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先制攻撃か暗殺か 「ならず者国家」最終的にどうする?
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/200150
2017年2月23日 日刊ゲンダイ 文字お越し
12日のミサイル試射を視察(C)AP
マレーシアの空港で起きた金正男暗殺事件は異様な展開になってきた。北朝鮮と友好関係にあったマレーシアだが、自国の空港で白昼堂々、暗殺が行われたことに激怒。ガンガン、北朝鮮を追い詰めているからだ。
マレーシア当局は22日、現地在住の北朝鮮大使館の2等書記官(44)や北朝鮮国営の高麗航空職員(37)ら3人の関与にも言及。北朝鮮に対し、事情聴取への協力や、すでに北に帰国したとみられている首謀者4人組の身柄引き渡しも求めている。
こうなってくると、いくら厚顔の北朝鮮も「知らぬ存ぜぬ」は通用しない。さあ、追い詰められた金正恩朝鮮労働党委員長はどう出るか。それに対し、国際社会はどう動くか。先制攻撃や暗殺、クーデターなど、何が起こるか分からないのだ。国際政治に精通しているジャーナリストの歳川隆雄氏の見立てはこうだ。
「まずマレーシアは北朝鮮との国交断絶に踏み込むと思います。政治的にも経済的にも北との結びつきの強い友好国ですが、その関係はこじれにこじれた。インドネシア人を実行犯に仕立てたことでインドネシアとの関係も危うくなるでしょう。両国は初代のスカルノ大統領と金日成主席時代から友好関係を続けてきましたが、自国民が犯罪に加担させられたとなれば、世論も黙っちゃいない。数少ない友好国から見限られた北朝鮮は、いよいよ国際的に孤立していくことになると思います」
■米が北をテロ支援国家に再指定の可能性
コリア国際研究所の朴斗鎮所長の分析も興味深い。
「金正男暗殺事件を受けて、金正恩委員長を国際刑事裁判所(ICC)に提訴する動きが強まっています。国連安保理の決議があればできます。ICCが逮捕状を発行すれば、金正恩委員長は国際的に犯罪者と認定される。犯罪者と対話する国はありません。核ミサイル開発で揺さぶり、米国を交渉のテーブルに引っ張り出そうとする金正恩委員長のもくろみは吹っ飛ぶことになる。加えて、米国議会では2008年に解除したテロ支援国家の指定を、再検討する声が強まっています。再指定されれば、そのダメージは現行の経済制裁どころではすまない。金正恩委員長が最も恐れるシナリオが現実になれば、独裁者のパラノイアに拍車が掛かるのは必至です」
金正恩の異常性格は折り紙付きだ。11年に後継者のイスに座ると、軍幹部や党高官を140人以上も粛清。叔父の張成沢は機関銃掃射で公開処刑した。加えて、異母兄の金正男まで手をかけた狂った独裁者のパラノイアが、さらに過激化するというのである。世界は恐ろしい緊張に包まれることになる。
北の対応にイラ立つマレーシア警察庁長官(C)AP
膠着状態が続けば核開発が続くというジレンマ
もっとも、別の見立てもある。元外務省国際情報局長の孫崎享氏は「当分、膠着状態が続く」とみる。米政権の人事が進まず、対北朝鮮戦略が一向に固まらないからだという。
「北朝鮮によるミサイル発射を受けた日米共同会見が象徴的でした。トランプ大統領の発言は〈偉大な同盟国である日本と100%ともにある〉のひと言だけ。具体的なコメントがなかったのは、材料がないから。つまり、米国の対北政策は白紙なのです。国家安全保障問題担当のフリン大統領補佐官は辞任に追い込まれたし、後任のマクマスター陸軍中将はワシントン経験ゼロ。軍での功績は大きいが、政治家としての手腕は未知数です。朝鮮半島担当チームが立ち上がるのは夏あたりにズレ込む見通しで、当面は手詰まりが続く。米国は中国に期待していますが、中国は米国が動かなければ動かない。大統領弾劾で揺れる韓国は当事者能力を発揮できる状況にありません」
ただし、こうした国際政治の空白の間隙を突くように、北朝鮮は着実に核ミサイル開発技術を進化させてきたことを忘れてはならない。金正恩の核ミサイルへの執着は生半可ではない。16年に脱北した前駐英公使は、韓国メディアの取材にこう証言している。
「金正恩に核兵器開発政策を放棄させられるかどうかは、インセンティブの質や量とは関係ない。1兆ドル、10兆ドル与えても、絶対に核兵器を手放さないだろう」
先週のミュンヘン安全保障会議で韓国の尹炳世外相は「北朝鮮は核武装の最終段階に近づいている」と警告。核兵器搭載が可能なICBM(大陸間弾道ミサイル)を開発し、米本土を射程に収めるまで「2〜3年かもしれない」と話していた。国際社会の膠着状態はイコール、北に核開発の時間を与えることになる。ここが難しいところだ。
■「先制攻撃も防衛」で平和憲法消滅
そんな中、北の脅威を奇貨とするかのように、軍拡に前のめりになっているのが政府・自民党だ。事実上の先制攻撃を検討する地ならしが始まっている。14日の衆院予算委で敵基地攻撃能力について質問された安倍首相は、こう答弁した。
「変化している状況において、どのように国民を守っていくか常に検討していく責任がある」
19日にテレビ番組に生出演した高村副総裁は、「自衛隊は装備体系を全く持っていない。(先制攻撃について)具体的検討を開始するかどうかという検討はしてもいい」と発言。自民党は23日、「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」(座長・小野寺元防衛相)の初会合を開き、今春をメドに結論を出す方向だ。米軍の最新鋭迎撃システム「THAAD」(高高度防衛ミサイル)導入を皮切りに、装備面を話し合うというが、先制攻撃も防衛に含まれるというのが政府・防衛省の見解だ。
「先制攻撃は国際法上も容認されません。しかし、ほかに防衛手段がなく、必要最小限の〈策源地攻撃〉という概念であれば、憲法上も認められるというのが政府の立場。この場合、移動式ミサイル発射台を直接狙う反撃などを指します。装備を整えるのには時間がかかるので、議論のスピードは速いほどいいのです」(防衛省関係者)
トランプは同盟国にGDP比2%の軍事費負担を求めている。日本は1%台だが、防衛予算は過去最高の5兆円を突破している。
安倍は米国製の防衛装備購入に積極的だ。米国の意向通りに装備を整えたら、どれだけ税金がかかるか分からない。
「THAADを皮切りに、最新鋭ステルス戦闘機のF35の追加配備や、BMD(弾道ミサイル防衛)の一翼を担うSM3のミサイル購入が考えられます。策源地攻撃の整備という環境が整えば、敵基地を狙う巡航ミサイルのトマホークの導入も検討されるでしょう。兆円単位のカネが動くことになります」(軍事ジャーナリストの世良光弘氏)
北朝鮮の暴発を口実に、「米国と一緒に戦争のできる国」になれるなら、安倍は内心、ニンマリではないか。世論がそれを食い止めなければ、外交努力もしないまま、平和憲法はなし崩しにされ、一気に国は変わってしまうことになる。安全保障の議論は、正確な情報が伏せられたまま、脅威だけが煽られ、政府の言いなりで進められてしまう恐れがある。北朝鮮もヤバイが、安倍政権もアブナい。それを肝に銘じるべきである。
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