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(『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』メルマガ−本文のみ転載)
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日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信
「トランプ・ドクトリンを発表せよ!」(ブレジンスキー)
カテゴリー:ニュース・情報源、一般ニュース、国際情勢
2017年02月24日
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┃日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信 ┃ http://www.realist.jp
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├ 2017年02月22日「トランプ・ドクトリンを発表せよ!」(ブレジンスキー)
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おくやま です。
さて、トランプ政権に対して民主党系の大御所であるブレジンスキーが、NYタイムズ紙に「ドクトリンを出せ」という内容の論評を共同で出しましたのでその要約を。
これは共著なので、おそらく文そのものを書いたのはワッサーマンの方でしょう
それでもロシアに対する警戒感と、中国に対する融和的な態度、大国の戦略家にありがちな「上から目線」、そして大国による世界バランスの安定(この場合は米中露)を提唱しているところなどは、明らかにブレジンスキーの意見ですね。
たしかにドクトリンを表明することは重要でしょうが、報道で漏れてくるところを見ると、トランプ側としての正直な気持ちとしては「したくてもできない」ということでしょう。
これまでの前例を考えると、トランプ政権の混乱は少なくともあと一年以上は続くわけですから、このような提案もそれまでは虚しく響くだけ、ということになりそうです。
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なぜ世界はトランプ・ドクトリンが必要なのか
By ズビニエフ・ブレジンスキー&ポール・ワッサーマン
世界の秩序は混乱状態にある。
世界はこのような同時に頻発する可能性の高い問題に対処できる国際秩序をもたないままに、その混乱に突入しつつあるのだ。
この問題をさらに複雑にしているのは、主要国のカオスが、さらに破滅的な結果につながる可能性があるという点だ。
これまでトランプ大統領はこのような世界情勢に対して、アメリカがいかに対処していくのかについて重要な発言を何も計画していない。その代わりに、彼の政権からは無責任かつ調整されないまま無知な声明が発表され、世界はそれを解釈するだけのような状態になっている。
重要な位置を得ようとする人間であれば誰でも、自分がたまに発する単純かつ極端な言葉づかいを「国家政策にしようとしている」と思われるような事態はさけなければならないものだ。
ところが最近起こったアメリカの対モスクワ政策における失策は、政権発足からたった24日目のマイケル・フリン国家安全保障アドバイザーの辞職につながっていることからも明らかだ。
われわれは大統領選でトランプ氏を支持しなかったが、それでも彼はアメリカの大統領である。彼はわれわれの大統領なのであり、われわれは彼に成功してもらいたいのだ。
ところが現在の彼は世界にとって、そしてわれわれにとっても「成功してもらいたい人物」のようには見えない。脆弱な世界には、楽観主義や進歩を反映した明晰な考えやリーダーシップによって性格づけられた、「アメリカ」が必要なのだ。
「アメリカを再び偉大に」や「アメリカ第一」というのは、車のバンパーに貼るステッカーの文言としては素晴らしいものだが、アメリカの対外政策はそのような選挙戦用のスローガンよりもはるかに重要なものであるべきだ。
したがって、われわれはトランプ大統領に対して、世界をより安定したものにする上で
アメリカがリーダーシップをとるという決意を含む、自らのビジョンを、大胆に説明する声明を発表するようにアドバイスしたい。
この声明は必ずしもアメリカの対外政策を詳細につめた青写真のようなものである必要はないのだが、それでも自分がアメリカが事態を注意深く見守っており、それに積極的に関与していると同時に歴史全体の流れを自覚していることを思い起こさせるようなものであることが求められる。
われわれが大統領から聞きたいのは、なぜアメリカが世界にとって重要であり、なぜ世界はアメリカを必要としているのか、ということだ。同時に大統領はこの機会に便乗して、アメリカ自身が世界からどのような貢献をしてもらいたいのかを表明することもできる。
われわれは大統領が毎日行っている細かい決定には賛成できなくとも、理想的な長期解決法としては、世界の三大軍事大国(米・中・露)が世界情勢の安定を保つために協力しあえるようなものしかないことを認めることが求められている。
この問題の多くは、アメリカと中国がどこまで対話を成功させることができるかにかかっている。そうなると、米中間におけるより深刻な戦略面での理解への道が広がってくるのであり、これが実質的に三大軍事大国の間でのより長期的な相互理解につながる。
なぜならロシアは、自分たちが米中間の調整に入れてもらえなければ、自らの国益にとってリスクになることを気づくはずだからだ。
また、アメリカはロシアと中国が戦略的な同盟を結ぶ危険を常に自覚しておくべきだ。このような理由から、アメリカは中国を下位の立場にある者として扱って行動してはならない。これは中国とロシアを近づけてしまうだけだからだ。
より直近の懸念としては、北朝鮮が及ぼす問題があるのだが、これは北朝鮮の強力な隣国である中国や日本(そして潜在的にはロシア)との緊密な連携がさらに必要になるはずだ。よって、アメリカの単独の動きは、北朝鮮をポジティブな方向に動かす可能性が低いのである。
もしアメリカがロシアとの関係を改善するのであれば、互いに「法に規定されたコミットメント」が国際的な秩序にとって重要であることを再認識する必要がある。表面的に関係改善は、近隣の弱小国にたいする騙しや策略、もしくは暴力などを覆い隠すようなものであってはならないのだ。
ロシアとの関係改善を求めるトランプ大統領の方針は賢明であると言えるが、許容できる行動範囲を規定した枠組みが必要であり、残念ながら現時点ではこれは存在しない。
ロシアは、ウクライナやウズベキスタンのような非ロシアの元ソ連邦諸国がその独立状態を確立しつつある状態に直面しており、同時に中国が経済的に中央アジアに浸透しつつあるために、その地域への影響力を落としている。
よって、この三大軍事大国にとっての利害関係というものは大きいのだが、同時にそこから受けられる潜在的な利益は大きく、この事実をこの三国は十分わかっている。
短期的にみれば、アメリカは日本や英国のような友好国たちと地域的な合意の形成を目指すべきであろう。このような国々との関係は、地域情勢を管理する点において必須のものだからだ。
ここから考えれば、トランプ政権が日本と韓国に対するアメリカの支持を再確認するような動きをしたことは期待のもてるものだ。ところがNATOの中心的存在であるアメリカは、西欧と中欧を守る備えもおこたってはいけない。
トランプ大統領は自らの経験を通して、ビジネスの力を知っている。アメリカはロシアに対して、紛争当初にウクライナ東部で見られたような「小規模な緑の制服の人々」を使った戦術を含む、欧州に対するいかなる軍事的急襲も、ロシアの西側に対する海洋のアクセス(ロシアの海上貿易の75%)への処罰的封鎖につながることを明確に伝えるべきだ。
戦略的な意思決定のためのリーダーシップの任命におけるトランプ政権のこれまでのハチャメチャな仕事ぶりを踏まえて考えると、大統領がリーダーシップのビジョンとコミットメントを表明することは、アメリカだけでなく世界にとっても決定的に重要となる。
つまり「トランプ・ドクトリン」とでも呼べるようなドクトリンが本当に必要なのだ。
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