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2012年の仏大統領選をCIAがスパイしていたというが、米は各国の選挙に介入、政権を倒してきた
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201702170000/
2017.02.17 22:53:37 櫻井ジャーナル
WikiLeaksが公表した資料によると、2012年のフランス大統領選挙でCIAは人間だけでなく電子的な手段を使ったスパイ活動を展開していたという。アメリカが外国の選挙に介入することは珍しくないが、その具体例がひとつ増えたとは言えそうだ。
第2次世界大戦後、アメリカが最初に介入した選挙は1948年のイタリアだと言われている。当時、イタリアはフランスと同じようにコミュニストの力が強く、大戦中にファシストと戦ったレジスタンスの中心もコミュニストだった。
そうしたことから、この選挙でもコミュニストが国民の圧倒的支持を受けて政権を握るだろうと見られていた。この当時、国務省の政策企画委員長を務め「対ソ封じ込め政策」を主張していたジョージ・ケナンは、イタリアの選挙結果がアメリカ側の思惑どおりにいかなければフォッジア油田をアメリカ軍が直接占領すると語っていた。(クリストファー・シンプソン著、松尾弌之訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年/Christopher Simpson, “Blowback”, Weidenfeld & Nicolson, 1988)
CIAと近い関係にあったローマ教皇庁のフランシス・スペルマン枢機卿によると、アメリカ政府は密かに、「イタリアにおける多額の『裏金』をカトリック教会に流していた」(前掲書)のだが、この「裏金」は大部分がナチ・ドイツから押収した資産。いわゆる「ナチ・ゴールド」の一部だった。大戦中、ドイツ軍はヨーロッパ各国の中央銀行から金塊を盗み出し、カトリック教会のネットワークを利用して運んでいたと言われている。
1973年から75年にかけてはオーストラリアの政権を転覆させる秘密工作をCIAは実行している。1972年12月にオーストラリアで行われた総選挙では労働党が勝利、ゴウ・ウイットラムが首相になったのだが、この政権は自国の対外情報機関ASISに対し、CIAとの協力関係を断つように命令、そのCIAに潰されたのである。
アメリカとイギリスの電子情報機関、つまりNSAとGCHQはカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの情報機関を支配下に置き、UKUSAという連合体を作っている。米英支配層はこのシステムを使い、各国政府をコントロールしている。CIAも情報機関のつながりを利用してきた。西側の情報機関は米英が各国に作った「国家内国家」という側面があるのだ。
1973年3月、重要な情報を政府に隠しているという理由で、ウイットラム政権の司法長官は同国のASIOの事務所を捜索、翌年の8月には情報機関を調査するための委員会を設置した。(David Leigh, "The Wilson Plot," Pantheon, 1988)
そして1975年11月、イギリス女王の総督、ジョン・カー卿はウイットラム首相を解任する。憲政史上例のないことだ。総督は名誉職ではなかった。このカーは第2次世界大戦中の1944年、オーストラリア政府の命令でアメリカへ派遣され、CIAの前身であるOSSと一緒に仕事をしている。大戦後はCIAときわめて深い関係にあった。(Jonathan Kwitny, "The Crimes of Patriots," Norton, 1987)
ジャーナリストのデイビッド・レイによると、チリでASISがエージェントを雇い、CIAと共同でサルバドール・アジェンデ政権を崩壊させる工作を展開していたことをウイットラムが知っていたことを示す文書が存在するという。選挙で選ばれたアジェンデ政権をアメリカは軍人を使ったクーデターで倒したのである。1973年のことだ。
アメリカが「レジーム・チェンジ」のために軍事クーデターを使った例は少なくない。例えば、1953年のイラン、54年のグアテマラ、60年のコンゴ、64年のボリビア、ブラジル、66年のガーナ、71年のボリビアなどだ。ソ連消滅後、ユーゴスラビア、イラク、リビア、ウクライナの体制を暴力的に倒して国を破壊、シリアへもアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を使って軍事侵略を試みた。
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