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生鮮食品戦争勃発!「アマゾンvs.イオン」勝つのはこっちだ ついに黒船が本気を出してきた
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53942
2017.12.26 週刊現代 :現代ビジネス
もはや通販サイトで一強となりつつあるアマゾン。ジャンルを問わず次々とサービスを打ち出す「黒船」が目を付けたのは生鮮販売。彼らの参入が、日本の小売りと流通を大きく揺るがすことになる。
4時間で生モノが家に届く
「なぜアマゾンは日本でもここまでのシェアを拡大できたのか。理由のひとつは、圧倒的な商品点数を持っているところです。
'17年4月に日本でサービスを開始した生鮮食品宅配サービス『アマゾンフレッシュ』のアイテム数は、開始当初でおよそ10万点。国内の小売業者も商品の宅配を開始していますが、イトーヨーカドーでも通販での取り扱いアイテム数は3万点程度。
現状、EC(電子商取引)でアマゾンに比肩する小売チェーンはないといっていいでしょう」(流通コンサルタントでイー・ロジットCEOの角井亮一氏)
もはや一介の外資系インターネットショッピングサイトとみなす人はいなくなった。
有料会員であれば約3万本の動画が見放題になる配信サービス「アマゾンプライムビデオ」は会員数推計300万人を集め、定期的なセールと品ぞろえがウリの「アマゾンファッション」はアパレル通販で世界1位のシェアを誇る。
加えて、人間の声に反応してチャンネルや音量の切り替えを行うIoTスピーカー「アマゾンエコー」の開発まで、ありとあらゆる事業がいまアマゾンの手中に収まろうとしている。
だが'18年、アマゾンは「実物を目利きして買うもの」なはずの生鮮食品の販売を拡大し、日本の小売・流通業界をいままで以上の速度で変化させていく。
「アマゾンのもうひとつの強みは、単なる小売りでもECでもなく、物流のロジスティクスを握っているところです。
自前の倉庫を持ちながら、既存の業者と契約して販売を代行したり、いま問題になっている宅配業者の人手不足を解消するべく、独自の配送システムを開発することも視野に入れている」(前出・角井氏)
アマゾンフレッシュは有料会員が利用できるサービス。ネットで食材を購入すれば、最短4時間程度で家まで配送してくれる。
いまは試験的な展開のため対応地域は狭く、山手線の内側でも非対応の地域が多い。これが'18年、23区全域への拡大を含め、より生鮮食品関連の対応エリアが増えていくことになるだろう。
エリア拡大への独自の実験は、アマゾンの本国であるアメリカですでに行われている。
シアトルのバラード地区では、実店舗「アマゾンフレッシュピックアップ」が営業を開始した。食品配送の拠点として利用されるうえに、ネットであらかじめ注文をしておけばドライブスルー形式で食品を受け取ることができる。
鈴木敏文の予言
'16年、アマゾンジャパンの売り上げは約1.1兆円。前年度から1700億円以上売り上げを伸ばしている。'00年11月の日本参入以来、実に毎年12〜20%というペースで売り上げを増やしてきたのは、驚異というほかない。
たとえば'16年、イトーヨーカドー単体の売上高は約1.3兆円だった。まだ2000億円程度アマゾンを上回っているものの、地方にあるイトーヨーカドーの閉鎖が相次いでいることを考えると、'18年にはヨーカ堂はアマゾンに追い抜かれるだろう。
'16年の売上高は8.2兆円、'20年までに売上高10兆円を目指すイオングループも、アマゾンの有するアイテム数と流通力には劣ることを考えれば油断ならない。
では、生鮮食品に乗り出したアマゾンにはどれほどの勝算があるのか。
立教大学ビジネススクール教授の田中道昭氏はアマゾンの戦略について次のように語る。
「日本ではすでにイオンやセブン&アイ・ホールディングス、地域生協もネットスーパーを運営していますし、コンビニやドラッグストアまで含めれば徒歩圏内にたくさんの実店舗があります。
ですから、アマゾンフレッシュが現在の販売規模で短期の黒字化を目指すのは難しいでしょう。
一方、彼らが狙っているのは生鮮食品から宇宙旅行まで、ありとあらゆるモノやサービスを販売する『エヴリシングストア』になること。
生鮮食品は有料会員を増やすうえで攻略したいカテゴリーで、サービスの多様性の価値を顧客に感じてもらい、ブランド力を上げることが真の目的です。日本のメガチェーンもECを進めていますが、ブランディングにおいてはアマゾンのほうが一枚上手といえます」
日本の小売業界には、海外と比較しても独特の市場戦略がある。ただ、これはスーパーマーケットが「共倒れ」になる危険性もはらんでいるのだ。
「コンビニではその場でドリップするコーヒーやホットスナックが売られ、ドラッグストアでは赤字覚悟の格安価格で食品を販売している。
大手小売企業はまだしも、中小のスーパー経営者は、コンビニやドラッグストアとの目先の戦いに注力するあまり、ECのニーズが拡大していることに気づかないのです」(法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授の並木雄二氏)
'17年11月からセブン&アイは、アスクルと提携して生鮮食品通販サイト「IYフレッシュ」をスタートさせた。出遅れた感は否めないが、なんとか市場に食らいついていくための苦心の一手なのだろう。
元アマゾンジャパン社員で株式会社鶴代表の林部健二氏はこう語る。
「セブン&アイの鈴木敏文元会長は、実店舗とインターネットショッピングが連携して顧客のあらゆるニーズに応えるオムニチャネル戦略を進めていました。
業界には『成功しない』と冷ややかな目を向ける人たちもいましたが、いまでは当たり前の考え方になってきました。
かつて鈴木元会長のビジネスプランを笑っていたスーパーの経営者たちは、痛い目を見ることになるかもしれません」
現在、アマゾンフレッシュを多く利用しているのは千代田区などの都心部に住む富裕層だ。近くに大型商業施設がなく、なんでも一度に手に入るのが便利、と考える人に一定の需要がある。
それでは今後、生鮮食品のECサイトが全国で当たり前になったとき、リアルのスーパーはどのようなものになるのか。
「アマゾンが売り上げを拡大するとともに、『ショールーミング』という言葉が世界中で使われるようになりました。実店舗で商品の見た目や機能を確認し、その帰り道にアマゾンで注文することを指します。
送料は無料だし、店舗で買うよりも安いことが多いので多くの人がショールーミングで買い物を済ませています。
やがてスーパーマーケットも『ショールーム化』していく可能性は大いにあります。店舗に行って、サンプルを見ながら何を買うかを考え、決まったらネットで注文して家に送ってもらうようになるでしょう」(前出・角井氏)
町の風景は一変する
これまでアマゾンは実店舗を置くことはなかったが、ここ2〜3年で戦略を大きく変えてきた。試験的ではあるが、実店舗で本を販売する「アマゾンブックストア」をアメリカで約400店舗展開することを計画している。
そして'17年、米国の大手スーパーマーケットチェーン・ホールフーズを137億ドル(約1.5兆円)で買収。「自らが荒らしてきた市場に出店するのか」とさえ思える。
それでは、日本でも実店舗を出す可能性はあるのか。前出・林部氏は次のように語る。
「『アマゾンデパート』を持つとしたら、実店舗は新しい生活のプラットフォームのような場所になるでしょう。それはただ単にモノを売る場所ではありません。
たとえば日本ではレンタルビデオ店を展開していたツタヤが、スターバックスと提携してカフェ付きの書店を展開したり、家電を販売するようになりました。
ただ本やDVDを借りたり買ったりするだけではなく、新しい付加価値を客が感じられるような工夫を重ねてくると考えられます」
インターネットサイトから実店舗への逆行した流れは、実はアメリカではトレンドとなっている。
'10年にオンライン限定の眼鏡ショップとして起業した「ワービー・パーカー」は、'13年マンハッタンのソーホー地区に実店舗をオープンした。
視力検査後1時間程度で持ち帰れる日本の眼鏡ショップとは違い、ここでできるのは試着のみ。検査後、ECサイトで改めて眼鏡を購入するシステムは、まさに「ショールーミング」時代の「オムニチャネル戦略」を確立している。
もしリアルの店舗が完全にネット通販に取って代わられたとき、決して明るくない未来が日本を待ち受けることになる。
「かつて地方の駅前に栄えていた商店街は、イオンやイトーヨーカドーといった大型商業施設に取って代わられ、シャッター街と化しました。
では、その大型商業施設がECサイトに取って代わられ、店舗がどんどん潰れていったらどうなるのか。地方の個人消費は大型商業施設に大きく依存しているところがある。
アマゾンの影響でショッピングモールの経営が立ち行かなくなれば、町全体がゴーストタウンのようになることもありえると思います」(前出・角井氏)
彼らの生き残りをかけた戦いの結果は、我々の生活を大きく左右することになる。
「週刊現代」2017年12月30日号より
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