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日本企業の内部留保は多すぎるのか?
http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/archives/51735142.html
2017年12月09日 小笠原誠治の経済ニュースゼミ
朝日新聞をチェックしていると、次のような文言が目に入りました。
「日本企業の内部留保、まだ多すぎる」DMG森精機社長
http://www.asahi.com/articles/ASKCS52FYKCSOIPE012.html
未だに内部留保についての誤解が横行していますね。
しかも、朝日新聞までもがその誤解を正そうともせず、むしろ誤解の基に話を進める訳です。
しかし、よ〜く考えたら、企業会計の大元締めである金融庁の担当大臣でもある麻生副総理こそこの誤解の火付け役ですから、仕方ないとも言える…なんちゃって。
一時は大変なブームを巻き起こした小池都知事も、内部留保に課税することを検討したい、なんて言っていましたよね。
なんとレベルの低い、日本の政治家たち!
内部留保について正しく理解しているのであれば、幾ら設備投資が増えてもその結果ダイレクトに内部留保が減るなんてことにはならない訳ですから。
内部留保を少なくしたいのであれば、法人税を増税するか、役員賞与を増やすか、或いは配当を増やすか、それらのうちいずれかの手段を取る必要があるのです。
そんなに儲かっているのなら、賃金を上げるべきだなんて意見もあり得ますが、企業経営者たちは儲けを増やすために賃金を抑えている訳です。だって、経営者たちの任務は、少しでも利益を増やすことにある訳で、また、そうするとによって株主に対して責任を果たすことになる訳ですから、そう簡単に賃金を上げる訳にもいかないのです。それに、仮に賃上げをした結果、相対的に競争力が落ちることになれば、それこそ経営者として失格の烙印を押されかねない、と。
いずれにしても、麻生副総理を含め多くの人が、企業が保有している現金や預金を内部留保と勘違いしているではないでしょうか?
しかし、百歩譲って…或いは、千歩、万歩譲って…日本企業の保有する現金や預金が増えているからと言って、そのことと設備投資がどのように関係すると言うのでしょうか?
確かに、麻生副総理は次のようにいつも言っています。
お金は眺めるものではない、使うものだ。使うからお金の意味がある、と。
要するに、お金が余っているのなら設備投資を増やせという論理ですが…もし、設備投資を行ってそれで利益がさらに増えることが確実であれば、他人からとやかく言われなくても企業経営者は設備投資に動く筈。
逆に言えば、設備投資をしてもそれが利益の増大に結びつく可能性が大きいとは思われないので経営者たちは設備投資に積極的になれないのです。
それに、リーマンショックやかつてのバブル崩壊の経験からして、なんかのときに頼りになるのはお金、キャッシュだけだということに気が付いているからこそ、企業経営者たちは現金や預金を潤沢に保有しておこうと言う気になるのです。
さらに言えば、例えば、国債や社債の利回りがもっと高ければ、そうした債券に投資することもあり得る訳ですが、ほぼゼロに近い水準にまで金利が低下している訳ですから、お金を現金で保有していても、別に何の損失も被らないのです。
例えば、長期国債の金利がゼロ%程度ではなく、仮に1%でもあれば、誰だって現金の保有を最少限度に留めようとする筈。
だって、そうしないと本来得ることのできる利子収入を失ってしまうからです。
何故企業の保有する現金が増えているのか、その理由をよく考えることが先決なのです。
いずれにしても、政治家が経済に口を出し過ぎるとろくなことにはならないのです。
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