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EU離脱交渉は難航必至…高まるイギリス経済「孤立」の懸念 行く手にある大きな不確実性(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/635.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 1 月 30 日 07:55:10: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


EU離脱交渉は難航必至…高まるイギリス経済「孤立」の懸念 行く手にある大きな不確実性
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50836
2017.01.30 真壁 昭夫 信州大学経済学部教授 現代ビジネス


現在の世界経済を見渡すと、多くの関心が米国の政治動向に向けられている。トランプ大統領は、オバマ政権が凍結したパイプラインの建設促進、メキシコ国境に壁を建設する大統領令に署名した。

これを受けて、財政出動が進み、米国の景気回復が支えられるとの見方が増えている。1月25日、先行き期待の上昇からニューヨークダウ工業株30種平均株価は、節目の20,000ドルを突破した。

一方、欧州では英国のEU離脱(ブレグジット)がどう進むかに関心が集まっている。

英国の先行きには不安な点が多い。メイ首相は単一市場から離脱した後、EU内外の国と自由貿易協定を結び、グローバルに開かれた英国を目指すとしている。しかし、首相が詳細なプランを提示しているわけではない。

それに対する、ドイツを始めEU残留国は英国にいい所ばかりは取らせない姿勢を示している。ポンド売りも一服し、ブレグジット交渉への過度な懸念は高まっていない。しかし、英国とEUの交渉は難航する可能性が高い。

その結果、英国は開かれた経済ではなく、孤立した経済に陥る恐れがある。自国優先の政治が進みやすい状況だけに、先行きは慎重に考える必要がある。


 イギリスのメイ首相はEU内外の国々と自由貿易協定を結ぶと言うが… Photo by GettyImages

■単一市場からの離脱を表明

昨年6月の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まって以降、メイ首相はどのようにブレグジット交渉を進めるか方針を示してこなかった。そして、年明け以降は英国がEU単一市場からの離脱を検討しているとの観測が高まった。

これを受けて、金融市場では“ハードブレグジット”(ブレグジットの結果、英国がEU単一市場へのアクセスを失うこと)への懸念が高まった。この懸念から英ポンドが下落したのは言うまでもない。

1月17日、メイ首相は単一市場から離脱することを表明した。

同時に、首相はEUと自由貿易協定(FTA)を結び、離脱後も英国の企業が単一市場に最大限アクセスできるようにすると述べた。離脱に際しては、議会の承認を求めることも表明した。

演説後、英国が離脱後もEUの市場にアクセスできるとの見方が広まり、ポンドはドルなどに対して急伸した。これは、ハードブレグジット懸念を受けたポンド売りポジションの巻き戻しだ。

24日には英最高裁がEU離脱の通知には、議会承認が必要との判断を下した。目先は、英国の上下院がメイ首相の離脱案を受け入れるかどうかに注目が集まる。

下院(庶民院)では、与党保守党が過半数の議席を確保している。その一部議員は残留派だ。そして、上院(貴族院)では、保守党が過半数を確保していない。野党労働党はEUとの関係維持を法案に盛り込む考えを持っている。

下院では残留派の議員も国民投票の結果を尊重しているとみられる。そのため、比較的スムーズに離脱通知が承認されるとの見方がある。一方、上院には注意が必要だ。一部の議員は、政府が離脱交渉の内容を詳細に示すよう求めている。

メイ首相は大まかな方針を示してはいるが、これが議員の納得を得られるかはわからない。状況次第で、3月末までに英国がEUに離脱を通知できない可能性も高まるだろう。

■不確実性高まる英国社会

英国がEU単一市場からの離脱を表明したのは、国境管理と司法権の確保を優先したからだ。

一方、EUは英国に対して一切の譲歩をしない姿勢を表明している。単一市場へのアクセスを目指すなら、人の自由な移動を受け入れなければならない。この条件は揺るがないだろう。

自国の利益を優先する英国と、共同体の連携を重視するEUの溝は、簡単には埋まらない。こうした展開をメイ首相は真剣に考慮しているのか疑問が残る。

離脱が完了するまで、英国はあくまでもEUの一員だ。制度上、EU非加盟国との通商交渉を始めることはできない。

すでにEUは英国のジョンソン外相にこの点を念押しし、同意を得たと表明している。将来的に英国とEUが通商条約を結ぶ際には、EU加盟各国の議会で承認される必要があるはずだ。そのため、最終的にEUが英国との通商条約を結ぶのには、10年はかかると考えられる。

こうした展開を想定すると、メイ首相は英国社会の将来を大きな不確実性に直面させた。それは無責任といわれても仕方がない。

すでに、メイ政権の駐EU大使だったアイバン・ロジャーズ氏は、メイ首相のブレグジットへの取り組み姿勢を批判し、辞任した。

その言い分は、政府がEU離脱をどう考えているかがはっきりとしないことだ。それが真実なら、メイ首相は中長期的な展望を持たないまま単一市場からの離脱を進めようとしていることになる。それで“開かれた英国”を目指すと述べても、根拠がない。

今回の単一市場からの離脱表明は、英国が自国の利益を優先していることを確認する機会になった。それが大統領選挙を控えるフランス世論などに与える影響は大きい。すでに、メイ首相は米国との関係強化も視野に入れている。

いまのところ、ポンドの下落が一服し過度な懸念は後退しているが、その状況を楽観すべきではない。メイ首相の判断は、中長期的な英国経済の地盤沈下と、欧州の政治混乱リスクを高めるファクターと考えるべきだ。



 

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コメント
 
1. 2017年1月30日 17:25:11 : gsnkzXsbjs : 2KRlmHhAvwU[18]
EU加盟国以外の国と同じ条件になるだけのことだろう、大騒ぎするような話とは思えないが、それともイギリスは無関税でのEU内貿易でしか生き残れないようなひ弱な国だったのか。

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