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日本を「新・悪の枢軸」にするトランプの手口 予測不可能な言動をとるトランプを予測可能にする
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8773
2017年1月27日 海野素央 (明治大学教授、心理学博士) WEDGE Infinity
今回のテーマは「予測不可能な言動をとるトランプを予測可能にする」です。ドナルド・トランプ米大統領の言動は、予測不可能だと言われています。ただ、これまでに予測可能な部分も見えてきました。そこで、本稿ではトランプ大統領の言動において予測可能な面を取り上げて整理してみます。
■トランプループの罠
トランプ米大統領の短文投稿サイト「ツイッター」の使い方にある行動パターンが存在します。それが「トランプループ」です(図表)。
まずトランプ大統領は、アジェンダ(議題)を設定します。例えば、「雇用創出と製造業の維持」です。海外から米国内に雇用を取り戻すために、ツイッターを通じて工場をメキシコに移転した企業批判を行います。今回はフォードやトヨタなどの自動車メーカーが標的になりました。
メディアは、トランプ大統領のツイッターの内容を取り上げて必ずニュースにします。同大統領が投稿した政策に関してメディアは企業に対して意見を求めるので、経営トップは反応せざるを得なくなるのです。
一旦標的となった企業が反応すると、トランプ大統領はそれに関してツイッターでフィードバックを与えます。その内容が再度ニュースになるのです。このようなループの中に標的となった企業を落とし込めていき、米国内に工場新設や雇用増を引き出すという同大統領の戦略が予測可能になったと言えます。
トランプ大統領は、共和党候補指名争いでトランプループの罠をすでに仕掛けていました。「国境の安全」及び「イスラム教徒の一時的米国入国禁止」などのアジェンダを設定してツイッターを武器にループの中に、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事を含んだ主要16人の候補を落とし込めていきました。その戦略を大統領に就任してからも積極的に使用しており、今後も継続してトランプループの罠を仕掛けてくることは間違いありません。
トランプループに対する対策は、トランプ大統領のツイッターに投稿された内容に即座に反応しないことです。同大統領とは適切な距離を保つことが極めて重要になります。
■新「悪の枢軸国」
共和党候補指名争いから一貫してトランプ大統領は、「中国・メキシコ・日本」の3カ国をパッケージにして、米国内の雇用を破壊した国として繰り返し批判しています。中国は為替操作国で、ドル高是正を阻止している国として捉えているのです。北米自由貿易協定(NAFTA)を活用してグローバル企業は、人件費の安いメキシコに製造拠点を作り、そこで生産した製品を米国に輸出してきました。日本企業もメキシコに製造拠点があります。そのうえ、日本に関して言えば、同大統領は一方的に米国に製品を輸出している不公平な国としてみなしているのです。
過去にジョージ・W・ブッシュ元大統領がテロ支援国家としてイラン、イラク及び北朝鮮を「悪の枢軸国」と名指しました。トランプ大統領の思考回路では、「中国・メキシコ・日本」は米国内の製造業破壊の悪の枢軸国になっています。
しかも、この新「悪の枢軸国」はすべて非白人国家です。2016年米大統領選挙で筆者が戸別訪問の最中に遭遇した白人労働者や退役軍人といったトランプ信者は、不法移民や人種、民族及び宗教における文化的多様性が米国社会を破壊したと強く信じていました。トランプ大統領が「中国・メキシコ・日本」をパッケージにして叩く背景には、人種を使った支持者固めという見方も可能です。
■取引材料の組み合わせ
トランプ外交における予測可能になった点もみていきましょう。トランプ大統領は、取引材料の組み合わせを常に探しています。
例えば、台湾と「1つの中国」政策です。中国を揺さぶるための効果的な組み合わせなのです。ロシアの核削減と制裁解除も有効な組み合わせになる可能性があります。メキシコに進出せずに国内に留まった企業と優遇措置も組み合わせに含めることができます。
日本側にとって大きな懸念材料は、トランプ大統領が日本に対してどのような取引の組み合わせで揺さぶりをかけてくるのかです。前回の『雇用創出のための同盟国ニッポン』で説明しましたように、就任演説の行間を読みますと日本は同大統領の内政の延長線上に置かれた「同盟国」であることが明らかになりました。従って、日本に対する取引の組み合わせは、雇用創出を引き出すためのものになる可能性が高いとみて良いでし
■非言語コミュニケーション
トランプ大統領のコミュニケーションスタイルにおいても予測可能になった点があります。大統領就任演説でみせたように鍵となる単語を2回述べます。「米国第一主義」がそうでした。
それに加えて、トランプ大統領の非言語コミュニケーションにも特徴があります。例えば、同大統領は演説において強調する際、声のスピードを落として人差し指を立てたり、親指と人差し指で輪を作ります。同大統領が最も重視するメッセージは、声のスピードといったパラ言語(副次言語)とジェスチャーを使った複数の非言語コミュニケーションチャネルにより発信される傾向が高いのです。
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