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フジテレビ、ついにテレ東に抜かれ最下位転落…CMが入らず最終局面へ
http://biz-journal.jp/2018/01/post_21949.html
2018.01.11 文=編集部 Business Journal
フジテレビ本社ビル(「wikipedia」より)
2017年上半期の平均視聴率(4月3日〜10月1日、週ベース)は、日本テレビホールディングス(HD)傘下の日本テレビ放送網が全日(6時〜24時)、ゴールデンタイム(19時〜22時)、プライムタイム(19時〜23時)ともトップだった。「視聴率三冠王」で、日本テレビの独り勝ちだ。
各社がもっとも力を入れるゴールデンタイムの平均視聴率は、日本テレビが12.2%で首位、2位は日本放送協会(NHK)の10.2%、3位が東京放送ホールディングス(TBS)の9.6%、4位はテレビ朝日ホールディングス(テレビ朝日)の9.1%。5位はフジ・メディア・ホールディングス(フジテレビ)の7.7%、最下位はテレビ東京ホールディングス(テレビ東京)の6.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
民放キー局の17年4〜9月期連結決算に基づき、地上波テレビ単体の業績を比較してみよう。
ここでも、日本テレビがトップを走る。売上高は日本テレビ(1533億円)、フジテレビ(1272億円)、テレビ朝日(1183億円)、TBS(1075億円)、テレビ東京(541億円)の順。営業利益は日本テレビ(171億円)、テレビ朝日(35億円)、テレビ東京(32億円)、東京放送(29億円)と続くが、フジテレビだけが8億円の営業赤字となった。
テレビ業界は視聴率の低迷から抜け出せず、広告収入が目減りしている。視聴率でトップを走る日本テレビHDと営業赤字のフジ・メディアHDは、どこがどう違うのか。
■日本テレビの業績を下支えする放送外事業収入
日本テレビHDの17年4〜9月期の売上高は前年同期比1.8%増の2072億円、営業利益は9.4%減の202億円、純利益は42.1%減の104億円と、増収減益だった。
日本テレビ放送網は放送外収入の増加、人気映画・ドラマ・アニメが見放題のHuluの会費収入増、前期末にアンパンマンこどもミュージアムを運営するACMを連結子会社化したことなどによって増収となった。
営業利益はHuluのコンテンツ原価増、フィットネスクラブ「ティップネス」の新規出店関係費用増などにより減益。日本テレビグループのシステム開発や保守管理を行う連結子会社、日テレITプロデュースが、この期に稼働し始めた日本テレビネットワークの減損損失を計上したため、最終的に大幅減益となった。日テレITは49億円の損失を出していた。
中核子会社の日本テレビ放送網の売上高は1.1%増の1533億円、営業利益は1.6%減の171億円、純利益は7.5%減の133億円と、増収減益だった。
放送収入は1231億円で横ばい。番組販売収入が3.5%増の57億円、事業収入が6.8%増の233億円、不動産賃貸収入は4.1%減の10億円。放送収入が頭打ちのため、放送外の収入で稼いでいるのが実態だ。
有料放送、ライツ(コンテンツの販売)、通販、映画、イベント、海外ビジネスなどの事業収支は53億円。前期より18.5%増えた。放送(=広告)収入の伸び悩みを多角化事業が下支えしている。
日本テレビHDの18年3月期連結決算の売上高は前期比2.0%増の4250億円、営業利益は8.6%減の480億円、純利益は24.0%減の310億円の見通し。冬季オリンピックに向けた大型番組の制作で費用が膨らむためだ。
日本テレビは1月2日、17年の年間視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)が、全日(午前6時〜24時)、プライム(19時〜23時)、ゴールデン(19時〜22時)の各時間帯で首位になり、4年連続で「3冠」を達成したと発表した。発表によると全日8.2%、プライム12.0%、ゴールデン12.4%だった。
■視聴率低迷に歯止めがかからず
一方、フジ・メディアHDの連結決算の売上高は前年同期比4.8%減の3118億円、営業利益は12.3%減の116億円、純利益は8.8%減の116億円だった。主力子会社フジテレビの不振で減収減益となった。
フジテレビ不振の最大の原因は視聴率の低迷にある。凋落は11年頃から始まった。ドラマやバラエティの視聴率が低下した。そこで13年、『踊る大捜査線』など数々のヒット作を生み出したプロデューサーの亀山千広氏が社長に抜擢された。
しかし、大エースも低視聴率を食い止めることができなかった。亀山氏は14年に昼の長寿番組『森田一義アワー 笑っていいとも!』を打ち切るなど、番組を大幅に改編。昼のバラエティ番組『バイキング』や情報番組『直撃LIVEグッディ!』の視聴率はやや改善したが、肝心のドラマなどの視聴率の落ち込みが続いた。
15年からはテレビ東京が背後に迫っている。テレビ単体の営業利益では、すでに最下位。7〜9月期には、とうとう営業赤字に転落した。
17年6月、BSフジの社長だった嘉納修治氏がフジ・メディアHDとフジテレビの社長に就任した。まずドラマの視聴率の回復を目指すことになる。
秋ドラマ(17年10月1週〜12月2週)の平均視聴率ランキングによると、1位はテレビ朝日の『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』の20.2%。フジテレビは『民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜』が7.0%で9位にとどまった。視聴率の回復作戦は、現時点では不発に終わっている。
フジ・メディアHDの18年3月期連結決算の売上高は前期比1.4%減の6446億円、営業利益は5.3%増の235億円、純利益は22.3%減の213億円の見通し。主力の放送事業は視聴率が落ち込み、CM収入が減る。都市開発事業のホテル運営は好調だが、それでも補えず減収だ。番組制作費の抑制を進めたことから、営業利益は増える。前期に発生した仙台放送の連結子会社化に伴う負ののれんがなくなり、最終減益になる。18年も苦境が続くのは間違いない。
テレビは広告費全体の3割を占めて安定しているが、インターネット広告のような成長性は期待できない。総務省は情報通信審議会に地上放送のインターネット同時配信を諮問し、18年6月をめどに最終答申を予定している。
地上放送の新たなビジネスチャンスと期待される定額制動画配信は、米Huluからライブスポーツの英DAZNまで選択肢が増えた。日本テレビは14年にHuluの日本事業を買収した。地上波局は、どこでも新規事業に活路を見いだそうとしている。
株式市場の評価はどうだろうか。株式時価総額(12月14日終値時点)は、1位が日本テレビHDの5345億円、2位が東京放送HDの5284億円、3位がフジ・メディアHDの4080億円、4位がテレビ朝日HDの2513億円、5位がテレビ東京HDの706億円の順だ。
年末(12月28日時点)には、株価総額でTBSが日本テレビを逆転した。株価は半年先を予見しているというから、18年はTBSが日本テレビを追い上げるかもしれない。1位が東京放送HDの5358億円、2位が日本テレビHDの5097億円、3位はフジ・メディアHDの4189億円。テレビ朝日HD 2459億円、テレビ東京HDの702億円と続く。テレ東はスカパーJSATHD(1778億円)、WOWOW(957億円)より下である。
(文=編集部)
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