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自動運転車元年 世界が懸念する社会に与える影響
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180119-00000049-sasahi-ind
AERA dot. 1/19(金) 16:36配信
デトロイトで1月に開催の北米国際自動車ショー (c)朝日新聞社
2018年、年初から世界各国では「自動運転車(AV:オートノマス・ビークル)」に関するディスカッションが猛烈な勢いで進んでいる。例えば、年明け早々の1月第2週にラスベガスで行われた「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」では、雑誌「Forbs」のアラン・オーンスマン記者によれば、参加者の間で一番多く話題に上っていたのは自動運転車であったという。オーンスマン記者は、今回のCESでは次のようなトレンドが見えて来たとして、まさに2018年は自動運転車の実用化元年になるとしている。
「自動運転車の基幹チップ開発では、インテルと Nvidia が激しい先陣争いを展開中」
「中国のバイドゥ(百度)が自動運転ソフトとAIの主要プレーヤーとして参戦して来た」
「自動運転に必要なレーザー・センサー供給について2018年は競争が激化しそうだ」
このように、テクノロジーにおける激しい競争が続く一方で、このCESでは自動運転時代への移行が社会に与える影響に関する2つのシンポジウムが行われている。
1つは「自動運転開発、その過去・現在・未来」という包括的なディスカッションで、GMやメルセデス・ベンツの幹部と、中古車販売、自動車保険などの業界代表が討議を行っている。その中では、「自動運転車は、配車サービス、デリバリーなどで先行実用化される」という見通しの中で、業界がどのように変化への対応を迫られるのかが話し合われた。
もう1つは、「運転者のいないクルマ、誰が責任を取るのか?」というディスカッションで、大手保険会社のAIGが法律学者を交えた討議を公開している。ここで議論されたのは、「自動運転車の普及によってリスクがシフトする」という問題だった。保険の機能が「ヒューマンエラーによるリスク」を補償するものから、「サーバーセキュリティ、AIデータのエラーによるリスク」を補償するものへと激変するというのである。同時にAIGは「自動運転時代への過渡期」、つまり「手動運転車と自動運転車が混在する時代」におけるリスク管理の問題も指摘していた。
更に1月中旬の、デトロイト・モーターショーでは、「auto MOBILI(D)、オート・モビリディ」(モビリティとデジタルのDを掛け合わせたネーミング)という別タイトルで、自動運転に関する大規模な展示とシンポジウムが行われていた。
同様のイベントは今年2018年の上半期には、世界各国で様々な形で開催されてゆく。例えば、2月26日からはシリコンバレーで「AV18」という大規模なコンベンションが行われる。サブタイトルは「モビリティの未来を研ぎ澄ませ」というもので、GM、フォード、トヨタ、フィアット、ヒュンダイといった自動車メーカーと、ウーバー、リフトといったAV先行企業が参加して、自動運転に関する克服すべき課題が様々な角度から話し合われる予定だ。
CESでは百度や Nvidia などのプレーヤーが注目されたが、このAV18では、他のプレーヤーたちも猛烈なアピールを繰り広げることが予想される。その中で、業界のトップランナーであるウーバーで「自動運転」と「空飛ぶタクシー」の開発責任者を務めるジャスティン・エーリック氏の基調講演(2月27日)に注目が集まっている。エーリック氏の講演は、
「個別の操縦テクノロジーを統合してゆく際の課題」
「カー・シェアリング普及による業界へのインパクト」
「自動運転時代における業界再編と利益配分のモデル」
といった内容となる模様だ。同じような大規模イベントは、4月19日からは上海で、6月5日からはドイツで、順に行われて行く。
その一方で、今月末の1月30日からシンガポールで行われる“Autonomous Vehicles ASIA 2018(アジア自動運転車シンポジウム)”というのは、同様のコンベンションではあるが、やや異色の内容となっている。
世界のIT企業と、自動車関連産業からの参加があるのは他のイベントと共通している。ウーバーからは法務部門の責任者が来て、自動運転に関する「安全基準の世界標準をめざして」という内容での講演があるし、自動車産業ということではインドのタタ・モーター、ボルボ、スカニアなどが幹部を派遣してくる。
特にタタは、アジアの主要なメーカーとしてだけでなく、傘下のジャグワーとランドローバーを使って、英国国内で自動運転技術のテストを大規模に進めており、その進捗(しんちょく)に関する発表が期待される。また、インド市場では舗装、信号機、歩道整備といったインフラ整備を「自動運転を前提に」進めることで自動車先進国とは異なったアプローチを計画しているが、その話題も気になるところだ。
更に、このシンガポールでのイベントの特徴は、各国の交通行政に関わる閣僚級が参加して、自動運転車に関わる各国の立場を表明するということだ。キー・ノート・スピーカーとしては、ハンガリーのラゾロ・パルコヴィクス内相が「自動運転の未来におけるハンガリーの役割」について講演する。また、地元であるシンガポール政府からは、クリス・レック運輸相が登壇し、「シンガポールにおける自動運転のロードマップ」と「公的交通機関と自動運転車のインテグレーション」について発表する予定だ。
閣僚級ということでは、台湾、マレーシア、インドネシアからの参加もあり、業界ということでは、オーストラリア、タイなどからの参加もある。それぞれに「自動運転車」という交通革命を、自国の「チャンス」とすべく戦略的な動きをしている様子が報告されると思われる。
例えば、マレーシアからは「商用車の自動運転化」について、タイからは「スマートシティ構想と自動運転」、オーストラリアからは「シドニー市における自動運転実験の成果報告」などが発表される。
こうした講演の他に、テーマ別のシンポジウムも行われる。その内容だが、
「自動運転時代に必要な社会制度改正のロードマップ」
「自動運転に関わるAIデータのセキュリティ」
「自動運転の最新技術」
「自動運転が社会的に受容される道筋作り」
「公道への自動運転車受け入れインフラに関する討議」
といった具体的なもので、これからの自動運転時代を切り開くための社会改革について、当事者である関連企業と、会計事務所、保険会社、各国の監督官庁などが知恵を集める場になるのだろう。
自動運転(AV)に関しては、技術的にはウーバーやグーグル(ウェイモ)などの米系が先行している。またAIやサーバーセキュリティ技術に関しても、米国の優位性は明らかだ。
だが、現状を見回してみると、自動運転車の技術はほぼブレイクスルーに近づいている中で、現在は、社会全体として制度設計や、インフラ対応などを討議する段階に来ているのは間違いない。
そんな中で、シンガポールやハンガリー、台湾などは「国策としての自動運転への取り組み」を開始している。自分たちの国をモデルケースとして、交通法制、安全基準、事故等への責任や保証の枠組み、そして自動運転による社会的・経済的な発展チャンスの追求をしようというのだ。自動運転の実用化という革命を「社会改革」の契機として、そして国の発展の契機として戦略的に捉えているとも言えるだろう。
今回のシンガポールのイベントは、その意味でシリコンバレーなどの巨大イベントとは、一味違うものになりそうだ。(北米在住のジャーナリスト・作家/冷泉彰彦)
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