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ギリシャ問題、チプラス首相に3つの選択肢
欧州での選挙が近づく中、ギリシャのチプラス首相(写真)は国際債権団からの要求に身動きがとれなくなっている
By NEKTARIA STAMOULI
2017 年 2 月 13 日 15:56 JST
【アテネ】ギリシャの急進左派連合(SYRIZA)党首であるアレクシス・チプラス首相は、国際債権団との交渉が熱を帯び、欧州で一連の重要な選挙が近づく中、自身の選択肢を検討している。
ギリシャ政府は、国際通貨基金(IMF)から緊縮財政を迫られ、ドイツからは多額の債務減免を拒否されて、苦境に立たされている。IMFは第3次ギリシャ支援プログラムに同意していない。だがドイツを中心とするユーロ圏の債権国はIMFの参加を求めている。
IMFはドイツの後押しを受けギリシャ政府に、所得税の課税対象拡大と年金の削減によって、債務返済を除きプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字を国内総生産(GDP)の3.5%相当にするという、これまでに合意した目標を達成するよう迫っている。ドイツはさらに、債務を巡る何らかの交渉に入る前に、ギリシャは財政の一段の緊縮を約束する必要があると主張している。
追い詰められた首相に残された選択肢は以下の3つだ。
1. 大幅な譲歩
チプラス首相がIMFの求める追加の緊縮財政を早急に受け入れることだ。こうすればドイツは債務を巡る交渉を先導する余地がなくなる。2018年より後のギリシャ債務減免策の詳細を具体化することができ、欧州中央銀行(ECB)が量的緩和プログラムの対象にギリシャ国債を含める道筋ができる。先行き不透明感が払拭(ふっしょく)され、経済成長を加速させる機会が与えられる。このことはギリシャ政府が失った評判を一部取り戻すことにつながる可能性がある。
首相はこの選択肢を積極的に検討しており、交渉担当チームはIMFからの要求を満たすよう譲歩案を練っている。早期の解決はギリシャにとっても欧州にとっても効果が大きい。欧州大陸では間もなく一連の選挙が注目の的になるためだ。こうしたさなかに欧州はギリシャの欧州連合(EU)離脱、いわゆる「グレグジット」懸念の再燃を招きたくはない一方、ギリシャは放置されるリスクを取りたくはない。
だが首相は、明らかな見返りがなくてもまず債権団の要求に屈し議会に賛同を求めるリスクを負わなければならなくなる。迅速な解決にはさらに、ギリシャ支援プログラムのすべての参加者が協調して数週間以内に大量の作業をこなす必要がある。デフォルト(債務不履行)期限が近づいていない中で、こうしたことが実現したことはこれまでほとんどない。
2. 抵抗と先延ばし
チプラス首相は債権団の要求に屈せず、より同情的な交渉パートナーである欧州委員会の助けを受けながら、より緩やかな政策を引き続き求めるという可能性がある。そうなれば交渉は、多額の債務の返済期限を迎える今夏まで長引くことが考えられる。
長年にわたるギリシャ危機に関わる大きな決断はこれまで、ギリシャが瀬戸際まで追い詰められた時に下されてきた。今回もギリシャには同じ選択肢が与えられる。ただ、欧州は選挙ムードに支配されるためタイミングはさらに悪くなり、譲歩する利点はなくなりそうだ。オランダとフランスの選挙後に欧州の指導者の構図が変わるかもしれず、ギリシャ政府はこれまでより柔軟性を欠いた国々の政府に対処する必要があるかもしれない。
3. 選挙を実施
チプラス首相は議会を解散して総選挙を実施したくなるかもしれない。そうなれば首相率いるSYRIZAが緊縮財政に反対する野党に転落する可能性が高い。この選択肢は検討されているものの、現時点でギリシャ政府は最も選択したくないと考えている。
中道右派の新民主主義党(ND)の新政権が誕生しても選択肢は同じで、痛みを伴う譲歩を早急に決断しなければならなくなる。
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ユーロ圏17年1.6%成長予測へ上方修正 欧州委
2017/2/13 22:08日本経済新聞 電子版
【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の欧州委員会は13日、2018年までの経済見通しを公表した。ユーロ圏の17年の実質成長率を前回見通し(16年11月)から0.1ポイント高い1.6%へ上方修正するなど主要項目で軒並み判断を強めた。ただ先行きのリスクは「例外的に大きい」とも指摘。米政権の経済政策や英国のEU離脱交渉など政治リスクへの警戒を強調した。
「荒れた海の航海」。欧州委は今回の経済見通しにこんなタイトルをつけた。18年にかけて、成長率や失業率は昨秋の見通しを上回るペースで改善が見込める。すべてのEU加盟国が18年にかけてプラス成長の見通しになったのは、08年のリーマン・ショック後では初めて。それでも「注意深さを保ち、拙速な結論は避ける必要がある」と先行きへの警戒を促した。
欧州委が「とりわけ不確実性が高い」先行きのリスクとして指摘したのが、なお不透明なトランプ米政権の経済政策の行方と、独仏など欧州主要国で相次ぐ選挙、今春から本格化する英離脱交渉の3つだ。
米政権については、短期的には財政刺激策や企業活動重視の改革が世界経済を刺激し、見通しを上振れさせる可能性があると指摘。一方で中期的には、米政府の通商政策の転換に伴う混乱が国際貿易に悪影響を及ぼす懸念や、より早いペースでの利上げが新興国経済に打撃を与えるリスクを指摘した。
欧州では経済的な格差の広がりがポピュリズム(大衆迎合主義)を勢いづけているとの指摘もある。13日記者会見したモスコビシ欧州委員(経済・財務担当)は「経済成長の恩恵がユーロ圏すべてとすべての社会階層で感じられるようにしなければならない」と訴えた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM13HAB_T10C17A2FF8000/
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