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インドEVメーカーと技術提携したルネサスの狙い
http://gansokaiketu.sakura.ne.jp/newsindex3-naiyou-3.htm#2017-12-07-インドEVメーカーと技術提携したルネサスの狙い
インドEVメーカーと技術提携したルネサスの狙い
http://eetimes.jp/ee/articles/1712/07/news061.html
インドの電気自動車(EV)メーカーMahindra & Mahindraのマヒンドラ・レーシング・フォーミュラEチームと技術提携を発表したルネサス エレクトロニクス。世界的には、まだ名を知られていないインドのメーカーと提携した狙いはどこにあるのか。
[村尾麻悠子,EE Times Japan]
半導体メーカーも関わりのある“電気自動車のF1”
「フォーミュラE選手権」をご存じだろうか。FIA(国際自動車連盟)が主催する電気自動車のフォーミュラカーレースで、“F1の電気自動車バージョン”のようなものである。1シーズンにつき、8〜9カ月間をかけて世界約10都市でレースを行う。2014年にシーズン1が開催され、シーズン4(2017〜2018年)が2017年12月2〜3日に香港で開幕したばかりだ。
同じFIAが主催するF1に比べ一般的な知名度はまだ低いが、半導体メーカーの中には、既にフォーミュラEに深く関わっているメーカーもある。Qualcommは、シーズン1が始まる2013年の時点でフォーミュラEと技術提携を結んだと発表。同社のワイヤレス給電技術「Qualcomm Halo」が、フォーミュラEのセーフティカー(レースを先導するクルマ)に採用されている。ロームは、シーズン4に参戦するモナコの自動車メーカーVENTURI AutomobilesのフォーミュラEチームとテクノロジーパートナーシップを締結し、レースカーのインバーターに使われるSiCパワーデバイスを提供している。
そして今回、また新たな半導体メーカーが加わった。ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)である。同社は2017年11月30日に、インドの電気自動車(EV)メーカーMahindra & Mahindra(マヒンドラ&マヒンドラ、以下、Mahindra)のマヒンドラ・レーシング・フォーミュラEチームのテクノロジーパートナーとなったことを発表した(関連記事:ルネサスとインド電気自動車メーカーが技術提携)。ルネサスは、シーズン4ではスポンサーのみを務めるが、シーズン5(2018〜2019年)では、レーシングカーへの技術の搭載を目指す。
Mahindraは、インドの自動車市場では大手メーカーだが、日本ではまだなじみがない。フォーミュラEとMahindra。どちらも決して知名度が高いとはいえない。なぜルネサスは、マヒンドラ・レーシング・フォーミュラEチームと技術提携を結んだのか。ルネサス 執行役員兼オートモーティブソリューション事業本部 副事業本部長の吉岡真一氏がその理由を語った。
ルネサスの狙いは大きく2つある。1つ目は、インド市場を含めグローバル市場でのブランドイメージの向上だ。2つ目が、車載技術の開発の加速である。
ルネサスの車載半導体の売上高を顧客国籍別にみると、売上高全体の6割が日本向け、2割弱が欧州向け、1割弱が米国向け、残りがインドや中国などである。インドの割合は全体の5%未満だ。吉岡氏は「現時点でも日本では一定のシェアは獲得している。だが、今後は車載市場における地域別のシェアは変わっていくとみている。既に中国も相当数の自動車を生産するようになっているし、中国の次にくるのは間違いなくインドだと考えている」と述べる。
中国とインドに共通しているのは、政府が主導してクルマの電動化を進めていることだ。インド政府は「2030年までには、インドで販売される自動車をEVのみとする」という目標を掲げている。大気汚染の低減など環境面での背景もあるが、EVが、ガソリン車に比べて開発しやすいという理由もある。「ガソリン車は日本などがかなり先行しているので、中国やインドといった自動車開発の新興国が追い付くことは難しい。だが、製造しやすいEVであれば、競争にそれほど後れを取らずに済む」(吉岡氏)
統計情報を提供するStatistaによれば、2016年におけるインド自動車市場のシェアは、トップがMaruti Suzuki(マルチ・スズキ)*)で約47%、2位が韓国Hyundai Motor(現代自動車)で約17%、3位がMahindraで約7.5%だ。つまり、ローカルメーカーではMahindraがトップに立っていることになる。しかも、EVの出荷台数で見れば、Mahindraはインドではトップだ。Mahindraと提携し、マヒンドラ・レーシング・フォーミュラEチームのスポンサーとなれば、EVの急速な成長が見込まれるインド市場のみならず、世界各国に点在するレースの開催地においても、ルネサスの認知度の向上を狙うことができる。
*)スズキのインドにおける製造販売子会社。
“実車”でデバイスを検証できる
2つ目の大きな狙いが、車載製品の開発の加速だ。マヒンドラ・レーシング・フォーミュラEチームとの技術提携において、ルネサスは、自動車開発向けの包括的プラットフォーム「Renesas autonomy」をベースに、フォーミュラE用レーシングカーと量産車のPoC(Proof of Concept:機能の実用化に向けた検証工程)の開発を進める。
Renesas autonomyはルネサスが2017年4月に発表したコンセプトで、クラウドサービスからセンシング、車両制御まで、エンド・ツー・エンドで関連技術を提供するためのオープンな開発プラットフォームだ。
ルネサスは、このRenesas autonomyを使って実車を開発できるかどうかを試したいのである。
吉岡氏は、「フォーミュラEというのは、単なるレースではなく、EVの機関システムの性能を競い合う技術コンテストの側面も持ち合わせている。しかもレースは14戦あり、そのたびにマシン(レーシングカー)をチューニングして性能をアップデートしていく。われわれから見れば、それは開発行為そのものだ」と語る。
今回の提携によってルネサスは、Renesas autonomyベースで開発した車載向け半導体やソフトウェアをレーシングカーに搭載し、性能を評価することができるようになる。レーシングカーとはいえ「実車で検証できる」ことの意義は極めて大きい。吉岡氏は「もちろん、自社でも開発中の製品のテストや評価は行ってきた。PoCにはさまざまなやり方があるが、われわれのような半導体メーカーが実車を使ってPoCを進めるというのは難しい。実車で評価でき、しかもその結果を毎月のように得られるというのは、非常に魅力的である」と強調する。
一般的にガソリン車の開発期間は5年だが、EVは2年といわれている。Time to Marketがスマートフォンなどの民生機器並みに短く、それ故変化も速い。「開発における新しいコンセプトも、そのスピードに合わせなければならない」と吉岡氏は語る。ルネサスにとっては、レースのたびにアップデートされていくレーシングカーは、開発中のデバイスの性能を評価するには、うってつけの試作ともいえるのだ。
さらに、Mahindraは自動車の開発において「Race to Road(レースから道路へ)」というコンセプトを持っている。これはレーシングカーに採用した技術を実車にも適用するというものだ。つまり、レーシングカーに搭載されたルネサスの技術は、いずれ量産車にも搭載される可能性が極めて高くなる。
ルネサスの技術の搭載は、シーズン5から
今回の提携は、Mahindraがルネサスにアプローチして実現した。この背景には、自動車業界における産業構造の変化がある。
吉岡氏によれば、自動車業界では、産業の構造にパラダイムシフトが起きているという。
「ティア1、ティア2サプライヤーがあって、その上に自動車メーカーが君臨する」という従来のがっちりとしたピラミッド構造が少しずつ変化し、水平分業へと移行している部分があるのだ。中国やインドなど自動車開発の新興国ではとりわけその傾向がみられ、ティア1、ティア2サプライヤーに全てを任せるのではなく、自動車メーカーが直接半導体メーカーにアプローチするケースも多いという。
マヒンドラ・レーシング・フォーミュラEチームのCEO兼Team Principalを務めるDilbagh Gill氏によると、技術提携を行うパートナーとしてルネサス以外の半導体メーカーとも交渉していたという。だが「チップの性能や、ハードウェアとソフトウェアを包括的に提供できる点などにおいてルネサスが優位だったため、ルネサスを選んだ」(Gill氏)
Mahindraはもともとルネサスの顧客だったこともあり、今回の提携は最初に具体的な話が出てからわずか4カ月ほどで実現した。
シーズン4では、マヒンドラ・レーシング・フォーミュラEチームのスポンサーのみを務めるルネサスだが、「シーズン5のレーシングカーには、ルネサスの技術を搭載していけるよう話を進めていく」と吉岡氏は述べる。具体的なことは「これから決めていく」(吉岡氏)が、候補の1つとして挙がっているのがバッテリー監視システムだ。バッテリーマネジメントやバッテリー監視については、ルネサスが買収したIntersilが特に強みを持っている分野である。「Intersilのバッテリー監視技術にルネサスのマイコンを組み合わせることで、高い精度が要求されるバッテリー監視システムを実現できると考えている」(吉岡氏)
それ以外には、インバーターやDC-DCコンバーターなどが挙げられる。「マイコン、パワー、アナログの3点セットと、それらの上で動作する制御ソフトが必要になってくる。マイコンから提供するのか、それともパワーから提供するのかといった具体的なことを、今後詰めていく。ただ、レーシングカーのために新しいデバイスを開発するというよりは、ルネサスの開発ロードマップに沿って開発したものあるいは開発中のものを、順次提供する形になるとみている」(吉岡氏)
マヒンドラ・レーシング・フォーミュラEチームのGill氏は、「フォーミュラEのレーシングカーは、シーズン5から、がらりと変わる。シーズン4まではドライバー1人がレースの途中でマシンを乗り換える2台体制だったが、シーズン5では乗り換えず、1台のみを使用する。バッテリーマネジメントやモーター効率からマシンの重さまで、あらゆる点で改善が必要になる。ルネサスと協力することで、こうした改善を実現できると確信している」と語った。
自動車市場の急速な発展が見込まれるインドの自動車メーカーであること。レーシングカーという実車で、開発したデバイスのPoCを進められること。レーシングカーに適用された技術はいずれ量産車にも搭載されること――。ルネサスにとってMahindraは、あらゆる意味で理にかなった提携の相手だった。
シーズン5で、マヒンドラ・レーシング・フォーミュラEチームはどんなマシンを披露するのか。ルネサスの技術がどう貢献しているのか。1年後、それが明らかになるだろう。
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