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【社説】
オバマケア撤廃、暫定措置から始めよ
共和党の公約破綻を宣言するのは時期尚早
米保健福祉長官に指名されているトム・プライス氏(1月24日) PHOTO: GETTY IMAGES
2017 年 2 月 8 日 11:21 JST
ここにきて突然、米紙は共和党に関するある論調であふれている。バラク・オバマ前大統領の医療保険制度改革法(オバマケア)を撤廃し、代替制度に置き換えるとの公約から共和党が恐らく後退しつつあるという見方だ。リベラル派は自分たちの正当性を主張し、一方の保守派は神経質になりつつある。しかし、焦って公約の破綻を宣言するのは時期尚早だ。より安定した、かつ手頃な医療保険制度を目指す秩序だった移行への取り組みはまだ始まったばかりだ。
ドナルド・トランプ氏が大統領であるこの時代、他のほとんどの面でも同様だが、結論を急ぐのは避けるべきだ。重要なのは、共和党議員が「修復」という言葉を自分たちの語彙に加えていることだ。まるでこの言葉が政策変更を意味するかのようにだ。保険市場は実際、修復を必要としており、オバマケアが負のスパイラルに陥っている中で何もしないでいるのは現実的ではない。
同様に、ペンシルベニア州フィラデルフィアで先月行われた共和党連邦議員による会合は、リークされた音声記録からはけんか腰の雰囲気が伝わってきたものの、異論の中にある良い部分を議論することは政党が戦略を立てる際の方法だ。「医療保険制度の混乱がオバマ前政権のせいだとしても、前大統領を責めることはできない」と共和党は気づいている。爆弾を手渡されたのはいまや自分たちであり、慎重かつ真剣に爆弾処理を進める必要があることを多くの共和党議員が理解しつつあるところだ。
オバマケアの制度下で複数の保険業者が参加するオンラインの保険市場「エクスチェンジ」は値上がりを続ける高い保険料と保険業者の撤退に苦しめられ、風前のともしびだ。米保健福祉省(HHS)は3日、連邦政府が運営するエクスチェンジを通した2017年の最終的な加入者数は昨年より約40万人減ったと発表した。米医療保険大手エトナのマーク・ベルトリーニ最高経営責任者(CEO)は株主との電話会議で、業界の大方の見方としてこう述べた。「政府と業界の誠意(をもった運営)にもかかわらず、(オバマケアの)目標には到達していない。数百万人の国民が保険に未加入であり、依然として手頃な医療保険へのアクセスが十分ではない状況だ」
数カ月前に始まった2018年の保険料や給付金の額、保険料率の設定には、否応なくあるものが織り込まれている。先行き不透明感だ。規制当局による承認は春の予定であるため、保健福祉長官に指名されているトム・プライス氏と、医療保険改革チームのトップに起用されたシーマ・ベルマ氏は予測可能な保険市場にするために早く動く必要がある。
トランプ大統領の最初の行動の一つは、「より自由かつ開放的な保険市場を作るため」に、個人や州、法人に重荷となっている規則の「撤廃、変更、適用除外、延期」を命じた大統領令に署名することだった。具体的な中身はHHSが提案した「市場安定化」に関する規則に盛り込まれており、現在はホワイトハウスの予算局の審査を受けている。
この規則にはオバマケアの最も厄介な条項を緩和する短期的な措置が含まれているもようだ。文言のみの見直しで、ただちに保険料が値下げされるはずだ。この中には義務化されている基本給付金の緩和、あるいは個人差が生じる保険料率の幅の制限も含まれる。オバマ前政権のHHSは、「特別加入期間」を設けることで、この個人向け強制加入保険を「スイスチーズ」に変えてしまった。つまり、好きな時に出たり入ったりできるのだ。継続的な保険加入がトランプ政権の最優先課題だろう。
保険料未払いの加入者でも90日間は保険を適用する「猶予期間」を短くすることも暫定的な変更として有効だろう。コンサルティング会社マッキンゼーの調査で、エクスチェンジを介した加入者5人のうち1人は保険期間1年のうちのどこかの時点で保険料の支払いを中止していることが分かった。しかも、そのうちの半数は翌年、同じ保険プランに再加入している。つまり、3カ月間の「無料」適用期間を利用しているのだ。
連邦議会は保険業界に対する10年間で1450億ドル(約16兆3000億円)の課税を一時中止することでエクスチェンジの安定化を手助けすることができるだろう。この税金の負担は加入者が支払う保険料に上乗せされると考えられることから、オバマ前政権と連邦議会は2017年度の課税停止で合意したのだ。コンサルティング会社オリバー・ワイマンは、もう1年課税を停止すれば、保険料がただちに3%下がると見積もる。そうすればオバマケアの償還プログラムが多岐にわたっていることを背景に、誰が誰に支払い義務を負っているのかを巡る議論もあるなか、いくらか運営上の信用を得ることができる。
そうしている間にオバマケアを新たな法律に置き換えるという長期的な改革作業を進めればいい。米下院エネルギー・商業委員会は先週、4つの法案に関する公聴会を開いたほか、ほかにも進展を見せている当局もある。ポール・ライアン下院議長は第2四半期までにオバマケアの撤廃と代替案の策定が完了することを期待すると述べた。
オバマケアが決定的に失敗している点は、その助成金にもかかわらず、ほとんどの人がこの保険制度を手頃とも、価値があるとも考えていないことだ。共和党が多数党となっている議会とトランプ政権は、競争力のある市場のほうが、人々がほしがり、かつ必要とする保険商品を提供できると踏んでいる。
ライアン氏が思い描く日程は野心的すぎるうえ、医療保険制度改革の第2ラウンドはイデオロギーの純度に関する共和党内部の混乱と、執念深い民主党の反発の中で頓挫する可能性もある。しかし現状を踏まえると、パニックになるのは行き過ぎだ。
トランプ新大統領特集
トランプ氏、オバマケア廃止・代替案の同時採決を支持
オバマケア撤廃めぐる攻防、トランプ氏も参戦
トランプ氏、オバマケアの一部維持に前向き=WSJインタビュー
トランプ時代のアメリカ、草の根の声
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トランプ時代のアメリカ、草の根の声6郡の支持者や批判者、新大統領に何を思う
トランプ大統領の就任式の模様がテレビに映るペンシルベニア州モネッセンのバー(1月20日) PHOTO: STEPHANIE STRASBURG FOR THE WALL STREET JOURNAL
By
WSJ STAFF
2017 年 2 月 8 日 06:45 JST
ドナルド・トランプ米大統領の支持者は景気回復から取り残された地域に住んでいる人が多い。経済成長と雇用を米国に取り戻すというトランプ氏の公約に心を動かされたのだ。
彼らは西部の牧場主であり、エネルギー資源が豊富な州の炭鉱作業員であり、ラストベルト(さびついた工業地帯)の鉄鋼作業員である。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はこうした支持者に加え、支持政党を変えた有権者やトランプ氏に反対する人からも話を聞いた。なぜトランプ氏を支持するのかしないのか、大統領にどんなことを期待しているのか。
ペンシルベニア州ウェストモアランド郡
【モネッセン】1890年代にマノンガヒラ川の湾曲部に沿って築かれた町、モネッセン。鉄鋼生産と鉄鋼加工会社がけん引して発展した。世界最大級の鉄鋼業の町になったこともある。だが1980年代に鉄鋼産業に逆風が吹き始めると、モネッセンをはじめ周辺の町が傾き始めた。最大の雇用主だったウィーリング・ピッツバーグ・スチールが溶鉱炉を閉鎖したのは1986年のことだった。
同社と関連業者から8000人の雇用が消えた。ピッツバーグ周辺全体では80年代に10万人余りの雇用が失われた。
元鉄鋼作業員のエモリー・テレンスキーさん(66)は、雇用に焦点を絞ったトランプ氏の歯に衣着せぬ物言いに動かされ、支持を決めた。トランプ氏が不要だと考える環境関連の規制が廃止されれば、製造業などに雇用が戻ってくると信じている。この地域の民主党政治家が鉄鋼業にも他の産業にも雇用を取り戻せないことに長年不満だったと話した。
元鉄鋼作業員のエモリー・テレンスキーさんPHOTO: STEPHANIE STRASBURG FOR THE WALL STREET JOURNAL
テレンスキーさんは発足したばかりのトランプ政権に満足していると話す。「やると言ったことはすべてやっている。敵対勢力を怒らせているのはこれだ。彼は後退していない」
さらに、メキシコとの国境に壁を築くとの公約を押し進めていることを喜び、こう話した。「壁のレンガ代として50ドルを送ってもいい」
マービン・デービスさん(手前) PHOTO: KRIS MAHER/THE WALL STREET JOURNAL
一方、市の条例執行官のマービン・デービスさん(65)はトランプ大統領に不安を感じていると話す。経済面では公約を果たせず、諸外国との無用な軍事衝突に米国を巻き込みかねないことを恐れていると言う。
大統領選では民主党候補のヒラリー・クリントン氏に投票したデービスさんだが、トランプ氏には成功のチャンスを与えたいとし、国民に対してもっと多様性に寛容な態度で発言することを期待しているとも話す。
同じくクリントン氏を支持した妻のメアリーさん(64)は「(トランプ氏が)自分以外の人のために何かをやっているとは思えない」と話した。
アリゾナ州マリコパ郡
【フェニックス】メキシコに国境を接するアリゾナ州では移民問題を巡る議論が白熱し、マリコパ郡での大統領選は接戦だった。人口410万人の同郡にはヒスパニック系の流入が急激に増えている。
麻薬や密入国に関する報道や、ヒスパニック系の人々の受け入れに伴う負担費用への懸念を背景に、2000年代半ばから移民の取り締まり強化が支持されてきた。
ファン・バスケスさん PHOTO: PATRICK T. FALLON FOR THE WALL STREET JOURNAL
大学生のファン・バスケスさん(19)は家族の中で唯一の米国生まれだ。母親は20年前、バスケスさんより年長の子供5人を連れて不法入国した。一家はフェニックス中心部にある移動式住宅用の広場に落ち着いた。
バスケスさんは大統領選の間、住宅を1軒ずつ訪問し有権者登録をして回った。新規登録者の大半が民主党候補のヒラリー・クリントン氏に投票してくれればと期待した。大統領となったトランプ氏に期待するのは、「米国を母国にした人が市民権を得られる道を作る」ことだ。
バスケスさんの4人の兄姉は、子供の頃に入国した不法移民の強制送還を免除する政府のプログラム「DACA」の恩恵を受けた。DACAはバラク・オバマ前政権が2012年に導入した。このおかげで、28歳の姉は13年にアリゾナ州立大学を卒業後、米経済誌フォーチュンが発表する売上高上位500社に入る企業に就職した。
パティ・トンプソンさん(左) PHOTO: THOMPSON FAMILY
この地域で最初に作られた高齢者(退職者)向けコミュニティーの一つ、サンシティーで暮らすパティ・トンプソンさん(68)は、イスラム圏7カ国出身者らの入国を一時的に禁じた大統領令に感心しないと話す。
「その中身と、米国の安全に対する彼の懸念には同意するが、あまりに早計で関係当局が把握していなかった。やり方がずさんだった」と述べ、こう続けた。「適正な書類がある人を追い出すのは間違っているし、悲しい」
同郡サプライズで妻と1歳半の息子と暮らす大学の事務職員クリストファー・ヘリングさん(32)は自称「政策面の共和党支持者」。トランプ氏の大統領就任前には、国境の壁は移民問題の解決にはならないと話していた。就任後、再び話を聞くと、「テロを輸出する可能性をもった7カ国からの入国を一時的に停止したのは良識的な措置」だと語った。
ネバダ州ランダー郡
【バトルマウンテン】ネバダ州北部の牧場主は圧倒的にトランプ氏を支持した。放牧権の急激な縮小など、環境問題への懸念を背景に各種規制を定めている政府機関と折り合いをつける際に、トランプ氏が手助けしてくれることを彼らは期待している。
牧場が広がる米西部各地での当局との緊張関係が世間の耳目を広く集めたのは2014年のこと。同州の牧場経営者クリバン・バンディーさんが放牧権を巡り、土地管理局(BLM)を相手に武器を持って抗議活動を展開した。昨年は息子のアモンさん率いる集団が地主の権利を主張し、オレゴン州の野生動物保護公園内で41日間におよぶ抗議活動をした。
ネバダ州ランダー郡の牧場 PHOTO: ALAMY
共和党のマーク・アモデイ下院議員(ネバダ州)は連邦政府の政策、とくに民主党政権の規制が、炭鉱を含め昔からの土地利用者に打撃を与えていると指摘する。
牧場経営の健康状態は周辺地域にも影響を及ぼす。コネティカット州と同じ面積の土地に6000人が暮らすランダー郡の失業率は最新データの昨年11月で5.5%だった。これは2010年の約半分だが、景気後退前の低水準(2.8%)を大きく上回っている。
トランプ氏に投票した衣料店の管理職リンダ・ミルズさん(52)は、オバマ政権の医療保険制度改革法(オバマケア)の廃止を望んでいる。自分の保険が「何の費用もカバーしない」からだ。糖尿病を患っており、年間で最大4500ドル(約50万円)の免責金額はあまりにも高額だと話した。
リンダ・ミルズさん PHOTO: JIM CARLTON/THE WALL STREET JOURNAL
夫で郡政委員のダグさん(53)は、家族経営の薬局の利益が上がるよう法人税の引き下げを期待すると話した。ただ、貿易に対するトランプ氏の強硬な姿勢は心配だと話す。「素晴らしい結果になるかもしれないが、ひどい結果になる可能性もある」
兄弟で花火の店を経営するアール・カソーラさん(60)は大統領の就任前、仮にトランプ氏が公約を守らず、あまりに独裁的になれば、大統領の弾劾を支持すると話した。とはいえ先行きを楽観視し、「何か大きな事の始まりだと思う。左派の人々は自分たちに対立する人々の感情がどれだけ強いのか分からないのだ」と語っていた。
その後もう一度話を聞くと、カソーラさんはこう話した。「トランプ氏は私の希望と期待を上回ることをやっていると言っていいと思う」
ワイオミング州キャンベル郡
【ジレット】米西部でワイオミング州キャンベル郡ほどトランプ政権の政策に運命が左右される場所はほとんどない。同州は全米で産出される石炭の約40%を担っており、キャンベル郡は鉱物が豊富なパウダー川盆地の中心に位置する。人口3万2600人のブルーカラー労働者の町ジレットは「米国のエネルギー首都」を自称する。トランプ氏がここで勝利した一因は、オバマ前政権が推進した環境規制の強化に有権者の怒りが募ったためだ。
ワイオミング州ジレットの住民たちはこの町を「米国のエネルギー首都」と呼ぶ PHOTO: KRISTINA BARKER FOR THE WALL STREET JOURNAL
ワイオミング大学のエネルギー経済・公共政策研究所で所長を務めるロバード・ゴッビー氏によると、同州では2万人余りの雇用が直接・間接的に炭鉱産業に依存している。
だが2016年に同州の2大炭鉱会社、ピーボディ・エナジーとアーチ・コールが連邦破産法の適用を申請した。両社とも人員を15%削減。総計500人近くの雇用が失われた。
石炭の生産は最近、少しだけ上向いてきた。ピーボディは臨時作業員を雇っている。トランプ氏の勝利はジレットに新たな希望を吹き込んだ。
レイチェル・カレンバーグさん(左)と同性婚相手のアリアン・ジミソンさん PHOTO: KRISTINA BARKER FOR THE WALL STREET JOURNAL
最近、まきで焼くピザの店を始めたレイチェル・カレンバーグさん(35)と同性婚相手のアリアン・ジミソンさん(38)は、大統領選でリバタリアン党のゲーリー・ジョンソン氏に投票した。トランプ政権になればマイノリティーがどう扱われるのか心配だったし、クリントン王朝の再来は面白くなかったからだ。
この同性婚カップルはトランプ政権の下で市民権がどう解釈されるのか懸念していると話す。性的指向を公言しているレズビアンやゲイ、トランスジェンダーの住民がほとんどいないキャンベル郡のような土地ではなおさらだ。
「私に見えるのは、彼の支持者がつけあがり大量の憎しみとたわごとをばらまいている姿だ」とジミソンさん。「気がめいるし、怖い」
スコット・カンディーさん PHOTO: DAN FROSCH/THE WALL STREET JOURNAL
炭鉱の重機作業員として16年働いているスコット・カンディーさん(48)はビールをすすりながら、昨年がいかに厳しい年だったかを語った。「これまでで最悪だった。もう当てにできる仕事ではなくなった。ほとんど2、3日ごとに従業員が解雇された」
環境規制に関してカンディーさんは、トランプ氏なら「達成できないほど高い基準は設けないだろう」と述べた。
ノースカロライナ州リッチモンド郡
【ロッキンガム】ノースカロライナ州リッチモンド郡はかつて、全米で最も豊かな郡の一つだった。数十の繊維工場が立ち並び、鉄道会社が進出していたおかげで仕事はいくらでもあった。
しかし1970年代から徐々に衰え始めた繊維産業は1993年の北米自由貿易協定(NAFTA)で衰退が加速。現在、州内で最も貧しい地域の一つだ。国勢調査局によれば、貧困層は人口の28%で、全米平均の2倍に当たる。
2人の幼児を抱えるシングルマザーのキャシー・オドムさん PHOTO: VALERIE BAUERLEIN/THE WALL STREET JOURNAL
住民の多くはNAFTAを理由にビル・クリントン元政権を非難する。民主党で登録している有権者は共和党の3倍だが、昨年の大統領選で妻ヒラリー氏にチャンスはなかったと住民は話す。同郡有権者の55%はトランプ氏に投票した。忘れられた場所に製造業の雇用を取り戻すという同氏の公約を受け入れたのだ。
2人の幼児を抱えるシングルマザーのキャシー・オドムさん(22)は投票に行かなかった。「ヒラリーはうそをつくし、トランプは話し方を知らない」からだ。だが今、頼みの綱である社会保障というセーフティーネットをトランプ政権が廃止するかもしれないと恐れている。
オドムさんは、昼間は看護師の勉強を続けながら、夜は時給16ドル(約1800円)の看守の仕事を始めた。
ロバート・リーさん PHOTO: VALERIE BAUERLEIN/THE WALL STREET JOURNAL
地元で銃器店を営むロバート・リーさん(62)は2008年の金融危機前の水準に比べ、商売が70%落ち込んでいると見積もる。一方、健康保険の保険料は3倍になった。
トランプ氏についてリーさんは「彼は政治家ではない。雇用を生み出してきた」と話し、大統領が約束通りに仕事を米国に取り戻すことに期待をにじませた。
リーさんの銃器店は小さな町の理髪店のように人が集まる場所として機能している。リーさんとこの店に集まる人の多くはトランプ氏に投票したという。大きな変化を起こすには従来とは完全に異なる人物が必要だと思ったからだ。
フロリダ州パインラス郡
【ラーゴ】フロリダ州パインラス郡はインターステート(州間高速道路)4号線で結ばれた人口の多い回廊地帯の西の端に位置する。全州規模の当選者や大統領選での同州の結果を左右することが多いのはこの地域だ。
退役軍人や高齢の退職者、ハイテクから旅行に至るまで幅広いセクターの労働者が暮らしている。大統領選の夜、従来民主党を支持していたこの郡が共和党に傾いたのは驚きだった。
ファイナンシャル・アドバイザーのカーティス・チャンバースさん PHOTO: EVE EDELHEIT FOR THE WALL STREET JOURNAL
クリントン氏はセントピータースバーグの都市部では支持を集めたものの、郊外や海岸沿いの地域は高齢の白人が多く、その多くはトランプ氏を支持した中西部や南部の州からの移住者たちだ。
ファイナンシャル・アドバイザーのカーティス・チャンバースさん(54)は長年、無党派だったが、ブルーカラー労働者の不安に対処しようとしているトランプ氏の姿勢に動かされたと話す。トランプ氏に投票するために予備選前に共和党に登録したというチャンバースさんは「経済的なポピュリズムやナショナリズムが私の心に響いた」と語る。
米国の競争力を高めるための税制改革を含め、トランプ氏が公約のすべてを果たすことを期待すると言う。「私たちはついに、政治家ではなくビジネスマンの大統領を持つに至った」とし、さらにこう続けた。「私はかなり楽観視している」
トリッシュ・コリンズさん PHOTO: ARIAN CAMPO-FLORES/THE WALL STREET JOURNAL
セントピータースバーグに住み公共交通機関の人事部で働くトリッシュ・コリンズさん(40)はクリントン氏を支持した。選挙後、数人の友人たちと一緒に「全てはセントピータースバーグのために」というグループを発足させた。社会的・政治的な活動をしたい人同士を結びつけるためだ。コリンズさんは、イスラム教徒をはじめとする難民・移民を標的にするトランプ氏の政策と、欧州の従来の同盟諸国を見下しつつロシアにすり寄る姿勢を懸念していると話した。
大統領の就任後に話を聞くと、トランプ氏が大統領令を連発していることや、顧問団の小さなグループの中で権力を固めているように見えることに失望感をあらわにした。「独裁政治に向けて列車が猛スピードで進んでいるような感じがする」
トランプ新大統領特集
• オバマ政権の経済レガシー、果実得るのはトランプ氏
• トランプ政権の経済チームに潜む分断
• トランプ氏の大きな賭け「2国間協定」 他国は交渉応じるか
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjgm9aWvf_RAhUMgLwKHYICC1oQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11303642310634324165204582596723750231722&usg=AFQjCNEEjH83WdOU8L4QHLjaNxeknKYQVQ
米株押し上げたトランプ減税案、他の措置が恩恵打ち消すとの見方も
Lu Wang
2017年2月8日 08:24 JST
ストラテジストは支払利息の税控除廃止など他の措置がリスクと指摘
企業は決算の電話会議で国境税調整や支払利息の税控除に言及
昨年11月の米大統領選投票日以降、同国の株価を押し上げてきた最大の要因はトランプ氏が公約した減税だった。しかし、同減税案を掘り下げて調べたストラテジスト数人は投資家がなぜこれほど熱狂するのか不思議に思っている。
確かに法人税率を15%に引き下げれば、S&P500種株価指数のバリュエーション(株価評価)が過去最高水準近くにある中でも、経済成長の再活性化や企業利益の拡大につながる可能性がある。しかし一方で、国境税調整や支払利息の税控除廃止など他の措置が企業への恩恵を打ち消してしまう恐れもある。
企業利益の拡大を期待する投資家によって昨年11月以来、時価総額が2兆ドル(約225兆円)膨らんだ株式市場にとって、こうした恐れはあまり良い材料ではない。
トランプ大統領の主な成長刺激策は公共支出の拡大、規制緩和、税制改革の3つだが、投資家の大多数は企業利益を押し上げる早道は減税だとみている。ブラックロックの「グローバル・アロケーション・ファンド」で共同ポートフォリオマネジャーを務めるラス・ケステリッチ氏は、S&P500種構成銘柄にとって今年は、アナリスト予想通り2桁の上昇を達成する「絶好の機会」だと指摘した。
しかし企業側は警戒心を募らせている。バンク・オブ・アメリカ(BofA)によれば、今決算シーズンの電話会議でこれまでに国境税調整への言及が80回、支払利息の税控除についてのコメントも30回余りあり、利益を圧迫しかねない税制に企業が強い関心を寄せていることが示された。
原題:Trump Tax Plan Seen More Wash Than Windfall for S&P 500 Earnings(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-07/OL0GAXSYF01S01
米求人件数:ほぼ横ばい、雇用・解雇者が小幅増−自発的離職者は減少
Patricia Laya、Austin Weinstein
2017年2月8日 01:46 JST
米労働省が7日発表した昨年12月の求人件数(季節調整済み)は前月からほぼ変わらずとなった。
12月の求人件数は550万1000件と前月の550万5000件(速報値552万件)から4000件減少。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は558万件だった。
12月に雇用された労働者は525万人と、前月の521万人から4万人増加した。雇用率(全雇用者に対する月間雇用創出の比率)は3.6%で、前月から変わらず。
一方、自発的離職者は約298万人で、前月の308万人から10万人減少した。離職率(全雇用者に対する自発的離職者の比率)は2%で、前月の2.1%を下回った。
解雇者は164万人と、昨年8月以来の高水準。前月は162万人だった。
求人の内訳を見ると、製造業や小売り、金融、ヘルスケア業界などで増えた一方、娯楽・接客、ビジネスサービス、建設、州・地方政府などで減少した。
原題:Job Openings Little Changed in December as Hiring Rises Slightly(抜粋)
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iCrnIox9UOTg/v2/-1x-1.png
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-07/OL0HJL6S972801
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