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【オピニオン】プーチン氏の秘密、CIAが暴露できない理由[WSJ]
欧米政府はプーチン氏に代わって未知の悪魔が登場することを恐れている
By
HOLMAN W. JENKINS, JR.
2017 年 1 月 6 日 16:25 JST
――筆者のホルマン・ジェンキンス・ジュニアはWSJ論説委員で「ビジネスワールド」欄担当コラムニスト
***
米国の対ロシア情報収集活動はこの面でも十分な水準に達していないかもしれない。バラク・オバマ米大統領がロシアのハッキングへの仕返しとして、ウラジーミル・プーチン大統領の不正蓄財(最大1600億ドルとみられている)の秘密を暴くことを期待する向きは多いだろう。だが、そうしたデータは存在しないと知って落胆するかもしれない。
秘密を暴露してプーチン氏を弱らせるのは名案だ。私たちはそれを3年前に提案している。だが当時、ロシアによるクリミア併合を受けて米財務省がプーチン氏の「個人銀行」に対する制裁を発表した時でさえ、同省はプーチン氏の国内の敵が10年前から唱えていた疑惑を引用していた。グーグルで見つかる以上の情報は暴露しなかった。
2番目の問題は、実はプーチン氏は何の所有権も持たないことかもしれない。少なくともロシアの略奪政治の後半には、プーチン氏が何かを指さすだけでそれが差し出されるようになった。一例がニューイングランド・ペイトリオッツのオーナー、ロバート・クラフト氏の体験だ。同氏は当初、スーパーボウルの指輪を2005年にプーチン氏に譲ったと話していた。しかしその後の告白によると、プーチン氏がその指輪をはめてみたいと頼み、「それをポケットに入れ、KGBの男3人に囲まれ、歩き去った」という。
誰が何を、どれくらい長く保有するかについて、プーチン氏がどこまで容認するのかは非常にわかりにくい。同氏にとって16年の締めくくりとなった見事な金融取引が象徴的だ。
分からない資金の出所
プーチン氏の手下はロシアの財政逼迫(ひっぱく)を和らげるとともに欧米の投資家にアピールするため、国有石油会社ロスネフチの一部民営化を計画した。だが買い手に資金を供給するとされたイタリアの銀行は、まだ計画への参加を決めていないことを認めている。ロシアの報道機関によると、欧米の主な参加者である鉱業大手グレンコアは出資金50億ドルの大半を免除された。複数の「ロシアの銀行がグレンコアをこの義務から免除した」という。
つまり、資金の出どころも売却株の多くを最終的に誰が保有するのかも全く分からない。
ただ、プーチン氏は汚職疑惑を掛けられることに敏感なのではないかとの見方は間違っていない。アラブの春、ウクライナの革命、カダフィの失脚は誰も予想していなかった。民衆の怒りが爆発してプーチン氏が失脚しないとも限らない。
プーチン氏最大の盟友であるロスネフチのイゴール・セチン最高経営責任者(CEO)は、プーチン氏の邸宅やヨットに関するロシアメディアの報道を抑圧するため、あらゆる方面で訴訟に対応している。プーチン氏のために病院の迂回(うかい)資金で建てられたとされる黒海沿岸の宮殿は、うさんくさい取引に包まれている。この物件は現在、時価の何倍もの金額を支払った実業家が保有しているとされる。
少なくとも米中央情報局(CIA)はプーチン氏の駆け出し時代に関する完全な記録を持っているはずだ。当時のロシアには自由なメディア文化があった。サンクトペテルブルク市の副市長時代、プーチン氏が食料用資金9300万ドルの紛失に関与したとされる疑惑が市議会の特別委員会によって記録されている。
1999年には293人が死亡したアパート連続爆破事件があった。プーチン氏はこれを追い風に大統領選で勝利した。この事件が起きる前ですら、モスクワで信頼できる欧州やロシアの新聞は、同国の秘密警察がそうした攻撃を計画していると伝えていた。その後に学術機関や報道機関が行った調査は、それら「テロリスト」の行為はプーチン氏の支持者によって仕組まれたとの見方を支持している。
都合のいい殺人や怪死
米情報機関がこれら2つのエピソードについて明確な評価をしているのは確かだ。プーチン氏の台頭の陰には多くの都合のいい殺人や怪死があり、同氏はそのおかげで不都合な情報の発覚を免れてきた。CIAはそうした事件についてわれわれが知っている以上のことを暴露することができるかもしれない。
甘い考えはこの辺でやめておこう。プーチン氏の秘密暴露を呼びかけている米民主党の幹部ダム・シフ下院議員も、甘い考えは抱かないほうがいい。欧米の政府は、ロシア反体制派のアレクサンドル・リトビネンコ氏が放射性物質ポロニウムによりロンドンで殺害されるという国際テロに対してさえ、沈黙したままだ。なぜか。予期せぬ結末や、プーチン氏に代わって未知の悪魔が登場することへの懸念から、プーチン体制に強く出るのが怖いのだ。
オバマ氏の制裁はこうした懸念を念頭に細かく調整してあり、ドナルド・トランプ次期大統領がもたらす変更の余地は限られている。安心していい。トランプ氏の自伝からは、同氏が将来プーチン氏と交渉する際にオバマ氏の制裁から得られる優位を自ら手放す意向はうかがえない。一方でトランプ氏は、仰々しいながらも弱い言葉を提供してプーチン氏に便宜を図ることをやめるだろう。そうした言葉はプーチン氏にとって、米国が戦略地政学上の脅威である証拠としてロシア国民に示し、自身は勇敢かつ堂々とその脅威の裏をかいていると説明する材料になる。
トランプ氏が成功した場合、最良かつ最も可能性が高い結末は、プーチン氏が再選を目指す2018年の選挙までとその後1年ほどにわたり、国際社会の問題児であることをやめることだ。トランプ氏の自由度は高まり、国内の改革や、欧州連合(EU)で今年起きるに違いない緊急事態の対応に集中できる。
その休暇は一時的なものにすぎない。プーチン氏は平和な引退について現実的な希望など抱いておらず、その社会と経済は同氏の下で崩れつつある。今後10年、プーチン氏がロシアと世界の疫病神になることはほぼ確実だ。
http://jp.wsj.com/articles/SB10150392616080993801604582541712716712308
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