http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/194.html
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国家安全保障担当首席補佐官であり、クシュナー上級顧問及びバノン首席戦略官・上級顧問と並んでトランプ大統領最側近とされてきたフリン氏が辞表を書き受理された。
フリン氏が辞表を書くに至った問題は、フリン氏がまだ“民間人”であったクリスマスイヴを含む昨年暮れに駐米ロシア大使と電話で外交問題を勝手に協議した“罪”と、その経緯についてペンス副大統領に不十分な説明をしたためペンス副大統領がテレビを通じて国民にウソをつくハメになったことの二つである。
ただ、ペンス氏が昨年暮れに駐米ロシア大使館に電話をかけ大使と会話をしたことはほどなく報じられた既知の事実(制裁解除云々についても)だから、コアの問題は、一民間人でありながら「対露制裁解除」について駐米ロシア大使と協議をしたこと以上に、それをペンス大統領にきちんと伝えなかったことと言えるだろう。
フリン氏と駐米ロシア大使が「制裁解除」を協議したという通話内容は、“盗聴”によって明らかになっている。
フリン氏は将軍(中将)として国防情報局長官職を経験したほどの人物だから、自分の電話もだが、ロシア大使館にかけた電話が盗聴されていることは明確にわかっていたはずである。
そして、民間人が外交を行ってはならないという法規定も知っていたであろう。
フリン氏が駐米ロシア大使と電話で協議するに至った背景には、オバマ大統領が、CIA及びFBIの調査を受け容れ、ロシア外交官の国外追放を断行したという事実がある。
そして、フリン氏の電話が、プーチン大統領に対抗策としての駐露アメリカ外交官追放を思いとどまらせた可能性が高い。(自国の外交官が追放措置を受けたら相互主義で相手国の駐在外交官を同数追放するのが外交慣例)
「対露制裁解除」は、フリン氏が唐突に持ち出した考えではなく、選挙運動期間中からトランプ氏がずっと唱えてきた政策である。
そうであるなら、フリン氏が、勝手に駐米ロシア大使に電話をしたというより、トランプ大統領の指示ないし許可のもとで駐米ロシア大使に電話をかけた可能性が高い。
こう考えると、トランプ大統領がこれまで最側近として重用してきたフリン氏の首を切ったのは、フリン氏が民間人であるのに外交を行った罪の累が自分に及ぶという“脅迫”を受け、それを回避するためのディールだったと推測することもできる。フリン氏が辞めることで、この問題に終止符を打つという取り引きである。
この取り引きからは、フリン氏を国家安全保障担当首席補佐官の重職から排除したいと考える“強力な勢力”の存在を窺い知ることができる。
その勢力とは、国防組織及び情報機関のメインストリームにあるものたちであろう。
フリン氏は、オバマ政権時代の14年に、上層部との確執から国防情報局長官の職を解任されている。解任の背景には、フリン氏の“イスラム観”があると言われている。
フリン氏は、イスラムを「癌」と呼び、イスラム教徒に脅威を感じるのは当然のことと発言している。
オバマ大統領が、イスラム過激派の犯行とされる様々なテロについて、「過激派のテロ」と表現するにとどめ、「イスラム過激派によるテロ」という表現を用いないことも非難している。
欧米諸国で多数起きているテロはそのほとんどが国家機関による自作自演の「偽テロ」だが、イスラムを「癌」(イスラムが良いか悪いかといった意味ではなく、異常に増殖し本体を死に至らしめることもあるという意味で)と考えるのは間違っていない。
イスラムは、本来のユダヤ教と同じで、近代的概念の宗教と政治思想が一体となった思想・価値観体系であり、イスラムをきちんと信仰しているムスリムなら生活している場で信者を増やしイスラムの教義に基づく共同体を作り上げる義務がある。
このようなイスラムに対する理解のもとで、異なる価値観体系や思想・宗教をベースにする国家や共同体はイスラムと接しなければならない。
911以降の欧米諸国は、フリン氏のようなまっとうなイスラム観を隠し、悪いのはテロを起こすごく一部のイスラム過激派と説明しながら、でっち上げの偽テロを理由に、30万人を超える“普通の”ムスリムを虐殺しながら対イスラム戦争を遂行してきたのである。
理解しているイスラムをそのまま広言するフリン氏に対する追放劇は、欧米支配層のメインストリームが、911以降の「対テロ戦争」を「対イスラム戦争」と見られるのを忌避していることの現れと言えるだろう。
イスラムを「癌」と呼ぶ人物が米国の国家安全保障担当首席補佐官を務めることで、ウソとゴマカシで「対テロ戦争」とされてきた「対イスラム戦争」として剥き出しになるのでは期待していたのだが、覆いはとられないまま「対イスラム戦争」は続いていくようだ。
対イスラム政策も、トランプ氏のほうが誠実で、オバマ氏などのほうが不誠実なのである。
トランプ政権のなかでフリン氏の次に狙われる人物がいるとしたら、フリン氏と似た考えを持つバノン首席戦略官・上級顧問のはずだが....
※関連参照投稿
「ロシア軍Su24M撃墜をめぐる虚実と目的[参考]:「テロとの戦い」の名目で進められる国際大連合による“イスラム改革”」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/823.html
「イスラム教は改革が必要:アボット前豪首相、「政教分離の概念がない」「近代化の必要がある」と挑発」
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/153.html
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