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【ラスベガス=中西豊紀】米国雇用を優先させるトランプ次期米大統領の介入戦略が日本企業にも及んできた。同氏は5日、トヨタ自動車のメキシコ工場新設について自身のツイッターに「ありえない!。高い関税を払え」と投稿した。米有力製造業にとどまらず日本を代表する企業までもが名指しで狙われた形で、米産業政策の不透明感がさらに高まっている。
この日、トランプ氏は唐突に「トヨタはメキシコのバハ・カリフォルニア州に工場を建て、米国向けに『カローラ』をつくろうとしている」とツイッターに投稿した。そのうえで「米国に工場を建てろ」と書き込み、メキシコ工場新設の撤回を求めた。
3日にはフォード・モーターがトランプ氏への配慮でメキシコ工場新設の撤回を発表したばかり。同じ日にトランプ氏はゼネラル・モーターズ(GM)のメキシコ投資も批判し、4日には「これで終わりではない」とつぶやくなど企業介入を続ける意向を示していた。メキシコ投資で外資企業に批判の矛先が向いたのはトヨタが初めてと見られる。
トランプ氏の批判を受け、トヨタは同日「2015年4月に発表したメキシコへの投資で米国の雇用が減ることはない。トランプ氏の政権と共にお客様と自動車産業につくせるよう協力していきたい」とのコメントを発表した。
トランプ氏がなぜトヨタを標的としたのかは明らかになっていない。トヨタの新工場の建設予定地はバハ・カリフォルニア州ではなくグアナファト州で、投稿には一部誤解がある。同社がメキシコ工場新設を決める際には、米国工場の雇用を減らさないよう配慮をほどこしている。
ただ、トヨタの豊田章男社長は日本時間の5日に「ひとたびやった以上、雇用と地域社会への責任がある」と記者団に述べ、メキシコ工場新設を見直さない考えを示した。トランプ氏の投稿はその直後で、社長発言が同氏を刺激したとの見方もある。
トヨタは1980年代、日本車の対米輸出増がもたらした日米自動車摩擦の余波で米国に工場を建設した経緯がある。トヨタのメキシコ新工場は19年稼働予定で、11月の米大統領選直後に起工式を開いたばかり。フォードは18年稼働予定の工場新設を撤回した。今後のトヨタの対応はトランプ氏流の介入を外資がのむかどうかの「踏み絵」にもなる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN06H0N_W7A100C1000000/?dg=1
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