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【オピニオン】トランプ氏が暴くプーチン氏の真の姿 ごまかしの時代はついに終わりを迎えるか
ロシアのプーチン大統領(1月25日)
2017 年 2 月 10 日 13:44 JST
――筆者のホルマン・ジェンキンス・ジュニアはWSJ論説委員で「ビジネスワールド」欄担当コラムニスト
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ドナルド・トランプ米大統領はいま忙しいだろうが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領をさらに喜ばせるようなことをするかもしれない。それはロシア政府が昨年12月に合意した石油大手ロスネフチの持ち分売却の支持だ。
この ロスネフチ株の放出はロシアが経済制裁下にあるなか、欧米諸国の投資家に同国の魅力をアピールする絶好の機会になるはずだった。ところが想定通りには運ばなかった。結局、スイスの大手資源商社グレンコアとカタール投資庁に売却することになったが、詳細は不明であるものの、その出資額の大部分はロシア国内から出ているようだ。同国は多くのリスクを取って大きなアウトサイダーを引き入れることにしたわけだ。
だがトランプ氏はいつだって、取引に怪しいところはないと大声で言えるはずだ。つまるところ欧米諸国も怪しげな取引に関与しているではないか。
というのは冗談にしても、ロスネフチのことは笑うわけにはいかない。同社株の売却は隣国ウクライナへ侵攻したロシアが国際社会との関係を再び正常化するための戦略の一部だ。しかもプーチン氏は見た目よりも必死だ。
FOXニュースのビル・オライリー氏を相手にトランプ氏が言ったコメントは明確かつ一貫性をもったトランプ流世界観の表れだと考える人もいるが、われわれの考えは若干異なる。ちなみに、オライリー氏はトランプ氏のその発言に対して、プーチン氏を人殺しと呼んで反論した。
トランプ氏のコメント自体はただ愚かで、自分の立場をよく理解していない人のような内容だった。だがトランプ氏は実際のところ、プーチン氏をかばうという米国の長きにわたる政策を不器用ながらも踏襲しているのだ。
ところが、皮肉な結果に陥っている。トランプ氏は大きな衝撃をもたらしかねないプーチン氏最大の秘密を正式な公の場にさらす絶好の機会を自ら作り出してしまった。1999年以降、数多くのCIA長官や外交当局のトップが連邦議会で証言に立ってきた。しかし、誰一人として、モスクワの東南に位置する町リャザンに関する質問を受けていない。モスクワやその周辺ではそれまでテロ攻撃が続いており、実行犯はチェチェン人とされていた。しかしロシアの治安部隊がリャザンの集合住宅の地下に爆弾を仕掛けていたことが発覚すると、それを契機にテロ攻撃は突然ぴたりと止んだのだ。
議会公聴会の議事録を探したところ、リャザンという地名が出てきたのはわずか3回のみ。筆者は以前、非公式に国家安全保障当局の元トップに質問したことがあった。当局者は意図的にぽかんとした表情を作り、その件に関する報告を見たかどうか覚えていないと回答した。
そしてトランプ氏の登場だ。全国的に放送された公聴会でマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)は国務長官に指名されたレックス・ティラーソン氏に、プーチン政権が集合住宅の爆破事件に関与したことを示唆する「信じられないほど大量の報告」について直接質問した。
一般市民であるティラーソン氏にそれを聞くのは完全にお門違いだった。だが報告について認識していると勇敢にも同氏は認めた。「非常に重大な告発だ」としたうえで、「公になっている記録があると承知しており、機密扱いになっている記録も大量にあるのは確かだ」と述べた。
国務長官に就任したティラーソン氏は今後、上院に何度も戻ってくることになるだろう。ルビオ氏は同氏に機密文書を見た後でどう思ったかを聞くだろう。
それが転換点になるかもしれない。
ビル・クリントン氏、ジョージ・W・ブッシュ氏、バラク・オバマ氏の3人の元大統領はプーチン氏から得たいものと引き替えに、リャザン事件を無視するという確固たる方針を持っていた。プーチン氏は欧米諸国の首脳が会い、かつ取引可能な相手であるという状況を維持する必要がこの3人の元大統領にはあったのだ。
だが突然、米国の主要政党の一つ、つまり民主党は沈黙で覆ったままにしてはいけないという党派心に基づいた直情的な動機を持つに至ったようだ。同党のナンシー・ペロシ下院院内総務は5日、「ロシアがドナルド・トランプについて何を握っているのか知りたい」と述べた。
ペロシ氏とその同僚、特に民主党で外交政策を担当するエスタブリッシュメント(既成勢力)たちは本当に聞くべき質問は別にあることをいずれ理解するだろう。それは、トランプ氏に汚名を着せるために利用できるどんな情報を中央情報局(CIA)がプーチン氏に関して握っているのか、という質問だ。
ここで、はっきりさせておこうではないか。そうした醜い真実の表面化は欧米諸国のリーダーたちにとって根本的に不都合なことであり、結局のところ、プーチン氏を手が出せない相手として扱うよりは、取引できる相手でいてくれる方を彼らは望んできたのだ。
トランプ氏もつまるところ、前任者たちと違わない。トランプ氏もプーチン氏と取引したいと思っている。だが、トランプ氏の奔放かつ慎重さに欠けた発言が、いずれにせよ結局は避けられなかったであろう事を表面化させたのだ。ロンドンで毒殺された元情報将校のアレクサンドル・リトビネンコ氏。殺害されたジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤ氏。射殺された野党指導者で元第1副首相のボリス・ネムツォフ氏。モスクワやその周辺で複数発生し、計293人の死者と数百人の負傷者を出した集合住宅の爆破事件。このすべての事件は永遠に隠蔽(いんぺい)されたままにしておくわけにはいかない。プーチン氏が目指す「復権」はうまくいっていない。
オライリー氏の発言に対してロシアがFoxニュースに「謝罪」を求めざるをえなかったロシアの弱々しさと逆効果を見てほしい。ロスネフチの取引を巡るプーチン大統領と欧米諸国の関係者との滑稽でつまらない会談、つまりロシアではすべてが申し分ないという印象を作り出すことが目的のこの会談の様子を見てほしい。
トランプ氏の発言は解釈次第でプーチン氏の本質を認めた最初の米国大統領だとも読み取れる。プーチン氏の取り巻きは火の中水の中、たとえ何があろうともプーチン氏と運命をともにすると覚悟を決めているという見方もある。だがこれは議論の余地がある。仮にプーチン氏の行く末が「のけ者」であるのなら、権力の中枢にいるロシア人の大多数は同氏と運命を違えることを望んでいるかもしれない。
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トランプ氏が修正する金融規制の欠陥
当局者は融資や成長をあきらめるコストを考えることに
ニューヨーク市内にあるゴールドマン・サックスの建物
2017 年 2 月 10 日 12:11 JST
――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター
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ドナルド・トランプ米大統領が先週、金融規制の包括的な見直しを命じると、そこかしこで懸念の声が上がった。欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は「非常に心配」だといらだちを見せ、米民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は、銀行が「再び私たちの経済を吹き飛ばす」ことになるのかと問いかけた。
彼ら心配性の人たちはリラックスすべきだ。金融危機の始まりから10年の間に、規制の振り子は容赦なく強化の方向に振れてきた。トランプ氏の大統領令はその向きを反転させるが、トランプ政権が金融規制を2007年の状況に逆戻りさせたがっている兆しはほとんどない。
ただ大統領令は確かに、危機後の規制の深刻な欠陥に対応しようとしている。規制は金融市場の安定と消費者の保護を追求するあまり、融資や経済成長や消費者の選択をあきらめるコストをほとんど無視した。トランプ氏は、これらのコストを考慮すべきだとの考えを示唆している。同氏は現在の規制がどれだけ成長や効率性、競争力を促進しているか、120日以内に報告するよう財務長官(ただし承認待ち)に要請した。これはいずれ、より広範な企業・家計に対してより均衡の取れた信用供給をもたらす可能性がある。
バラク・オバマ前大統領の下で2010年に議会を通過した金融規制改革法を受けて、住宅ローン引き受けとデリバティブの規則が策定され、銀行に限らない「システミックな」金融機関の監督が強化された。そうした機関がつまずいた時に段階的に縮小するメカニズムも提供され、銀行による投機的な取引に制限が課され、消費者金融保護局(CFPB)が誕生した。
同法は金融規制の一部にすぎない。09年に成立した法律は、クレジットカードに新たな規制を課した。国際的な協議で決まった規則により、銀行が維持しなければならない資本や流動資産の水準が増した。司法は住宅ローンや海外送金、自動車ローンに新たな審査をもたらしてきた。労働省の新たな受託者基準は、退職口座での取引に投資アドバイザーが手数料を課さないよう奨励している。
だが規制当局は、それによりどれだけリスクが減り、何が失われたのかを数値化しようとしてこなかった。銀行の安全性が資本増強で高まったのは確かだが、自己勘定取引の禁止といった条項のメリットが、あったとすれば何だったのかは不明だ。
理論上、規制強化は信用コストを押し上げ、成長率を押し下げることになるが、数値化は難しい。信用の伸びはさまざまな要因に左右されるからだ。
最も打撃が目立つのは、信用力が相対的に低い住宅購入者向けの融資だ。ゴールドマン・サックスが14年に行った調査によると、規制と訴訟の影響が最も大きかった中小企業向け融資やクレジットカード、ホームエクイティローン(保有する住宅の価値がローン残高を上回る分を担保にした融資)などのコストは、相対的に規制が緩い自動車ローンや大手企業向けローンのコストに比べて上昇していた。ゴールドマンは15年にはこれに関連して、規制が小規模企業や新興企業より大企業に有利な「二速経済」を生んだと主張した。
規制はゼロ近辺の金利と相まって銀行の収益を圧迫している。銀行株は危機前のピークを依然24%下回っており、全体的な株価が約50%上昇しているのと対照的だ。
コンサルティング会社フェデラル・フィナンシャル・アナリティクスを率いるカレン・ペトルー氏は、銀行が手数料を生む事業(富裕層向けが多い)を優先せざるを得ない状況に置かれてきたと話す。ネット系を中心とする金融機関は、小さめの企業や所得が低めの顧客を相手にすることもある。だが一部は銀行よりはるかに高い手数料を課している。ペトルー氏は、それらの機関が次の低迷局面を乗り切れない可能性があると述べた。
トランプ氏の大統領令は、新たな規則のコストとメリットをより正確に分析し、投資家が情報に基づく選択をできるよう一段と配慮することを求めている。
トランプ氏は、退職口座に取引ベースの手数料を課さないよう金融アドバイザーに求める労働省の受託者基準も疑問に思っている。オバマ政権はこれにより投資家が手数料を年間170億ドル節約できると訴えた。しかし、証券業金融市場協会(SIFMA)はこの金額に異議を唱え、この手数料で得られたかもしれないアドバイスなどのメリットが無視されていると主張した。
規制改革で次の金融危機を防ぐ可能性を最大限に高めるには、銀行が将来の損失を吸収するために保有を義務付けられる資本を大幅に引き上げることだ。トランプ政権は自己資本要件の大幅な引き上げを防ごうとするかもしれないが、大幅に引き下げる計画はないようだ。国家経済会議(NEC)のゲーリー・コーン委員長は先週ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、「古き良き時代に戻りたいわけではない」と述べた。さらに、米国の大きな競争優位のひとつとして、「世界で最も自己資本比率が高い最高の銀行」を挙げた。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによると、金融株は規制緩和の見通しを受けて大統領選以降に約17%上昇し、市場全般の上昇の20%超を担った。このことは、金融業界の収益性がもっと高いはずであることや、資金を探しあぐねている企業や家計に流れ始める融資が増える可能性を示す。それにより、米国経済で最もリスク許容度が欠けている部分で、リスクオンが復活する可能性がある。
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