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暴走するトランプ政権、ニューヨーカーの掲げたプラカード
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8822
2017年2月3日 田村明子 (ジャーナリスト) WEDGE Infinity
大統領就任式が終わって2週間ほどが経過したが、テレビをつけてもインターネットにつなげても、Trumpという名前を避けることは不可能な日々が続いている。
就任式前にジョージ・W・ブッシュ元大統領が、「オレがアメリカ史上最悪の大統領でなくなる日が楽しみだ」と言ったとか言わないとか、ソーシャルメディアでジョークのネタになった。
新政権がスタートしてまだわずかだが、毎日聞こえてくるニュースはリベラルなニューヨーカーの神経を逆なでするようなことばかり。だがトランプ大統領が誕生したのは、逃げることのできない現実なのである。
■ニューヨーカーの掲げたプラカード
Women’s March(筆者撮影)
大統領就任式の翌日の1月17日、世界各地で行われた抗議デモ、Women’s Marchは全世界で480万人が参加したといわれている。
ニューヨークではおよそ40万人の人々がセカンドアベニューからフィフスアベニューにあるトランプタワーの前まで、それぞれ手作りのプラカードを掲げて参加した。
このプラカードのスローガン、一つ一つじっくり読んでみるとなかなか面白く、語呂合わせなどもよくできたものもある。
「No Hate No Fear Everyone is Welcome Here」(憎しみ、恐れはいらない。ここでは誰でも歓迎します)
「Illegal Immigration Started with Columbus」(違法移民はコロンバスから始まった)
「Love not Hate Makes America Great!」(アメリカを偉大にしているのは、憎しみではなく愛!)
このように、最も目についたのは移民法に対する抗議の声だった。
言うまでもなく、この国ではネイティブアメリカン以外はすべて移民の子孫。トランプの母親も、移住した当時は違法移民だったと言われている。だがいったん自分たちが安全な地位についたら、他者は知ったことではないというのがトランプ政権の基本的方針である。
抗議の声も虚しく、このデモ行進のわずか10日後にはイラクなどイスラム系国7カ国からの移民の入国を拒否する大統領令で、JKF空港も大混乱に陥ってしまった。
Women’s March(筆者撮影)
■出産の選択
Women’s Marchのもう一つの大きなテーマは、女性の体に関することだ。
トランプが女性軽視の発言を繰り返す一方、避妊薬の処方、人工中絶手術などをするNGO機関、Planned Parenthoodの援助が打ち切られその多くが閉鎖の危機に追い込まれている。共和党はそもそも「人工中絶は殺人」という主張を一貫していて、違法に追い込もうという方向に動いているのだ。
もちろん人工中絶は、好ましいことではない。だが1973年にこの国で合法的になる前は、追い詰められた女性たちが違法医者の手にかかり、命を落とすということも珍しくなかったという。
難民に対する同情心ゼロ、どれほど無差別殺人の犠牲者が出ようが銃規制に反対し続ける共和党が、胎児の人権にだけなぜそこまでこだわるのか、筆者にはよくわからない。だがこれが、キリスト原理主義を多く抱える共和党の現実で、堕胎処置をした産婦人科医師が撃ち殺される事件などもたまに起きている。
ニューヨーク州はいちはやく1970年に合法化し、望まない妊娠をした女性たちの駆け込み寺になっていた。
「Women’s Rights are Human Rights」(女性の権利は人間の権利)
「My Body My Choice, My Country My Voice」(私の体、私の選択、私の国、私の声)
あの暗黒の時代が再来してはならない、とニューヨーカーたちは主張するのだ。
■思いのほか多かった男性の姿
Women’s March(撮影:Dasha Olshanetskaya)
このニューヨークでのWomen’s Marchは、実際には参加者の4割近くが男性だった。アンチゲイのトランプ政権に抗議に来たゲイの男性も多かったが、妻や恋人と一緒に来たストレートの男性たちも決して少なくはなかった。
「I’m with her.」(彼女の連れである、あるいは彼女を支持する、という両方の意味)と中央に書いたプラカードの四方に矢印をつけた男性。
「Our Daughters Deserve Better.」(我々の娘たちには、もっと良い政府が相応しい)と書いたプラカードを持った、幼い娘を同伴した父親たち。
その多くが、これまでデモ抗議になど参加したことがなかった、という人々だ。
アメリカ国家の倫理そのものが問われている今、危機感を持っているのは直接影響を受ける人々だけではないのだ。皮肉なことに、結果的にはトランプ大統領は、アメリカの人々を一致団結させることになったようなのである。
■トランプ政権はどこまで暴走するのか
もっとも残念ながらニューヨーカーたちがどれほど力作のプラカードを作ろうとも、今のところトランプ本人も側近も耳を貸そうとする気配は無い。
Women’s March(筆者撮影)
話し合いも歩みよりも遮断し、国民投票総数や、就任式の集客数など、不都合な事実は全てメディアによる捏造と逆ギレするのがトランプ政権の一貫した姿勢なのである。
突拍子もない新語も登場した。
トランプの大統領就任式に集まった観客数は「過去最大だった」とスパイサー報道官がプレス会見で語ったが、航空写真や地下鉄の乗客数の記録から、それは事実とは程遠かったことがわかっている。
NBCのニュース番組に登場したトランプの側近顧問、ケリーアン・コンウェイがそのことについて司会者に聞かれると「彼はAlternative Fact(代替的事実)を言っただけ」と庇ったのである。司会者のチャック・トッド氏は一瞬絶句。「Alternative Fact? それは単なるウソではないか」とやり返した。
このAlternative Factはたちまち美味しいネットネタとなり、猫が犬だと主張しても、馬を宇宙船だと言おうとも、それはAlternative Factに違いないとソーシャルメディアを賑わせている。
早速urbandicionary.comにも登録された。その説明は以下の通りだ。
When truth is so unfavorable to a pathological liar, that they must invent a whole new category of lies to describe their nakedly intentional acts of deception.
(虚言癖のある人間にとって真実が都合悪い場合、意図的な詐欺行為を形容するために生み出された新しい種類の嘘)
このトランプ政権、いったいどこまで暴走するのか。笑い事ではないのである。
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