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アメリカを偉大にするのは、トランプではなく「この男」かもしれない その名はピーター・ティール!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50767
2017.01.20 田村 耕太郎 現代ビジネス
イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、シェリル・サンドバーグ、ティム・クック、エリック・シュミット、ラリー・ページ……昨年の暮れ、NYでトランプ氏を取り囲んだのは凄まじいメンバーだった。このメンツが今後、4ヵ月に一度、集まることになったという。
「君らは何かあったら私に直電してきてくれ」――。
シリコンバレー嫌いで知られるトランプ氏が皆に笑顔で語りかける。仕掛けたのはやはりあの男、ピーター・ティールだった。
無政府主義者が多く、政治をリスペクトせず、大統領選ではこぞってヒラリークリントン氏を支持し、トランプ氏勝利を受けてアメリカからの独立まで叫びだすシリコンバレーの起業家たち。この、いわば、視野狭窄なテック野郎たちをきちんと諭し、政治の重要性を説き、西海岸からはるばるNYに呼び集めたピーターは、会合の冒頭、パソコンさえ使わ(え)ないといわれるトランプ氏から絶賛された。
トランプ氏の向かって右隣という、最上席に鎮座するこの人物がこの先、自らテクロノジーと政治を仕切ることになる。
■「明治維新2.0を起こすんだ!」
「賛成する人がほとんどいない、大切な真実とは何か?」
これがピーター・ティールの口癖である。彼は常にこの問いに対する答えを求め続けている。
そして、その答えを追求するために作った勉強会で、私は彼と出会った。今にして思えば、シリコンバレー代表として、トランプ大統領の誕生を予見し、支持したことこそがピーターのいう“賛成する人がほとんどいない、大切な真実”だったのだろう。
昨年、その勉強会で会った時、ピーターはこう言いながら自著にサインして手渡してくれた。
「日本か。ふーっ。日本はねえ……そう、明治維新2.0を起こすんだ!コータロー」
それ以来、真の“解”があるとしたら、それは皆がこぞって反対するようなものなのだと思いながら、日本が歩むべき道を考え続けている私だが、それから数ヵ月後、またしてもピーターに驚かされることになる。
シリコンバレーが一致団結してトランプ候補に大反対する中、メインストリームのメディアが「トランプなんて勝てっこない」と言っている中、7月の共和党大会でピーターが壇上に立ち、なんとトランプ支持を打ち出したのだ。そしてその誰よりも早い支持表明によって、トランプ政権移行チームの重鎮になってしまったのだ。
数ヵ月前までは政治と最も遠いところにいた彼だが、今や世界政治の“ど真ん中”にいるといってもいいだろう。いったい誰がこんな事態を予想できただろうか。
私はもちろん、トランプチームの中でピーターに一番期待しているが、そのピーターをもってしても、トランプ政権をシリコンバレーと調和させていくのは困難だとみている。
私に口酸っぱくいってくる「明治維新2.0」とは、もちろん、日本国の体制変更のことではなく、ざっくりいえば、「テクノロジーで日本を変えろ」という意味だと私は理解している。
しかしながら、相手はアンチ・サイエンス、アンチ・テクノロジーと言われるトランプ政権。繰り返すが、私は彼をもってしてもなお、トランプ氏とテクノロジーを和解させるのは容易な仕事ではないと思う。NYでの著名テック起業家との手打ち式は、まだ表面的にすぎない。
トランプ氏を支持した“凋落する白人ミドルクラス”から仕事や富を奪っている犯人は、グローバリズムではない。トランプ氏はメキシコや中国を敵視することによって支持層に応えようとしているが、彼はいまだにグローバル化を白人ミドルクラス凋落の原因とみているきらいがある。
しかし今、頭のいい彼は“本当の敵”に気付きつつある。白人ミドルクラスから仕事と富を奪っているのは、どちらかといえば“テクノロジー”なのだ。そのことにトランプ氏が、そして彼の支持層が本格的に気づいたとき、どうなるか? 大統領は間違いなく、こう言うだろう。
「おいUberさんよ。タクシー運転手をこれ以上痛めつけたら許さんぞ」
「おいおいAmazonさんよ。小売店をつぶすようなことはもうやめないか」
■ピーターの大統領洗脳作戦
また独善的スタイルのトランプ氏のことだから、別の理由でシリコンバレーのテクノロジー業界に挑戦状を突き付ける可能性も大きい。フェイスブックやグーグルやアップルに、こんなことを言ってきかねない。
「アメリカを偉大にするためだ! 君らが持つビッグデータを差し出しなさい」
特にピーターが創業したパレンティア(世界最大のデータ分析会社)に対しては、露骨にデータ開示を要求しかねない。私は「ピーターのトランプ支持」の遠因は、ここにあるのではないかとさえ勘ぐっている。
ピーターのことだから一手先を読み、「多少の犠牲(トランプ支持層のさらなる凋落)を払ってでも、テクノロジーを進化させていくことこそが、アメリカを偉大にする道だ」「アメリカを偉大にできるのはテクノロジー以外にない」と言って、その懐に飛びみ、大統領を教育していく覚悟なのかもしれないが。
彼のもう一つの口癖は「競争なんてするな。独占を築け」というもの。競争による消耗は収益を悪化させ、資本蓄積を妨げる。つまり競争は資本主義の敵であり、資本主義の神髄は競争しないことにあるのだ。
グーグルもフェイスブックもテスラもパレンティアもアマゾンも、「独占」と言うと公取委に睨まれるので絶対認めはしないが、そのビジネスモデルは外形的には「独占」である。独占により、超過利潤の蓄積が加速され、その資本力をもってさらなるテクノロジーの進化を実現しているのだ。
ピーターはきっと、彼なりのモットーを大統領に叩き込もうと考えているのではないか。「アメリカよ、中国ともロシアとも競争するな。独占的地位を築くことではじめてアメリカは真に偉大になれるのだ」と。
そうでなければ、一分一秒たりとも無駄にすることを嫌う彼が、わざわざ政治の世界に飛び込むことに合点がいかない。
■実力があるならゴマをすれ!
日本人と話していると、日本企業のダメさ加減の例として、「無能なゴマすりばかりが出世する。もっとフェアに行くべきだ」などと子供っぽいことを言う方が多い。しかし、残念ながら、ゴマすりが優先的に出世するのは世界中どこでも同じだ。
世界と日本に何か違いがあるとしたら、実力ある者が、それを承知の上で、さらにゴマをするかどうかだけだろう。「俺には実力があるから、ゴマなどすらない」と勇ましく言い放つ人は、そもそもの実力が疑わしい。ナイーブすぎるからだ。そんなことでは、組織のためにいい仕事ができるとは思えない。
ピーター・ティールを見習ってほしい。何千年生きるにも困らないだけの資産を持ち、有望な企業に投資していて、今後とも楽しい人生が約束されているのに、彼はLGBTをカミングアウトしてまで、あえてゴマをすったのだ。
あえてゴマをすり、LGBTの敵であり、サイエンスやテクノロジーをもっと敵視しかねないトランプ氏の懐に飛び込み、今や最高に重用されている。彼はそうまでして自分の信念を実現しようとしているのだ。
そう、ゴマをする技術も実力の一部。ゴマをする胆力もないナイーブな人間が間違って出世したところで、大した仕事はできないだろう。仕事を通じて実現したいミッションもないのか? あればゴマすり好きの上司なんて、出方が予見できて、簡単な相手じゃないか!
冷静に考えれば劣勢に思えるが、クレイジーと思われる挑戦を何度も成功させてきたピーターが、世界政治の“ど真ん中”で、トランプ大統領という猛獣をどのように御していくのか、じっくりと注視していきたい。
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