>>14 小野寺氏が主張される「気象兵器HARRP」だの何だのは、ただ単にその「気象兵器の実在がアリかナシか?」という以上に「この世界をそういう風に理解するかしないか?」という問題なんだと思うんです。 小野寺氏は、そのHAARPで、安倍政権は西日本に水害や地震を起こした、と主張しておられます。他にも過去には色々な事例がある筈ですが、とりあえず今回の西日本の地震と水害に絞って考えてみます。 安倍政権が気象兵器を使って西日本に災害を起こした理由としては、官邸にいる「亡国のなんちゃら」が外国の陰謀勢力の要求に応える目的で色々な法案を国会で可決させるため、野党の目を欺く「どさくさ」を作りたかったからだ、と彼は言います。 >>12でも書きましたが、現在の安倍政権はそんな「どさくさ」を作り出さなくとも強硬に色々な法案を国会で可決して通しています。その点でも小野寺氏の言説は信用できないと私は思います。 しかし、それ以上に、小野寺氏の主張は「この世界には大災害を人為的に発生させられる技術があり、それを使用できる強大な陰謀勢力があり、その指令には誰も逆らえない。指令を受けた人間は末端に至るまで完璧にその指令に従い永久に完璧に秘密を守る。この世界はそういう操り人形で満ちている世界なのだ」ということになります。そういう彼の「世界観」を受け入れないと、とてもじゃないけれど彼の言説は信じることが出来ません。 例えば、今回の西日本の地震や水害ですが、安倍政権にも、西日本の被災地域が地盤の議員がいる筈です。また、国会議員とか官僚とか、そういう権力に近い場所にいる人間だけではなく、その気象兵器を実際に操る「現場の末端にいる下手人ども」だって、それらの地域の出身者や、家族や親戚や友人がその地域に住んでいる人々もいるでしょう。直接にそれらの地域の関係者ではなくとも、安倍政権が気象兵器によって「どさくさ」を作り出している事を知っている人間は相当数いるはずです。少なくとも「安倍晋三の他には日本で5人しか知らない事実」とかではない筈です。長年にわたって多くの人々、上は国会議員や高級官僚から下は現場の作業員や「マスゴミ」の記者までの多くの人々がその存在を知っていて、今もその秘密を守って何気ない顔して生きている筈です。小野寺氏が主張しているこの世界は、そういう世界です。 そういう世界では、誰もが「上からの命令」には逆らえません。例えば国会議員や官僚は、たとえ自分の選挙区や出身地の人々が地震や水害で命が奪われようとも、誰も「ウチの地元で災害を起こさないでください」なんて言いません。たとえ自分の家族がその災害で死んでしまっても、彼らは沈黙を守り、気象兵器を使用した人工災害のことは決して告発しようとはしません。現場の実行犯も同じ。彼らには自分の意志など無く、ただ上からの命令を感情も無く受け入れて従うだけの操り人形だからです。自分のかわいい娘の命より、上からの命令の方が優先です。殺せと言われれば自分の娘だって何の躊躇いもなく殺します。小野寺氏の主張に従うなら、少なくとも政権中枢の国会議員や高級官僚は一人残らずそういう操り人形です。 そういう国家的な陰謀では「マスゴミ」も安倍政権の道具でしかないし、例えば色々な災害のデータを収集して分析する気象庁や大学の研究者だって、誰も「人工的な災害」について言及する人間はいません。それらの人間も含めると「操り人形」の数は膨大になりますが、今に至るまで操り人形どもの反乱は起きていません。完璧です。 仮に私や>>14さんが、マスコミで働く人間や、気象についての研究者の端くれだったとしましょう。私はバカな愚民ですから、簡単に、上からの命令に従順な操り人形の新聞記者になってしまうのでしょう。目の前で災害が起きても何も疑わないし、仮に気象兵器の噂がどこからか流れてきても、それを追及して報道しようなんてジャーナリスト魂などカケラも無い。政府の発表を何の疑いも無く垂れ流すだけで一生満足してしまう操り人形の人生に、疑問など一切持ちません。でもそうかな?そんな私でも一生のうちに一度もそういう疑問に直面しないものでしょうか?まぁ私は愚民なので、そうなんでしょうね、きっと。 けれど>>14さんは、正義感もあり、何事も自分の頭で考えることの出来る優秀な人間です。仮にそういう>>14さんが気象庁の災害データを分析する仕事をしていたとしましょう。彼は気象庁のお役人ですから、どこからかのヒソヒソ話で、気象兵器の噂も聞いたことがあります。すぐにはそれを信じないけれど半信半疑な状態です。そこへ人工災害が起こりました。「あれ?このデータがおかしいぞ?」と感じたら>>14さんならどうするでしょう。 でも、小野寺氏の理解する世界には、愚民である私は居ても、>>14さんのような人間は一人もいません。絶対にいません。マスコミの従業員や気象庁の分析官は一人残らず操り人形です。そんなのただの普通の会社員や公務員なのに。つまり、小野寺氏の考えるこの世は、愚民だらけです。私や>>14さんのような普通の人間が、たまたま気象兵器やその他の陰謀の存在を知ったり、うっかりその片棒を現場で担がされるハメになったりする可能性は十分にあるはずです。でも今までひとつも、そういう現場での告発や自白は起きていません。疑問を呈した人さえ出てこない。何故か?この世の全人類は、自分の意志より陰謀の首謀者の命令に従う操り人形だからです。 そんな世界の理解の仕方は、私はイヤです。 安倍政権の中枢に座る人々のことは、そりゃ悪質な悪人だと思ったっていいです。実際に政権運営の仕方を見るとひどいもんですよね。過去の自民党政権を見ても、安倍政権はその中でもかなりひどい(もしかしたら最低)と思います。 でも、だからといって、彼らが、平気で自分以外の人間ならたとえ家族でも友人でも平気で命を奪って澄ましていられるとは、私には思えない。そこまで彼らを、まるで何かの物語に出てくるような人間の皮をかぶった悪魔だと考えなくても、政権批判は出来るし、安倍政権を倒すことは可能です。彼らは普通の人間の中の普通の悪人なんだと思うし、内閣の打倒を目指すならそれで充分です。 そしてこの世界は、操り人形じゃない>>14さんのような正義感にあふれた普通の人々が、自分の頭で色々考えながら生活している世界です。そりゃ人は千差万別ですから、皆が同じようには考えません。なかには安倍政権を評価して支持する残念な人々だって、たくさん居たってべつに不思議じゃありません。彼らだって、それぞれ自分なりの理由で安倍政権を支持するに至っただけで、べつに毒電波で一斉に安倍晋三に操られているわけではありません。今は意見が違っても、何度も話せば理解し合える可能性はあるわけです。お互い普通の人同士なんだから。少なくとも、小野寺氏が奮闘して毒電波の発信元を突き止めて電波を切ったら全国民が一斉に覚醒して安倍政権は打倒される…とか、この世はそんな安易な世界では絶対にないです。 私は、この世はそういう普通の人間が当たり前に暮らす世界だと思っています。誰かにその世界観を押し付けようとも思わないけれど、でも、小野寺氏の考える世界観と並べて「どっちもどっちだな」とか言われると困ってしまいます。私の考える世界観は別に私個人の特別な世界観じゃなく、細かい部分では人それぞれだとしても、多くの人々と共有できる世界観だと信じています。少なくとも「この世界は操り人形で満ちている」という世界とは真っ向から対立しているし、そっちの世界を選ぶ人は小野寺さんくらいじゃないか、と思っているんですけど…そうでもないんでしょうか? 小野寺氏のような陰謀論者は、たいてい世界を「操り人形の世界」だと見ています。そういう世界じゃないと、国際陰謀勢力や国家権力が行う大規模な陰謀は成立しないからです。でも自分だけは(自分の言説を信じる信者さん達だけは)その操り人形の世界から逃れて覚醒した、正義の人間たちです。「善と悪」「覚醒した我々と操り人形の愚民ども」そういう安易な二元論でしかこの世界を理解しないで、自分たちだけは特別だと思いたい。どうしてそうなのかは知りません。よっぽど現実世界でイヤなことがあって、自分だけが真相に気付いたヒーローとして活躍できる妄想世界に逃げているのかも知れません。そう考えると、少し気の毒な気もしますけどね…。 長々すみませんでした。では。
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