずれかに投票するとの世論調査の結果も明らかになっている。
仏独のソブリンCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のスプレッドがさほど拡大していないことからも、フランスのリスクが急速に高まったともいい難い。長期金利の上昇ペースはいささか速過ぎるようにも見える。
最近2カ月ほどの本邦投資家の外債投資動向に注目すると、フランス国債の売り越しが目立つ。それがフランス国債利回り上昇に大きく寄与していると考えられる。
ECB(欧州中央銀行)による資産買い入れ政策により各国国債市場の流動性が低下する一方、資金運用難のわが国から多くの資金が流入し、ユーロ圏各国の債券市場では本邦投資家の影響力が格段に強まった。
その後、トランプ米大統領誕生をきっかけに強まった世界情勢の不透明感の中、本邦投資家のポジション解消がフランス国債利回りを押し上げたものと推察される。
3月末が本邦金融機関の決算に当たることを考えれば、早ければ4月に、資金運用難の中で一定の利回りが期待でき、為替ヘッジコストも低いフランス国債に本邦投資家の資金が流入し、今回の長期金利急騰と同じようなペースで同国の長期金利が低下することも十分に想定される。
(SMBC日興証券為替・外債ストラテジスト 野地 慎)
http://diamond.jp/articles/-/119351
債券トレーダーがフランス大統領選に注目、最近の米国債動かす材料に
Brian Chappatta
2017年2月27日 14:21 JST
トランプ大統領の演説とイエレンFRB議長の講演が今週の注目材料
仏大統領選の動きも重要であることが先週示された
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トランプ米大統領の演説とイエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が、米国債トレーダーにとって今週の大きな注目材料であるものの、欧州での予期せぬ動向が相場を最も大きく変動させる可能性がある。
トランプ氏は28日夜に議会で演説し、イエレン氏は3月3日午後に経済見通しについて講演する。しかし、先週に基づいて判断するなら、フランスの政治にもトレーダーらは注目することになるだろう。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表された今月22日、米国債市場を大きく動かしたのは仏政治家のフランソワ・バイル氏だった。
仏南部で市長を務める中道派のバイル氏は、今年の大統領選に出馬しない意向を表明。その後たった3分間で、米10年債利回りは約3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。同氏は同じ穏健派のマクロン前経済相への支持を申し出たが、両氏の共闘は反ユーロを掲げる極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首に打撃となる可能性があり、安全資産需要を抑えた。
MCAP(ニューヨーク)の債券取引責任者、マイケル・フランゼーゼ氏は23日、「フランスのヘッドラインがわれわれを動かしているようだ」と指摘した。
市場は今週、トランプ氏の演説で財政刺激策の詳細が示されるのを期待するほか、イエレン氏の講演では早ければ3月の利上げを真剣に考えているかについて手掛かりを探る。イエレン議長とフィッシャー副議長の講演が行われる3月3日の翌日、米金融当局は同月14−15日のFOMC会合前のブラックアウト期間に入る。
原題:Bond Traders Master French Politics as Latest Treasuries Trigger(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-27/OM0MHY6TTDS001
【コラム】トランプ氏議会演説、混乱リセットの機会になるか−ハント
コラムニスト:Albert R Hunt
2017年2月27日 12:54 JST
トランプ米大統領が上下両院合同本会議で28日夜行う初の演説は、記憶にある限りで最も期待が大きいイベントかもしれない。その理由は、トランプ氏に説得力があるからではない。むしろ、大統領としての同氏の実体について、まだよく分からないためだ。
オバマ前米大統領やジョージ・W・ブッシュ、ロナルド・レーガン両元米大統領にとって就任後初の2月の議会演説は、はっきりしていた政策枠組みの定義をより明確にする機会となった。これに対し、トランプ氏からは政権を運営している感じが伝わっておらず、大統領選を特徴付けた侮辱的言動や言葉遣いを好んで使っている。
医療から税制、予算、中国、北大西洋条約機構(NATO)、外国への干渉など、大統領就任から5週間でトランプ氏は透明性よりも混乱を作り出した。それが認識不足を示すにしろ、関心の欠如を反映するにしろ、28日はリセットする機会になる。
予算を提示するわけではないため、詳細に触れないのは妥当だろうが、それでもトランプ氏は大まかに優先事項や希望事項を明らかにすることはできる。議会の多くの共和党指導者らが期待するように、大規模インフラ計画について発表を来年まで遅らせる方針だろうか。選挙公約はしたものの、社会保障やメディケア(高齢者向け医療保険制度)などの給付金プログラムに手を付けずに、どのように支出を削減するつもりだろうか。
オバマケア(医療保険改革法)についても、共和党議員らが完全撤廃の公約を果たすのに苦戦する中で、トランプ氏はもっと安くて優れた制度を導入すると誓っている。実現困難にみえる綱渡りをどう行うのか、説明しなければならない。
税制では「国境調整税」についての考え方を聞きたいものだ。輸入業者よりも輸出業者を優先させる同税の生命線は政治が握っている。また同氏は最低でも、2001年当時のブッシュ大統領の例に倣い、税率をどこまで下げたいか宣言することはできる。
トランプ大統領に選挙公約をコストフリーで実現できるふりをするのはやめ、費用をどう捻出するのかの説明を始めてほしいと要求するのは恐らく難しいだろう。同氏が軍事費の大幅拡大を支持するのは確実だろうが、国防総省における希望リストを正当化する戦略は示すだろうか。
トランプ氏は前任者2人の最初の議会演説を参考にするのが賢明かもしれない。両者ともに、政策上の優先事項を明確にしていた。オバマ氏はクリーンエネルギー投資と教育、国民皆保険制度に触れ、ブッシュ氏は減税と選択的な教育イニシアチブを表明。こうすることで、両者とも国家安全保障が最優先ではないと示唆した。
ブッシュ政権は減税の大部分を実現したが、2兆ドル(現在の為替レートで約224兆円)の国家債務を10年で削減する試みは失敗に終わり、実際はその7倍に膨らんだ。もちろん、01年2月時点で、その7カ月後に同時多発テロが起きると予想することは不可能だった。オバマ氏が演説で掲げた内容はその後のヘルスケアや国内課題に対する行動に反映された。8000億ドルの刺激策は米経済が08年の金融危機から回復するのを助けたほか、政治腐敗もおおむねなく、数百万人の雇用を創出した。
ホワイトハウスは28日の議会演説は、暗い論調だった就任演説よりも明るいものになると説明している。 それは歓迎すべきだろう。トランプ氏は真実をごまかすことさえ、やめるかもしれない。就任後の同じ期間で比べると、本人は否定するだろうが、トランプ氏はこれまでのどの米大統領と比べても功績が少ない。オバマ氏は就任1カ月で法案面で実績があったほか、レーガン、ブッシュ両元大統領の政策綱領も前進していた。
28日の夜に向け、もう一つのはかない希望もある。自己陶酔型でユーモアのかけらが見られないトランプ氏が明るい側面をちらりとでも見せてくれるかということだ。(アルバート・R・ハント)
(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)
原題:Trump’s Chance to Tell Us What He Really Wants: Albert R. Hunt(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-27/OM0FWX6JTSE801
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