http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/576.html
Tweet |
©SACHA, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
オリバー・ストーン監督が描く愛国者スノーデンの裏切り
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/post-6821.php
2017年1月27日(金)10時40分 ザック・ションフェルド ニューズウィーク
<リベラル派からの視点で捉えた映画『スノーデン』は、彼の複雑な人間性を浮かび上がらせる>(写真:ゴードン・レビット〔左〕の演技は見事で、恐怖感がじわじわと伝わる)
国家安全保障局(NSA)の職員は恋人にしないほうがいい――それがオリバー・ストーン監督の政治スリラー『スノーデン』の最も確かな教訓かもしれない。
恋人にすれば苦労が絶えない。映画ではエドワード・スノーデン(ジョゼフ・ゴードン・レビット)と彼の長年の恋人リンゼイ・ミルズ(シャイリーン・ウッドリー)が、東京やハワイで口論を繰り返す。
彼女が欲求不満を募らせるのも無理はない。スノーデンは不機嫌でよそよそしく、国家機密について日夜考え込んでいる。彼女がパソコンに入れた自分のヌード写真を見せると、「消去しろ」とそっけない。むっとした彼女は言う。「私のおっぱいが国家安全保障上の重大事と見なされるなら光栄だわ」
だが自分の私生活を国家にのぞかれて光栄だと思う人はいないだろう。だからこそNSAが何百万ものアメリカ人の個人的な通信を傍受していたと知って、全米中が怒った。
スノーデンの私生活はどうか。
【参考記事】スコセッシ『沈黙』、残虐で重い映像が語る人間の精神の勝利
2013年に内部告発に踏み切るまで、彼はほぼ無名だった。私生活もほとんど知られていないが、この映画ではたっぷり描かれている。負傷によって04年に特殊部隊を除隊になったこと。「コンピューターの天才」としてCIAに入ったこと。持病のてんかんの苦しみ。そして元気のいいダンサー、ミルズとの関係。
スノーデンはストーン作品のヒーローの典型だ。2時間余りのドラマで彼の愛国心はパラノイアへと変わる。この映画はストーンが06年の『ワールド・トレード・センター』、08年の『ブッシュ』に続き、9・11テロとその余波をテーマにした作品だ。しかし物語のパターンは89年の『7月4日に生まれて』で使ったもの。理想に燃えた若者が政府機関か軍隊に入り、腐敗に幻滅し、反逆者になっていく。
『7月4日』には戦闘場面があったが、『スノーデン』にあるのはデータのみ。それで観客の目をクギ付けにするのは難しい。ストーンは91年の『JFK』と同様、本物のニュース映像を挿入し、大量の情報が渦巻く現代社会を表現する。ロマンスにはあまり関心がないようで、数少ないセックスシーンでは恋人たちではなく、ウェブカメラの監視の「目」にズームインする。
ゴードン・レビット演じるスノーデンは物静かで内向的。そのため演技の素晴らしさが見逃されかねないが、巨大な監視システムを前にした彼の恐怖がさりげないしぐさでじわじわ伝わってくる。
この映画は視点が偏っていると酷評された。ストーン作品なのだから、もちろん偏っている。ストーンはスノーデンの内面に寄り添い、なぜ国家機密を暴露したかを探っていく。そこから浮かび上がるのはこの謎めいた人物の複雑さ、人間らしさだ。
報道陣向けの試写ではスノーデンの弁護士とストーンが登場して、短い質疑応答が行われた。「この映画は実話か」と、観客の1人が聞いた。
【参考記事】オバマ政権への期待を裏切られた愛国者「スノーデン」を描く
これは答えにくい質問だ。ストーンは事実に基づいた映画でも劇的な演出をたっぷり盛り込む。『スノーデン』の最もドラマチックな場面の1つは、機密をコピーしたメモリーカードをルービックキューブに入れてセキュリティーチェックを通過するところ。この持ち出し方法はスノーデン本人が考案したという(実際にどうやったかは明かしていない)。
例の質問だが、ストーンはこう返事した。「NSAに答えてもらおう」
映画『スノーデン』 予告編
[2017年1月31日号掲載]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。