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露ハッキング報告書、トランプ氏の世界観に打撃 対中国戦略としての対ロ関係改善は困難に
ロシアとは親密な関係を築き、それによって中国に対抗する戦略的立場を強めるというのがトランプ氏(写真)の構想(2016年12月21日、フロリダ州)
By GERALD F. SEIB
2017 年 1 月 10 日 11:14 JST
――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJワシントン支局長
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昨年の米大統領選にロシアが干渉したとする米情報機関の報告書は、単にロシア政府の非道な行為を描写しているだけではない。ドナルド・トランプ次期大統領がホワイトハウスに持ち込もうとしていた戦略的世界観に打撃を与えることにもなった。
世界はいま、三極体制の様相を強めていることが次第に明らかになりつつある。依然として最も重要な大国である米国、台頭する中国、そして国際的な地位を取り戻そうと再び自己主張を強めているロシアの三極体制だ。
不可解なトランプ氏を読み解くことは困難だ。同氏は三極体制の世界で米国の繁栄を目指すため、ロシアと親密な関係を築き、それによって中国に対抗する戦略的立場を強める構想を描いているように見える。
もしそうだとしたら、この戦略方程式は今回の報告書によって深刻な打撃を受けたことになる。中央情報局(CIA)と連邦捜査局(FBI)、国家安全保障局(NSA)の一致した見解が記されているこの報告書は、ロシアによる米大統領選への組織的な関与があったことだけでなく、米国の民主主義の考えそのものを弱体化させようとする大きな狙いがあったと明示している。
次の標的はトランプ政権
あまり注目されなかったが、報告書の締めくくりにはロシアのウラジーミル・プーチン大統領の意図についてこう記されていた。「過去の行為や現況から判断すれば、ロシアの情報機関は米国に対抗するための手段をプーチン(大統領)に提供する能力を開発し続けるとわれわれはみている。米大統領選の直後に、ロシアの情報機関は米国の国家公務員を標的に『スピアフィッシング』(サイバー攻撃の一種)を仕掛け始めたとみている」。報告書は、こうした攻撃は、次期政権の目標や計画に関する機密情報収集をもくろむ国に材料を提供することになりかねないと述べている。
換言すれば、米国の情報当局は次期大統領に対し、次の標的はあなたのチームであるという警告を発したのだ。
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これに対し、共和党の重鎮であるジョン・マケイン、リンゼー・グラム両上院議員は先週末、新たな対ロシア制裁を発動させるための法案通過を後押しすると表明した。
こうした状況を踏まえると、米国がロシアと連携すると同時に貿易や安全保障面で中国に挑戦するという世界秩序の構想を、トランプ氏が追い求めるのは政治的にかなり困難である。
米国の戦略ハンドブックでは、中国とロシアが対立するように仕向けるというのが長年の定石だった。この二大共産主義国は互いに嫌悪し合い、片方が米国に近づきすぎることで勢力バランスが誤った方向に傾くことを懸念していた。ヘンリー・キッシンジャー元国務長官がかつて言ったように、そうした情勢での米国の目標は、ロシアと中国の双方に対して中ロ間の距離よりも近い関係を維持することだった。
先週発表された情報当局による驚くべき報告の前でさえ、中国に対抗するためにロシアにてこ入れする戦略が現下の情勢で奏功するのかは不透明だった。「かつては三角外交に多くのうまみがあった。ソ連と中国は互いに最悪の敵同士だったからだ」。そう話すのは旧ソ連担当の国務省特使を務めたスティーブン・セスタノビッチ氏だ。「今は状況が全く違う。今はプーチン(大統領)に取り入ることで、ロシアと中国が敵同士になることはない」
実際、プーチン大統領による昨年6月の中国訪問は友好的で成功したように見えた。大統領と中国の習近平国家主席はエネルギーや通商を含む二国間協力の一連の取り決めに署名した。ここには冷戦下とは異なる両国間の力学が反映されている。
中露を抑える最善の方法
トランプ氏が大統領に就任すれば、中国の貿易や南シナ海での軍事活動に対してより直接的な挑戦に出る意向であるのは明白だ。しかし、その代わりに対ロシア関係の改善を追求する自由が、ここ数週間で減ってしまった。端的に言えば、トランプ氏が好むと好まざるとにかかわらず、対中と対ロの両方で緊張が生じることになる。
セスタノビッチ氏によると、この戦略上の現実に対処する最適な方法は、欧州やアジアの同盟諸国との強い結びつきを利用してロシアや中国の不作法を抑えることだ。
さらに言えば、中国に対して米国が持っている最も有効なてこはロシアではなく、中国自身の自己利益だ。アシュトン・カーター国防長官は先週、「中国の戦略的思考には、ある傾向がある」と指摘した。
カーター氏によれば、中国は貿易・安全保障両面で米国への挑戦を狙っているが、同時に「中国国民と政治的安定に必要な繁栄の実現のためには、いま戦うことはできないうえ、現在うまくいっているシステムを台無しにすることもできないことを(中国政府は)認識している」。
中国への懸念はアジア全域に広がっている。この懸念が米国の保護下に入るよう地域の関係各国を駆り立てているとカーター氏は話す。中国への対抗手段として最適な方法は、単純にこれらの同盟諸国を取り込むことかもしれない。
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