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日本の夏は明らかに暑くなっている。もはや猛暑というより酷暑だ。実は、こうなることを10年以上も前にスパコンは予測していた
夏の「酷暑」は年々悪化!スパコンが予測した恐ろしい未来
http://diamond.jp/articles/-/135886
2017.7.21 鈴木貴博:百年コンサルティング代表 ダイヤモンド・オンライン
「酷暑」がもたらす未来とは
10年以上前に予測されていた
今回は、猛暑ならぬ「酷暑」についての話をする。昔話から始めると、私が社会人になった1985年頃、クライアントに会うときは夏もウールのスーツにネクタイ姿が当たり前だった。2005年に始まったクールビズでは、お役所の掛け声は「ノーネクタイ・ノージャケット」になったが、それでも最初の数年はネクタイだけ外してスーツの上下で過ごすのが、私の周囲の大企業では通例だった。
そして今では、夏はポロシャツにチノパンで大企業を訪問してもそれほど不自然ではなくなった。そうなってみて改めて振り返ると、不思議なのは2005年まで「なぜ、スーツにネクタイで夏を過ごしていても平気だったのか?」ということである。
理由は単純である。明らかに今ほど暑くなかったのだ。暑い夏はヒートアイランド現象と地球温暖化がもたらしている。前者は20世紀後半から問題になっていたが、後者が効いてきたのはここ10年くらいのことだ。
実際、2005年頃には「地球シミュレータ」という、日本が世界に誇るスーパーコンピュータによる地球温暖化のシミュレーションが、頻繁にドキュメンタリー番組で放送された。それによれば、世界中で二酸化炭素をかなりの努力で削減したとしても、今後東京の夏が涼しくなることはないということだった。
2005年当時は、最高気温が30℃を超える真夏日は、東京では7月中旬から8月末までの時期に限られていた。それが21世紀を通じて見ると、夏は6月中旬から9月末までの100日間と年々長くなっていく。
また当時、東京の最高気温は、毎年8月に30℃から32℃の間というのが相場だった。これが2020年までには毎年35℃を超えるようになると、シミュレータでは予測されていた。
実際にその後どうなったかというと、2010年以降、最高気温が33℃を超える年が続いたのだが、2014年に気象庁が観測場所を移転して、データが不連続になった。そして不思議なことに、新しい観測場所では今年まで、東京の最高気温が32℃を超えることはなかった。
勘繰ると、節電政策を打ち出していた政権に対する何らかの忖度が働いたのかもしれない。しかし、ついに新しい観測場所でも、今年7月に最高気温が32℃を超えた。やはり、日本は確実に暑くなっているのだ。
まだ先の話ではあるが、2070年頃には40℃を超える年が出現し、東京にも災害規模の熱波が到来するようになると言われる。ちなみにその頃の東京では、1月に紅葉を迎えた後、冬がないまま春を迎える。そして、ゴールデンウィークから10月末まで1年の半分が夏になる。温暖化はそこまで行くと予想されているのだ。
恐ろしいシミュレーションに
現実が近づいてきてしまった
このようなシミュレーションの精度はかなり高い。にもかかわらず、最近、地球シミュレータが報道に登場することがあまりなくなってきたように思える。先ほど気象庁のデータについて「忖度」という言葉を使ったが、地球温暖化については、報道に関する何らかの自主規制が本当にあるのではないかと思えるフシがあるのだ。
理由は、シミュレーションに現実が追いついてきたからだと私は推測している。2005年当時は、温室効果ガスを減らすキャンペーンの一環としてシミュレーションを繰り返し、報道するのがブームだったが、その当時のシミュレーションでは、2020年以降の日本はかなり悲惨なことになることが予測されていた。その予測に現実が近づいているので、放送できなくなったのではというのが、私の勘繰りである。
当時シミュレータが予測していた2020年から2050年にかけての日本には、3つの災害がもたらされるとされていた。「巨大台風」「豪雨」そして「熱波」である。
東京、横浜、名古屋といった大都市は熱波に見舞われ、20世紀の台湾やフィリピンと気温がそれほど変わらなくなる。熱波と連動してゲリラ豪雨などの大雨も年々増加する。それに加えて、西日本を中心に大規模な台風被害が確実に増加すると予測されていた。台風の数が年々増えるだけでなく、これまで日本を襲ったことがない巨大台風も上陸することが予測されている。
熱波、巨大台風、豪雨が続発
これまでの常識は通用しない
振り返ってみると、当時の予測はここ数年の災害の発生状況と完全に一致している。先頃、九州と愛知を襲った集中豪雨の記憶はまだ新しい。昨年は8月に相次いで4つの台風が上陸し、猛威を振るったが、こんなことも従来はなかったことだ。
これらの災害も痛ましいが、実はそれ以上に熱波の犠牲者が増加していることはあまり知られていない。夏の熱波による熱中症死は1996年から2000年頃は毎年150人から200人程度だったが、近年は毎年1000人前後と急増中。死者の4分の3が65歳以上の高齢者で、発生場所で多いのが住居内である。
こうした「酷暑」問題の本質は、もう後戻りできないことと、年々悪い方に向かっていくだろうということだ。
そもそも、世界が地球温暖化対策にどれだけ力を入れたとしても、事態の悪化を食い止めることは難しいことがわかっている。そんな状況にもかかわらず、世界は京都議定書に続いてパリ協定も骨抜きにする方向へと動いている。
そんなご時世に我々個人が肝に銘じるべきことは、去年までの経験則で物事を判断しないことだ。「去年の夏はこれで過ごせた」「台風が来たけどいつも通り外出してもいいだろう」というように、去年まで大丈夫だったからといって、今後も同じ行動をとることは控えたほうがいい。
とにかく、この暑さは年々ひどくなり、これまでになかったリスクも起きることが予測されている。それが夏の「新しい常識」だということを理解することが、何よりも重要なのだ。
(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
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