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懐古趣味ナショナリズムの台頭 トランプ、プーチン、習近平・・・過去の栄光に浸る指導者たち(Financial Times
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/206.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 1 月 10 日 14:50:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

ドナルド・トランプ次期米大統領(左)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(2016年12月30日作成)。(c)AFP/DON EMMERT AND Natalia KOLESNIKOVA〔AFPBB News〕


懐古趣味ナショナリズムの台頭 トランプ、プーチン、習近平・・・過去の栄光に浸る指導者たち
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48874
2017.1.10 Financial Times


(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年1月3日付)

 米国は地球規模のトレンドを仕掛けることに慣れている。しかし、ドナルド・トランプ氏が「米国を再び偉大にする」と公約する数年も前に、中国、ロシア、トルコの3カ国が「懐古趣味ナショナリズム」の流行を確立していた。

 中国では習近平国家主席が「中華民族の偉大なる復興」を主導するという表現で、トランプ氏の有名な公約の中国版を2012年に打ち出していた。同じ年に、ウラジーミル・プーチン氏が大統領としてクレムリンに返り咲き、「ロシアを再び偉大な国にする」と簡単に要約できる国家プロジェクトに着手した。一方、トルコではレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が、オスマン帝国時代の栄光から国全体が刺激を受けることを望んでいる。

 中国、トルコ、ロシアの政治状況からは、懐古趣味ナショナリズムの危険性について明らかな警告を読み取ることができる。この3カ国では、国としての偉大さを復活させたいという思いが、国外の敵対勢力に対抗しようという政府主導の運動や、反国家的な「内なる敵」の注視と一体化しているからだ。

 米国には簡単には変更できない制度や慣習があり、報道の自由もあるため、トランプ氏の懐古趣味ナショナリズムがプーチン氏や習氏、エルドアン氏らのようなやり方で国内の政敵をねじ伏せることははるかに難しいだろう。だが、民主主義国はどういうわけか比較的マイルドな懐古趣味ナショナリズムに毒されずに済むだろうという見方は、明らかに間違っている。その理由は、日本やインド、ハンガリー、英国を見ればすぐに分かる。

 日本の安倍晋三首相は、国の再興を目指して精力的なキャンペーンを主導している。日本をアジアの強国に押し上げた明治維新に触発されたのだという。インドではナレンドラ・モディ首相が、インドの近代化を目指すと同時に過去――栄光に満ちた、そして所々神話化されている過去――についてのヒンズー教徒のプライドに訴えかける、ヒンズー・ナショナリズムの運動を率いている。ハンガリーでは、ナショナリストのビクトル・オルバン首相が、第1世界大戦後に失った領土に物欲しげなまなざしを注いでいる。

 そして、ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)がある。英国がEU離脱を決断する際にも懐古趣味ナショナリズムがそれなりの役割を担った。離脱派が「グローバルな英国」を強調し、英国が28カ国から成る欧州クラブの一員にすぎない時代ではなく世界屈指の大国だった時代の記憶に訴えかけたのだ。

 ロシア、中国、米国、英国、日本、インド――これらの国すべてに何らかの形で懐古趣味ナショナリズムが存在するとなれば、これは至る所で見られる現象であり、それゆえに平凡であると考えたくもなる。だが、それは誤りだ。

 西側にある民主主義が最も確立した国々は、まだこのトレンドを追いかけていない。カナダ、オーストラリア、そしてほとんどのEU加盟国は、まだナショナリズムに屈服していない。フランスは危うい状況にある。マリーヌ・ルペン氏の率いる国民戦線(FN)は、典型的な懐古趣味ナショナリズム政党だ。ただ、そのフランスから見てライン川の対岸にある国で、「ドイツを再び偉大な国にする」というスローガンを掲げる党が成功することは想像し難い。

 懐古趣味ナショナリズムは各地に根を張ったものの、多くの国では、まだ新興勢力だ。英国と米国ではつい最近まで、最も成功した政治家は未来志向だった。

 ビル・クリントン元大統領は「21世紀への橋」を架けることについて語り、バラク・オバマ大統領は「希望と変革」を訴えた。英国ではトニー・ブレア元首相が「クール・ブリタニア」についてまくし立て、デビッド・キャメロン前首相は自らを、現代社会になじんだ「近代化を目指す保守」と位置づけた。ロシアでさえ、プーチン時代が訪れるまでは、過去の帝政時代の栄光を取り戻すことよりも新しい未来を築くことの方に関心があるように見えた。

 いったい何が起こったのか。おなじみの、どんな状況も説明できる概念と言えば「グローバル化」だ。大規模な移民の発生や2008年の世界金融危機といった世界の資本主義を混乱させる事態のせいで、今日よりも安定的で均質な国家中心の過去に対する郷愁が増した、というわけだ。

 また、1つの国でのナショナリズムの復興が別の国での再興を促した可能性もある。例えば、トランプ氏はブレグジットが刺激になったと語っていたし、プーチン氏のファンであることも臆面なく公言している。

 さらに、これはあまり検討されていない説だが、懐古趣味ナショナリズムの復活は政治経済の力が西側からアジアにシフトしているからかもしれない。確かに、米国の富と世界的な影響力とが少しずつ低下しているという感覚は、米国を再び偉大な国にするというトランプ氏の公約の下支えになった。また、中国やインドなど台頭しつつあるアジアの大国では、西側の帝国主義の時代には陰に隠れていた国と文化の偉大さをよみがえらせようという熱意が、世界的な勢力シフトによって触発されている。

 愛国心の観点から過去を強調することは、政治の標準的なレトリックとして世界中で使われている。懐古趣味ナショナリズムが危険性を帯びるのは、これが神話作りや外国への敵意にいつの間にか変わってしまうときだけだ。その時点で、ライバル関係にあるナショナリストたちとの間でイデオロギーの衝突が起こる可能性が高くなる。米国と中国のナショナリズムが太平洋をめぐって対立する可能性は、トランプ氏の大統領選挙勝利以降、高まったように思われる。

 懐古趣味ナショナリストにとっては常に、自国の複雑な歴史に正直に向き合うことよりも、外国が働いた悪事に注目する方がはるかに容易だ。そのあたりは、プーチン氏も習氏も祖国を作った偉大な人物――スターリンと毛沢東――の犯した罪については語りたがらないことからはっきりとうかがえる。

 また、懐古趣味ナショナリズムは過去にも流行したことがあるが、それらの時代は、振り返ると元気になるという類いのものではなかった。例えば、1930年代にはムッソリーニのイタリアが古代ローマの栄光を強調し、ナチスが自分たちを中世欧州のドイツ騎士団の継承者と位置づけていた。

 国家の復興を願う人々にとって、歴史は1つの刺激になり得る。米国でも、どこでもそうだ。だが、歴史は警告としても受け止めるべきだ。

 

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コメント
 
1. 2017年1月10日 23:54:13 : f1Gwl30BSA : QESBxWOhfzY[6]
こういうの一昔前は独裁と非難したんだよ、欧米系の新聞はみーんなね。

ほんで大抵批判するだけでなく、自分らより弱っちい国だったら露骨な介入政策で紛争を呼び込ませて潰したんだよ。

で今はナショナリズムと一括りに言うようになった。

ところでフィナンシャル・タイムズの巧妙なのは、たんなるナショナリズムと中国ロシアのような現および旧共産主義の国のナショナリズムとは言葉を分けて使うとこだろう。

懐古趣味ナショナリズムとはよく言ったもので、かつての栄光を取り戻したいと国の勃興期の先達指導者に想いを馳せる現指導者たちをつかまえて総ざらいで、懐古趣味ナショナリズムのレッテル貼りとは恐れ入った。

フィナンシャル・タイムズが希望を込めて過去に拘泥せず未来について思考した指導者であると挙げたオバマやブレアだが、他国の政変に関与しその国に血の雨を降らせる愚行に手を染めている汚れた手が未来を掴めると本気で言っているのか?

たんなる言葉のお遊びで世界を勝手に色分けしないでもらいたい。


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