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セクハラで訴えた労働者をクレーマー扱い、「口がくさい」「家族自慢がウザい」で雇い止め…トンデモ労働審判
http://lite-ra.com/2017/12/post-3674.html
2017.12.21 ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第3号 リテラ
「トンデモ」な事件というと、どのようなものを想起されるであろうか。思い返しても、ひどいなという事件はそれなりに手がけてきた。
「1年後に正社員に登用するから」を言い訳に、契約社員に対して一切の残業代を支払っていなかった会社とか。
いまで言う「パタハラ」であるが、育児があるからと何度か残業を断ったことを理由に解雇してきた会社とか。
役員からセクハラを受けた労働者が改善を求めたところ、その労働者のほうを東京に転勤させようとした会社とか。
「この作業が終わるまで帰るな!」と労働者を会社に2泊させ、あまりのことに心配になった夫が会社に駆けつけたところ、妻が顔面蒼白でぐったりしており、慌てて救急車を呼んだケースとか。
また、会社側が「『解雇』と言ったら負け」と思うあまりに、解雇というかたち以外で労働者を追い出そうと、自宅待機を命じて賃金を大幅減額、あるいはゼロとしたり、正社員なのに「アルバイト勤務を命じる」という辞令(!)を発行したり、といったケースも。恐ろしいことに、前者も後者もそれぞれ複数手がけた。
なお、この「『解雇』と言ったら負け」信仰は相当蔓延しているらしく、弁護士経験が7年程度の私でも、「呼び出されて退職届を書くことを無理強いされた」といった類型の事件を、2桁にはならないが、それに近いくらい経験している。
さて、ようやく本題。前回の連載で、労働審判の話が出た。労働審判は、原則として3回以内の期日での解決をめざす、いわば「短期決戦」の制度である。
地域差もあると聞くが、私のいる大阪では、とにかく初回が勝負、という運用がなされているように思う。初回期日で終結してしまうことも、決して珍しくない(余談であるが、初回で細部まで聞き取りを行い、労働審判委員会が心証を開示するところまでいくため、かつて、15時に始まった期日が18時40分までかかったことがある。これ以来、私は依頼者さんに期日連絡をする際には必ず、「延びてしまって遅くなることもあります」と念押しするようになった)。
■セクハラで訴えた労働者を「過去にも労働審判で多額の金を得た」とクレーマー扱い
何が言いたいかというと、とにかく初回期日までの準備が肝要である、ということである。労使どちらであっても、初回期日の労働審判委員会からの指摘を待って、「あっ、その点ですか、次回までに主張と証拠を補充します」というわけには、基本的にいかないのだ。
こうなると、勢い、初回期日までに出せるものはすべて出しておこう、という発想になるのはわかる。わかるのだが、ちょっと待ってほしい、という主張や証拠がいくつかあるので、今回はその話をしたい。
かつて、セクハラと解雇の問題で申し立てていた労働審判で、相手方から「申立人は、以前勤務していた別の会社との間でも労働審判を行い、多額の解決金を得た」という主張を本当にされたことがある。さすがにこれには抗議したが、未だに信じられない思いである。
労働者が過去に労働審判制度を利用した、それが、セクハラの成否や解雇の有効性に何の関係があるというのか、まったくもって意味不明な主張である。なお、本人に確認したところ、過去の労働審判というのは会社側が申し立てたものであったらしく、ますます意味不明であった。
当然であるが、仮に、労働者が労働審判を複数回申し立てたとしても、労働者に何ら不利になるものでないのは当然であるし、そのようなことがあってはならない。
他にも、「セクハラと言っているそっちがむしろセクハラ」と言わんばかりの主張とか、「これほど優秀な人をこちらから雇止めするはずがない(だから労働者側が自主的に辞めたのだ)」といった主張など、いろいろ目にしてきた。
また、労働審判でよく目にする証拠のひとつに「陳述書」がある。「陳述書」とは、労働者側であれば労働者本人の、使用者側であれば、代表者や、当該労働者の働きぶりを知っている人(上司、同僚、部下など)の言い分を、「私は……です」という一人称のかたちで文章化し、その本人が署名押印したものである。
使用者側が提出してくる「陳述書」に、まだその会社で勤務している従業員が署名押印している場合、陳述書の内容が会社の意向に沿ったものになるのは、言わば当然である。したがって、労働審判委員会も、陳述書の内容をすべて真に受けているわけではない。
それでも、出てくるのである。
■陳述書に「口がくさい」「家族自慢が気に障る」「目つきが怖い」とただの悪口
例えば、派遣労働者が雇止めを争った労働審判で、同僚の陳述書に、
「○○さんが、有休で海外旅行に行った話をしていたのが聞こえてきて不愉快でした」
「お子さんや旦那さんの自慢をするのが気に障りました」
「近くで話したときに口がくさかったことがあります」
とか。労働者としての適格性に関することとか、業務に具体的にこんな支障が生じたとか、もっと他に書くべきことがあるのでは……。
紛争が生じてから、当該労働者に何かよくない点はなかったのかと強引に「あら探し」をした結果だと思われるが、もちろん、単なる不快感が雇止めの有効性を根拠づけるものではない。署名押印している同僚よりも、そんなかたちの協力を従業員に求めている会社の姿勢のほうが窺い知れるというものである。
他の解雇事件でも、
「店長(※その労働者は店長でした)の目つきが怖く、威嚇しているように感じました」
といった言いがかり的なものから、
「今回、○○さんが解雇に納得できずに労働審判を申し立てたと聞いて、何という恐ろしいことをするのかと思いました」
と、もはや解雇の有効性と何一つ関係ない、当該労働者が解雇された後のあなたの気持ちを延々書かれても……といったものまで、実に様々なバリエーションがある。
なお、ここに挙げた事件についても、程度の差こそあれ、すべて労働審判において調停(和解)が成立し、会社側から解決金を支払ってもらうかたちで解決している。
ある使用者側の弁護士から、「陳述書は裁判所に宛てて出しているというよりも、労働者の気持ちをくじくために出している」といったことを言われたことが本当にあるが、法的に意味のない、もはやただの悪口ではないか、といった陳述書が5通も6通も7通も出てくるのは、勘弁していただきたい。
誰が言ったか、「裁判や交渉は、喧嘩するためにするのではない、喧嘩を収めるためにするのだ」という言葉もある。
いつかはお互い拳を下ろし、それぞれの人生が続いていく。そのときのためにも、むやみに戦線を拡大させないほうがいいんじゃないの……と思うのである。
(中村里香/北大阪総合法律事務所 http://www.kitaosaka-law.gr.jp)
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■ブラック企業被害対策弁護団
http://black-taisaku-bengodan.jp
長時間労働、残業代不払い、パワハラなど違法行為で、労働者を苦しめるブラック企業。ブラック企業被害対策弁護団(通称ブラ弁)は、こうしたブラック企業による被害者を救済し、ブラック企業により働く者が遣い潰されることのない社会を目指し、ブラック企業の被害調査、対応策の研究、問題提起、被害者の法的権利実現に取り組んでいる。
この連載は、ブラック企業被害対策弁護団に所属する全国の弁護士が交代で執筆します。
これが本当ならば、言いがかり裁判判決で有罪になったと言うこと。
— 栗本吉章 (@yoshy707) 2017年12月21日
世界でも稀な資本主義国家日本は暴走国家になっている。
朝鮮人は弁護士試験で名前が日本語で書けると弁護士になれる、このような異常なことになる?
「解雇と言ったら(会社側の)負け」ってことは「解雇と言わせたら(被用者側の)勝ち」ってことだよな
— プルートゥ(Unforgiven) (@PlutoDarkness) 2017年12月21日
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