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世界を震撼させた株価下落の「真犯人」は、やはりあの人だった 市場は「リーダー」の資質を疑っている
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54442
2018.02.13 町田 徹 経済ジャーナリスト 現代ビジネス
株安と混乱を生み出した「真犯人」は?
ニューヨーク・ダウ(30種工業株平均)が先週、週間ベースで下落率5.2%、金額にして1330ドル安と、2016年1月のチャイナショック(同6.8%、1078ドル安)以来の下げを記録、世界経済を震撼させた。
この間に、1日で1000ドルを超える下げが2度、日中の高低差が1000ドル以上という乱高下の日が4日もあった。直近の最高値(1月26日の26616.71ドル)からの下落率は一時10%を超え、「適温相場」と呼ばれたこのところの上げ相場は終わり、少なくとも数か月単位の時間を要する調整期間に入った、との見方が大勢を占めている。
世界的に見ても、世界同時株安の影響は計り知れない。欧州の金融危機、中国バブルの崩壊、そしてフィンテックの台頭と、金融は体力の消耗に悩まされてきたセクターだ。今回の急落によって資産内容が急速に悪化した金融機関は多く、それが市場の売り圧力を高める要因とみられている。実際に処分売りが出てくれば、残った株の下落を招く悪循環になると懸念する声もある。
マスメディアに登場する識者の多くは、依然として経済のファンダメンタルズは良く、企業業績も好調だとくり返している。が、細かく見ていけば、スマホの世界的な販売減速に伴い、電子部品などの製造業が業績の下方修正に乗り出すとの観測も浮上し始めている。変調の兆しがまったくないとは言い切れない状況になっているのだ。
これほど影響の大きなニューヨーク株安を引き起こした「悪役」は、いったい誰なのか。
先月の米雇用統計が金融引き締めの加速懸念を醸成したことが直接のきっかけと言われる。しかし、経済が巡航速度を回復してインフレ懸念が出てくれば、次に金融政策の正常化がやってくることは、誰もが早くから覚悟していたシナリオだ。それだけで、これほどの下げになったとは考えにくい。
つまり、ニューヨーク株急落を招いた真犯人として、織り込み済みのシナリオをショッキングな事態と受け取れる状況に変えた存在がいたはずである。では、その真犯人は誰なのか。それに加えて、株式市場で波乱の展開が続くのを傍観し、その混乱を収める救世主になり損なった人物がいる。本稿では、この二人の悪役について考えてみたい。
メディアや市場関係者はどう見たか
先週付の本コラム『アップルもアマゾンも過去最高益なのに「米株価急落」一体なぜ?』(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54372)では、ニューヨーク株急落の直接のきっかけを二つ挙げた。米金利の上昇ペースの加速懸念と、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンという米国のIT系プラットフォーマー(基盤提供者)4社の成長力鈍化懸念である。
論旨を拡散しないために前回は触れなかったが、米金利の上昇ペースの加速懸念が高まった直接のきっかけとされているのが、2月2日(米東部時間)発表の1月分「雇用統計」だ。民間の時給がおよそ8年半ぶりの高水準となったことから、物価の過熱やFRB(連邦準備理事会)の利上げの加速につながりかねないとの懸念が出て、下げ相場が始まったとされている。
年初からの急騰で高値警戒感があったことや、コンピューター自動取引を採用する証券会社や投資会社が増え、下げ幅が大きくなった際に一方的に売りを重ねたために、下げが加速した面もある。
この結果、「適温相場」と呼ばれた上げ相場が終焉したというのが大方の解説だ。適温相場とは、景気が回復軌道に乗る一方で金融緩和が続き、預貯金や債券から株式に資金シフトが起きやすく(相場が押し上げられ)、熱くも冷めてもいないという意味でつけられた名称だ。
筆者は市場の不安を煽る気は毛頭ない。これまでのところ問題は株式などの市場に限定されており、実態経済のファンダメンタルズは変わっていないという見方を支持している。
実際、世界経済の機関車になっている米経済は順調だし、日本企業の業績も上振れが相次いでいる。とはいえ、これほどの急落やたび重なる乱高下は、実体経済に影響しかねないので、注意深く見守る必要があるだろう。
「伏線」は昨年末に敷かれていた
さて、本題に入ろう。注目したいのは、前節で触れた米金利の上昇ペースの加速懸念が高まる直接のきっかけとされている「雇用統計」が、これほど深刻に受け止められた背景だ。
日本では細かいニュアンスがあまり報じられていないが、大手の米系証券会社幹部によると、米国市場では、この統計を受けて、それまで「今年3回、来年1回」と予測されていた利上げが、「やはり、今年だけで4回になりかねない。幅も大きくなるだろう」と動揺が広がったという。
ポイントは、この「やはり」という言葉だ。この言葉は、これまで常識だったはずの米金利上昇ペースの加速懸念がサプライズとして受け止められた裏には、「伏線」が存在していたことを意味している。
実はこの伏線は、昨年のクリスマス直前に敷かれていた。米議会上下両院が12月20日に可決し、トランプ米大統領がその2日後に署名して成立した巨額の減税法こそが、その伏線だ。この減税法は、減税規模が10年間で1.5兆ドルという破格のもので、レーガン政権時代の1986年以来、約30年ぶりの抜本的な税制改革とされている。
「大型公約」の大減税を実現したものの…… photo by gettyimages
今年1月から、連邦法人税率は35%から21%に14ポイントも引き下げられ、新税率は地方と合わせて約28%と、日本やドイツを下回る水準になった。米企業の米国内への回帰を促す効果や、海外企業を米国に誘致する効果が大きいとされる。
また、個人所得税は最高税率を39.6%から37%に引き下げる内容だ。トランプ政権が主張する「経済成長率を3%台に高める」というほどの効果があるかどうかは疑問だが、かなりの景気浮揚効果を持つことは間違いない。
実際、この減税法案の成立直前から同法案の成立を歓迎して、米企業は大盤ぶるまいを始めた。AT&Tとコムキャストの通信大手2社が全従業員に1000ドル(約10万8000円)のボーナス支給を約束したほか、ウェルズ・ファーゴなど二つの銀行が賃上げを発表している。
トランプ大統領の「大型公約」がアダに
問題は、当初、この減税による短期的な景気浮揚効果がマーケットに織り込まれていなかったことである。クリスマス・シーズンでウォール街関係者がほとんど休暇を取っていたことが原因だ。
そして、遅れて1月中下旬にバカンスから戻った関係者たちが、景気浮揚効果の大きさとそれに伴うインフレ懸念の台頭をしっかりと意識し始めた時期に、先述の雇用統計が発表され、それまでより衝撃の大きな金利急騰懸念が一気に広がったというのである。
もう一つ、トランプ減税が厄介なのは、減税の財源を景気浮揚に伴う税の自然増に求めており、本当に必要な財源を確保できる保証がないことだ。米議会も、財政赤字が今後10年でさらに1兆ドル以上も増えるとの試算を出している。つまり、今回の減税には、国債の増発とそれに伴う長期金利の上昇懸念がつきまとうわけだ。それが、雇用統計を受けての金利急騰懸念に拍車をかけた、もう一つのポイントだというのである。
もう、おわかりだろう。先週のニューヨーク株急落の真犯人は、今年秋の中間選挙に向けて支持層を広げるため、大統領選挙時の大型公約を初めて実現しようと躍起になった、トランプ大統領その人だったのだ。
早くもミソをつけたパウエル新議長
また、今回の株価急落・乱高下の局面では、就任直後に早くもミソをつけた人物として、FRBのジェローム・パウエル議長の名前が長く記憶されることになるかもしれない。前週末比で1175ドル安と1日として過去最大の下げを記録した2月5日に就任、マーケットが何らかのアクションを催促したにもかかわらず、これといった行動を起こさず急落と乱高下を傍観したからだ。
パウエル新議長の対応は、「マエストロ(巨匠)」と呼ばれ、18年以上もその座に君臨したアラン・グリーンスパン元議長と比較される結果になった。
グリーンスパン氏は就任から2か月あまりを経た1987年10月19日、ニューヨーク・ダウが1日で20%以上下げる「ブラックマンデー」に遭遇。翌朝、「流動性を供給する準備がある」という緊急声明を出して、ダウを反発させた実績を持つ。この対応は、ヘッジ手段の一つとして使われるオプション取引の「プット」(=あらかじめ決められた価格で、株や債券を売る権利のこと)にちなんで、「グリーンスパン・プット」と呼ばれた。
信任は得られるか、ジェローム・パウエルFRB新議長 photo by gettyimages
グリーンスパン氏がその後、再三のグリーンスパン・プットでアメリカ経済を支え続けたことから、今度は今年3、4回予定している利上げを見直せという意味も込めて、市場が「パウエル・プット」を催促したにもかかわらず、パウエル新議長は無視した格好となった。
市場はリーダーの資質を問うている
FRBに限らず、欧州でも中央銀行関係者の間では、金融引き締めに入る際に株式相場が多少下げるのは当たり前なので、動揺して腰が引けていると受け止められかねない行動を慎むべきだというムードが強い。
また、グリーンスパン・プットには、その後のITバブルを招いたとか、リーマンショックにつながるサブプライムローン・バブルを招いたといった批判もあり、議長が動きづらかったのも事実だろう。
だが、パウエル議長はエコノミストや市場関係の出身ではなく、弁護士出身のうえ、リーダーシップをとるよりも調整型の意思決定を好むことから、今回、迅速に対応できなかったとの見方も多い。
仮に、今月28日に予定されている議会証言まで、市場向けに有効なメッセージを発信することなく、その議会証言でも市場との対話に失敗すれば、FRB議長としての信認を得ることが難しくなるかもしれない。
いずれにせよ、今回のニューヨーク株相場の急落・乱高下は、直接的な経済の動向だけでなく、トランプ大統領とパウエルFRB新議長という、アメリカの政治・金融体制の根幹を担うリーダーたちの資質を問う面も併せ持っていることを理解しておく必要があるだろう。
世界を震撼させた株価下落の「真犯人」は、やはりあの人だった https://t.co/wqp5pE3grt
— 遠藤 翠 (@shakazen2011) 2018年2月12日
★NYダウの暴落した日がパウエル議長の就任日だったとは。同時にGAFAの利益減退が出る。代理人=グローバリストから国家へのこれみよがしの攻撃だね。つまり米国では西風が力押ししてる。夫々の色分けが明確だね。
景気浮揚効果の大きさとそれに伴うインフレ懸念の台頭をしっかりと意識し始めた時期に、先述の雇用統計が発表され、それまでより衝撃の大きな金利急騰懸念が一気に広がった。
— Danger X (@dangerXRPhodler) 2018年2月12日
世界を震撼させた株価下落の「真犯人」は、やはりあの人だった https://t.co/n93K5kWmBC #現代ビジネス
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