《以下一部投稿者による書き起こし》
前回の動画で、私は消費税についてお話しました。 その中で税収が足りないことを消費税増税の言い訳にするのは間違いだと言いました。 何故なら、税金で政府の借金を返すと言う選択肢は、もうあり得ないからです。 そして、政府の借金イコールお金の発行であるとも言いました。 今日はその意味を理解していただくために、お金の発行の仕組みについて説明します。 これは実は、全ての人が知るべき、非常に重要な事実なんです。 何故なら、この仕組みに影響されない人など、おそらく一人もいないからです。 ですから、もしこの動画が、あなたの目からウロコを落とすような事があれば、是非これをシェアして、他の人の目からも、ウロコを落としてあげてください。 よろしくお願いします。
お金の発行の仕組みについてです。 皆さんはお金がどうやって発行されているかご存知ですか? 誰が発行しているんでしょう? 政府ですか? 日銀ですか? どちらも違います。 確かに、この一万円札を見ると、ここに日本銀行券、そして下のところに、日本銀行、と書いてあります。 ですから、お金は日銀が発行しているように見えますが、実際には違います。 これを説明するにあたり、ここで簡単なクイズを出しましょう。 この紙幣、日本中から全部かき集めると、一体いくらになるでしょう? もちろん硬貨もありますが、たいした金額ではないので、それを無視するとして、この紙幣だけの総額です。
前回の動画で、皆さんの現金預貯金を全部足すと、約830兆円だと説明しました。 これを金融用語でマネーストック、M2と言います。 これは郵便貯金を除いた数字で、それも入れると、約1100兆円。 これをマネーストック、M3と言います。 では、紙幣の総額はいくらでしょう? 1100兆円でしょうか? それとも、予備も含めてもっと多いか? または少ないか? 答は、約80兆円です。 ちょっと待て。 全然、足りないじゃないかと思ったかもしれません。 1/10もありませんから。 でも、慌てて銀行に引き出しに行ったりしないでくだい。 本当に皆さんが、たった一割の人が引き出しに行っただけで、このシステムは破綻しますから。 本当にそうなんです。 でもそうならずにすんでいるのは、普段はみんなそんなに引き出さないからです。 皆さんも自分の財布の中身を考えてみればわかります。 全預金の10%以上、現金で持ち歩いている人がどれだけいるでしょう? ほとんどいませんよね? だから問題ないんです。
皆さんの預金はちゃんと電子情報として記録されています。 つまり、皆さんのお金というのはほとんど、電子情報なんです。 その合計が1100兆円ということです。 これが現代のお金の正体です。 では紙幣は何のためにあるかというと、それはその電子情報の入れ物なんです。 電子情報は記憶媒体がなければ、現実世界に持ち出せません。 紙幣はそのためのものなんです。
ATMに行って一万円を引き出す時には、一万円という情報を、この一万円札という入れ物に入れて、運び出すということです。 皆さんはこんなUSBメモリーを使ったことはありますか? パソコンの電子情報をこれに入れて持ち出しますよね? 紙幣はこれと同じです。 世の中に必要なUSBメモリーの数は、皆さんが便利に使えるだけあればいいわけですよね? 世の中にある全ての電子情報をこれに入れる必要はありません。 ですから、これを作りすぎても余るだけです。 紙幣も同じです。 1100兆円分刷っても、皆さんがそんなに引き出さなければ、銀行の金庫に眠るだけです。 金庫に眠るだけなら、紙幣である必要はありません。 むしろ、紙とスペースの無駄です。 だから、80兆円で十分なんです。 もし、足りなければ、100兆円でも200兆円でも刷ればいいだけの話で大した問題ではありません。
何故なら、紙幣の発行というのはあくまでも、利便性の問題であって、お金の発行ではないからです。 その証拠に、(一万円札の)ここを見てください。 この下の所、ここに小さく、国立印刷局製造と書いてあります。 国立印刷局というのは、財務省から独立した独立行政法人です。 紙幣は毎年そこで財務省の計画に沿って、必要なだけ刷られています。 日銀が刷っているわけではないんです。 財務省です。
必要なだけというのは、もしお金の全体量が増えれば、これは勿論、80兆円分の紙幣ではなく、1100兆円分の電子情報の方ですが、それが増えれば、当然、引き出す金額も増えますから、それに応じて増やす分と、古くなったり、破損したりしたものを交換する分ということです。 このことからも、紙幣の発行が、お金の発行ではないということが分かると思います。
では、お金の発行とは一体何なのか? それは、1100兆円ある、電子情報の方を増やすことです。 じゃ、それを日銀がやるんだろうと思うかもしれませんが、そうではありません。 この電子情報の中身は単に、誰が?どの銀行に?いくら持っているか?という情報に過ぎません。 そんなものをどうやって日銀が増やすんでしょう? そんなことは不可能です。 ですから、日銀じゃないんです。 では、誰が?どうやって?それを増やすんでしょう?
それは実は、民間銀行なんです。 民間銀行が信用創造という仕組みによってそれを増やします。 つまり、今の仕組みで、お金を発行しているのは、民間銀行なんです。 この話を初めて聞く方は、不思議に思うかもしれません。 信用創造って何だ? お金の発行は日銀の仕事じゃないのか? 日銀の仕事については、次回の動画で説明します。 ここではまず、信用創造の仕組み、それによって民間銀行がいかにお金を発行するか?、そのメカニズムについて、なるべく分かり易く説明します。
今の銀行システムというのは、準備預金制度で成り立っています。 準備預金制度というのは、銀行が預かった預金の一定割合を日銀に預けるシステムのことです。 その割合は法律で決められていて、これを法定準備率と言います。 目的は銀行システムの安定です。 仮に一つの銀行が経営破綻しても、集められた準備金で払い戻せば、それが連鎖することを防ぐことができます。 いわば保険のようなものです。 でも、重要なのは、実はここからです。
一定割合を日銀に預けなければならないということは、残りは、誰かに貸してもいい、ということです。 仮に法定準備率を1%としましょう。 つまり、100万円の預金を預かったら、その銀行は1万円を日銀に預けなければなりません。 でも、残り99万円は誰かに貸してもいい、ということです。 仮にそうしたとしましょう。
(8:30ぐらいから)
A銀行が顧客Bから100万円の預金を預かります。 A銀行はこのうち、1万円を日銀に預け、残りの99万円を顧客Cに貸したとします。 通常銀行がお金を貸すときには、現金で渡すわけではなく、自行内に口座をもたせ、そこに融資金を振り込みます。 つまり、貸すと行っても実際は、自行内にある顧客Cの口座に99万円と書き込むだけです。 すると、いつの間にか、A銀行の預金は、最初の顧客Bの100万円に加え、顧客Cの99万円も預かることになり、合計、199万円に増えました。 A銀行は新たに増えた99万円の1%、9900円を日銀に預け、残りの98万100円を新たな客に貸すことができます。 これを延々と繰り返すと、最終的には100万円の預金から、100万円➗0,01で、一億円の預金を作り出すことができます。
勿論、実際には、借りたお金を使うのが当たり前なので、最初の99万円の融資金がA銀行内に預金として留まることはあまりありません。 でもそれが使われたとしても、それがどこか他の銀行の誰かの預金になれば、その銀行もやはり、その1%を日銀に預け、残りを誰かに貸すことができます。 したがって銀行システム全体で見れば、貸したお金が誰かの預金になる限りは、このプロセスを繰り返し、結局元の預金の百倍のお金を作り出すことができるというわけです。
これが、信用創造です。 つまり、民間銀行が融資先に信用を与えることにより、何もないところからお金を作り出す仕組みのことです。 もしかしたら、皆さんは、キツネにつままれたような気分かもしれません。 何なんだ、その手品のようなシステムは?! でもこれが、今のお金の発行の仕組みなんです。
これが正当化される思想的な背景については、また別の動画で詳しく説明しますが、ここでもう一つ重要なことは、世界中のお金がほとんど同じ仕組みで発行されているということです。
よく、お金には裏付けがなければいけないと言いますが、そもそも、現代のお金にはそんなものはないんです。 あるのは信用だけです。 貸したお金は、返してくれるだろうという信用だけが、このシステムを支えています。 でも、実はもう、それもほとんど破綻しかけているんです。 これについてもいずれまた、もっと詳しく説明しますが一言で言うと、こんな仕組みが持続可能であるはずがないということです。
皆さんは気づいたでしょうか? 信用創造で発行されるお金の本質に。 それは全てのお金が、誰かの借金だということです。 逆に言えば、誰かが借金をしないと、お金は発行されないということです。 ですから、皆さんの手元にある現金預貯金は全て誰かの借金です。 それが回りまわって皆さんのところに行ってるだけです。
ですからもし、それが全て返されてしまうようなことがあれば、皆さんのお金も消えます。 でも考えてみてください。 全てのお金が誰かの借金であるということは、その全てに金利がかかります。 それも含めて全て返すには、お金が消えるどころか、少なくともその金利分が増えなければ、お金が足りなくなりますよね。
つまり、この信用システムを維持する条件というのは、こういうことです。 この世にある無数の借金がほぼ全て、金利も含めてきちんと返されると同時に、返される以上の新たな借金が生まれ続け、全体で見れば、常に借金が増え続けなければならないということです。
つまり、お金と借金が永遠に増え続けなければ、この信用システムは破綻するんです。 何故なら、お金=誰かの借金だからです。 こんなことが持続可能なのでしょうか?
我々の政府の借金が増え続け、財政が破綻しかけているのは、そしてほぼ世界中の政府の財政が破綻しかけているのは、このお金の発行の仕組みに原因があります。 政府の無駄遣いや税収不足ではないのです。 いずれにしてもこれは、時間の問題なんですから。 永遠に無限に増え続ける借金なんて、それが民間であろうが政府であろうがあり得ないんです。 銀行が民間になかなかお金を貸さなくなれば、最後に残るのは政府しかありません。 政府だけは、お金を借り続けることができます。 だから、一番最後にそのツケが回るんです。
要するにこれは、持続不可能なお金の発行の仕組みの末期症状なんです。 小さな議論に惑わされてはいけません。 お金の発行の仕組みそのものを変えない限りは、政府の借金は絶対になくならないんです。 これは、世界共通です。