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ボロボロになった三越伊勢丹…自社ブランド過信の代償、ひたすらリストラで不動産会社化
http://biz-journal.jp/2018/01/post_21880.html
2018.01.08 文=編集部 Business Journal
日本橋三越本店(撮影=編集部)
5月11日の東京株式市場で、三越伊勢丹ホールディングス(HD)が、百貨店業界の株式時価総額首位の座を、初めてJ.フロントリテイリングに明け渡した。終値ベースでの時価総額は三越伊勢丹HDが4189億円、J.フロントは4362億円。
三越伊勢丹HDは2008年4月に三越と伊勢丹の経営を統合して以来、時価総額で業界首位を守ってきたが、J.フロントに逆転された。J.フロントは巨大高級商業施設「GINZA SIX」の開業で高い評価を受け、一方の三越伊勢丹は社長解任の“お家騒動”に揺れていた。
だが、その後、再逆転した。12月12日の終値ベースの時価総額は、三越伊勢丹HDが5428億円、J.フロントは5313億円。それでも、小売業ランキングでは三越伊勢丹が13位、J.フロントが14位で、いずれもベスト10にも入らない。かつて小売業の花形だった百貨店の凋落ぶりを映し出している。
■脱百貨店のビジネスモデル、高級商業施設GINZA SIX
4月20日、銀座中央通りに面する銀座6丁目にGINZA SIXがオープンした。J.フロントの中核企業である松坂屋銀座店の跡地を中心に開発。総事業費は830億円で、森ビル、LVMHグループ、住友商事と組んだ。
J.フロントは07年9月、大丸と松坂屋ホールディングスが経営統合して発足。山本良一社長は早くから、百貨店に依存しない事業モデルを構築してきた。GINZA SIXは、百貨店という旧来のビジネスモデルからの脱皮を体現したものだった。
J.フロントが進める脱百貨店施策は、もうひとつある。18年2月期決算から国際財務報告基準(IFRS)に移行することだ。IFRSに移ると売上高が劇的に変わる。日本会計基準では、顧客への販売金額がそのまま売上高として計上されるが、IFRSでは販売金額から仕入れ値を差し引いた販売マージンだけしか売上高に計上できない。そのため売上高は大きく目減りする。
J.フロントの18年2月期の連結決算の見通しは、売上高に当たる売上収益は4720億円。IFRSで概算した17年2月期比で4.3%増。営業利益は同17.4%増の490億円、純利益は同5.4%増の285億円になる。
日本基準での総売上高は0.7%増1兆1420億円の見通し。このように劇的に売上高が目減りするため、日本会計基準を採用する三越伊勢丹HDや高島屋との比較が今後、難しくなる。
J.フロントの18年2月期の百貨店事業の売上収益は前期比1.7%増の2729億円、営業利益は17.2%増の260億円を見込む。インバウンドや富裕層の購買が好調な都心店が牽引し、増収増益となる。全社の営業利益の53%を占める。
さらに、今年度から本格的に不動産事業が収益に貢献する。GINZA SIXのほか、11月には上野フロンティアタワー(東京・台東)が開業した。同施設はテナント収入を主体としており、営業収益は129億円、営業利益は20億円と、初年度から業績に寄与する。来年度は2つの施設で営業利益を18億円上積みする計画だ。
J.フロントにとって17年は、脱百貨店戦略が成果を上げた“明るい年”だった。
■伊勢丹新宿本店のブランドが強すぎた?
三越伊勢丹HDは今年、電撃的な社長解任があった。大西洋社長が3月31日付で社長を退き、杉江俊彦専務が社長に昇格した。背景には百貨店事業の低迷があった。
杉江氏は11月7日、21年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。数値目標として営業利益350億円を掲げた。大西前社長が「営業利益500億円」としていた中期目標から大きく後退した。
まず、不採算事業から撤退する。中小型店舗のエムアイプラザを5店舗閉鎖。高級スーパー「クイーンズ伊勢丹」をファンドに売却。婦人服の子会社、マミーナも売った。さらに退職金を最大5000万円上乗せすることで早期退職を促す。
一方で成長戦略は見えてこない。インターネットを通じて商品情報を発信。「伊勢丹新宿本店の商品を地方客にネット通販で買っていただく」(杉江氏)ことを目指す。かつて伊勢丹新宿本店で好調だった高価格の商品を地方の店舗でそのまま販売したところ、客層の違いからさっぱり売れなかった。ネット通販でも、簡単に売れるとは考えにくい。
伊勢丹のなじみの客は、その華やかな店舗で買い物をすることに喜びを感じている。そういった客が、伊勢丹で安い商品を買おうとは思わないのではないか。そのため、ネット通販への進出は高い授業料を払うことになると危惧する向きが少なくない。
三越伊勢丹HDの18年3月期の連結決算の業績予想は、売上高が前期比0.9%増の1兆2650億円、営業利益は24.8%減の180億円、純利益は33.2%減の100億円の見通し。主力の百貨店事業は落ち込みが続く。売上高は前期比1.2%減の1兆1370億円、営業利益は18.9%減の90億円としている。低迷から抜け出せていない。
そこで、不動産事業に力を入れる。テナントからの家賃収入が中心で18年3月期の売上高は460億円、営業利益は90億円を予定している。百貨店事業の営業利益と同じ水準だ。
18年4月、東京・国分寺市に専門店50店を誘致した新たな商業施設を開業する。また、東京・銀座で三井不動産レジデンシャルが開発中のハイグレードマンションを18年3月に取得する。
21年3月期の営業利益目標は18年3月期見通しのほぼ2倍となる350億円とした。不採算店舗の閉鎖と不動産事業の強化で、この数字を実現できるとみている。
三越伊勢丹HDの18年3月期の営業利益の見通しは180億円。J.フロントの490億円、高島屋の360億円と大差がつく。かつての百貨店王者・三越伊勢丹HDは収益力でひとり負けの状態だ。
三越伊勢丹HDの旗艦店は、伊勢丹新宿本店だ。年間2685億円を売り上げる、日本一の小売店舗。とはいっても、伊勢丹のブランド力があまりに強すぎたため、いまだに勝ち組の意識が消えない。ブランド力に甘えてしまったことが三越伊勢丹HDの根本的な敗因、と分析する外資系証券会社の小売り担当のアナリストもいる。
三越伊勢丹HDにとって17年は惨憺たる年となった。
(文=編集部)
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