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大塚家具、自力再建困難の可能性…隠れた「負債」118億円と積み上がる在庫という爆弾
http://biz-journal.jp/2018/02/post_22257.html
2018.02.07 文=松崎隆司/経済ジャーナリスト Business Journal
資本・業務提携を発表する大塚家具の大塚久美子社長(右)とTKPの河野貴輝社長(左)(写真:東洋経済/アフロ)
家具業界大手の大塚家具が、昨年11月6日に貸会議室運営のティーケーピー(TKP)との資本・業務提携を発表した。
TKPは、ホテル宴会場や貸会議室運営ビジネスを起点に、有休不動産の空き空間を有効活用する空間再生流通事業を手掛けてきた企業。現在、国内外で総会議室数1820室、13万3067席の貸会議室・ホテル宴会場を展開し、飲料、ケータリング、宿泊、レンタルサービスなどの付帯業務を行っている。
このTKPが大塚家具の10億円分の株式を取得し、資本・業務提携を行った。そこには、大塚家具側にどのような狙いがあるのだろうか。
「昨年半ば、TKPが運営するホテルへ家具納品に向けた交渉をした際、TKPへの当社商品の供給や当社店舗の余剰面積部分をTKPがイベントスペースや貸会議室などに活用できないかといったことに双方の関心が生まれ、検討されるようになりました。
両グループが有する経営資源を有効に活用し、新たな事業機会の創出に取り組み既存ビジネスの連携強化を図ることが、両社の企業価値向上につながるものと判断したため、業務提携を行うことといたしました」(大塚家具広報担当者)
しかし、TKPの店舗に大塚家具の商品を置くことで大幅な収益拡大につながるかといえば、それはあまり考えられないし、そもそも大塚家具の高級家具とTKPの施設との親和性がそれほど高いとは考えられない。
「TKPは確かにホテルなどを経営していますが、同業他社より低い利益で高級家具をTKPへ販売するのであれば、大塚家具のメリットはあまりないでしょう」(東京商工リサーチ情報部)
だとすれば、両社の提携にはどのような意味があったのか。現在、大塚家具の経営は危機的状況に陥っている。昨年9月末の時点での現預金はすでに20億円まで減少し、これもいずれ底をつく。そのようななかでの10億円出資は“救いの神”だ。しかし、それだけではない。
大塚家具の業績悪化が表面化した2016年度の中間決算。同年8月5日に発表された売上高は前期比20%減少の241億円で、営業利益は20億円の赤字に転落、通期でもこのとき38億円(実際には46億円)の営業赤字転落が見込まれていた。
■店舗縮小で150人以上削減した大塚家具
そこで私は当時、大塚久美子社長にインタビューを申し込み、話を聞いた。久美子社長はこのとき、(1)新しいオペレーションに慣れるのに遅れたこと、(2)14年に経営体制が変わったときに独自集客しようとマンションデベロッパーとの提携での送客を一時凍結したこと、などを挙げて一過性の問題だと説明した。
こうしたなかで、久美子社長が経営改善のためにもっとも力を入れて取り組んでいたのが、店舗の縮小だった。店舗を縮小して賃貸料を抑え、売れ筋商品に集約化していくことで利益率を上げていくという戦略を主張し、実際に店舗の縮小に乗り出した。当時、私の取材に久美子社長は次のように語っていた。
「店舗政策を進めていくと家賃は下がっていきます。リストラをするというよりも、店舗再編の中で家賃比率が下がっていきます。私たちはこれから戦艦で戦っていくのか、駆逐艦で戦っていくのかといえば、戦艦より機動性のある駆逐艦で戦っていく。無駄なフロアーであるなら家賃を払う必要はないという考え方なのです」【※1】
そして、大阪南港、新宿、仙台、福岡などのショールームを減床、所沢ショールームやアウトレット&リユース横浜を閉店した。人員も、上期だけで全店で16年上期の1744人から17年上期の1593人と151人削減している。
「賃料を圧縮できそうなところは前もって手を打って圧縮した。これで普通にやっていたら赤字になるような店舗は解約して、先に膿を出したというわけです」(東京商工リサーチ情報部)
しかし、問題なのは解約不能な長期契約だ。店舗の長期賃貸は主にオペレーティング・リース取引というかたちで行われている。オペレーティング・リース取引は賃貸契約のひとつで、リース契約の間は賃貸料を支払い続けなければならない。大塚家具が抱える、オペレーティング・リース取引で解約不能なものにかかる未経過リース料は118億円だ。これは、バランスシートに出てきていない事実上の負債といえる。
この解約不能物件の有効活用にTKPがどこまで活躍するのか、その際の賃料をどこまで負担してくれるのか。これが、今後のひとつの見どころだろう。
「TKPは、空いているスペースをまた貸しするのが主な仕事です。大塚家具は銀座店では照明など大きなものを販売していますが、経営にとっては大きなお荷物になっているのではないかと思います。単価の高いものを処分して、そのスペースを活用することなどを考えているのではないでしょうか」(業界関係者)
TKPが直接銀座などで店舗を借りれば莫大な賃料がかかるため割に合わないが、大塚家具が安く提供してくれれば十分収益を上げることができる。10億円を支払っても、十分元がとれるというわけだ。事実、すでに新宿店の最上階フロアーをイベント会場として借りることが決まっているほか、仙台駅前のビルに入居する仙台ショールームの3〜8階のうち7〜8階を会議室として借り受けることになっているという。
■在庫負担の軽減と店舗の縮小という矛盾する課題
大塚家具にとっても、賃料の負担を軽減できればメリットがある。問題は、どちらがどれだけ負担するのか、その折り合いをつけられるかどうかだ。
「すでに、賃料などの引き当てとして事業構造改善引当金19億円を計上しています。TKPに貸した際の損失の一部を前倒しで引き当てているとも見て取れます」(同)
しかし、これらの対応は当面の家賃の問題をどうするのかということであり、抜本的な解決ではない。直近の決算短信では、商品の在庫は132億円(17年9月末)。店舗縮小のなかでこれをどうさばくのか、それを考えれば急速な店舗縮小はそう簡単なことではない。
山積する在庫負担の軽減と店舗の縮小による固定費の削減という、相矛盾する課題を抱える大塚家具。来期で業績を一気に改善できなければ、現経営陣での自力再建は難しくなるだろう。果たして打開策はあるのか。3月の株主総会が大きなヤマとなることだろう。
(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)
【※1】
「プレジデントオンライン(2016年9月27日付)」
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