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日産の検査不正、ゴーン流コミットメント経営が原因…経営トップは責任を曖昧に
http://biz-journal.jp/2017/11/post_21454.html
2017.11.23 文=河村靖史/ジャーナリスト Business Journal
日産自動車の西川廣人CEO
「とにかくこの状態を挽回することに尽きる。私の使命は早く過去を断ち切って正常にすること」(日産自動車・西川廣人社長兼CEO)
日産自動車は無資格者が完成検査を行っていた問題について、調査報告書と再発防止策を国土交通省に提出した。無資格者の不正な完成検査は1979年から栃木工場で実施されており、38年間にわたって不正を繰り返してきた。国交省の監査当日だけ完成検査工程から無資格者を外していたほか、資料を改ざんして発覚を逃れていたことや、完成検査員になるための試験でのカンニングを認めていたことも明らかになった。一方で、日産首脳陣は経営責任を明確にしないまま、問題の幕引きを図ろうとしている。
日産の西川社長は11月17日、国交省に完成検査の不正に関する調査報告書を提出し、その後、横浜市のグローバル本社での記者会見で「長年にわたる不適切な完成検査で信頼を裏切った」と述べて改めて謝罪した。
調査報告書によると、無資格者による完成検査は1979年に栃木工場で行われており、不正が長年にわたって常態化していた実態が明らかになった。また、西川社長は当初「(無資格者であっても)検査は行われており、安全は保証する」と述べていたが、報告書によると、完成検査を本来とは異なる場所で行っていたことから、検査項目の一部の検査を実施していなかった可能性も明らかになった。
長年にわたって不正が水面下で行われていたのは、発覚を逃れるため、現場で巧妙に工作が行われていたためだ。国交省や日産本社による監査の時だけ、現場責任者が無資格の補助検査員を完成検査工程から外れるよう命令。補助検査員に資格者が持つバッジを貸与して完成検査に従事するケースもあった。不正発覚後の国交省の立ち入り検査では、不正確な説明を行っており、関係資料の一部を改ざんしていたこともわかっている。
さらに有資格者についても、その能力を疑問視せざるを得ない実態も明らかになった。完成検査員となるための講習時間を短縮していたほか、複数の工場で、試験問題と答案を同時に配布していたことや、教材を見ながらの受験、答案提出後に間違いを訂正した上での再提出を認めるなど、不正がまかり通っていた。
■不正発覚後も不正継続
そもそも無資格者の完成検査が9月18日に発覚し、その後、再発防止策を実施して「現在は完全に正常化している」(西川社長)と明言していながら、その後も国内5工場で無資格者による完成検査が継続されるなど、日産の順法意識の低さが際立っている。国交省の奥田哲也自動車局長は「ただちに是正したと発表しながらきちんと行われていなかったことや、完成検査員の試験に不適切な扱いがあるなど、誠に驚きを禁じ得ない」と、日産を強く批判した。
これら不正の原因について調査報告書では、完成検査員の不足や制度に関する規範意識の低さに加え、「完成検査を実施する現場と工場、日産本社の管理者層との間に距離があり、管理者層が問題を把握して対処することを困難にした」と指摘。日産では、必達目標(コミットメント)を掲げて、達成できなければ懲罰人事が待っているカルロス・ゴーン氏の経営手法が浸透、経営陣も管理者層も「とにかく目標を達成する、利益を上げる」ことだけを考えている。生産台数を増やすのに完成検査員が不足しているといったことは管理者や役員にとって些細な問題で、仮に現場が声を上げたとしても「現場で解決しろ」と言われるのは明白だ。
ただ、西川社長は17日の記者会見で「ゴーン氏が日産に来る以前から行われていた」とした上で「国内生産台数は200万台あったのが今は100万台で右肩下がり。(不正の)動機とは考えにくい」と述べ、ゴーン氏が掲げる必達目標を達成するために無理な生産を迫られて不正に手を染めたとの見方を真っ向から否定。
「ゴーン氏が強いリーダーシップを持っていることは認識しているが、下から意見を聞くことは意識してきた」と述べ、経営改革に向けて、中堅や若手で構成する部署を横断した組織「クロスファンクショナルチーム」などを代表例に、「下からの意見を集める努力をしてきたのに、なぜ完成検査員の不足の問題が上がって来なかったのか」と首を傾げる。
しかし、調査報告書では現場と管理者層との距離について「(日産の)目標到達を通じて課題を解決するということを重視する文化」に原因の一部があるとはっきりと指摘している。
にもかかわらず、西川社長がゴーン流マネジメントを不正の原因との見方を必死になって否定するのは、問題解決に自身の進退がかかっているからだ。西川社長はゴーン氏から「立て直すのはあなたの仕事と言われた」と、問題を丸投げされたことを明かした。西川社長は、2013年にライバル各社が好業績をあげるなか、日産だけが下方修正を繰り返した結果、ゴーン氏はトップの座に踏みとどまりながら、当時日産のナンバー2だった志賀俊之氏を事実上更迭したのを目の当たりにしている。「世間のすべてを敵に回しても、ゴーン氏だけは守り抜く」(部品メーカー元社長)ことが自身の生き残る道と西川社長が感じていても不思議ではない。
■恐怖政治
「そもそもゴーン氏は世間の目に関心を持っていない」(専門誌記者)
その証拠に、これだけ大きな問題を起こしながら役員の経営責任として明示したのは、10月から18年3月までの半年間、西川社長が役員報酬の一部を自主返納するだけにとどまり、その西川社長は日産の信頼回復と国内事業の挽回が自身の責任と言い切る。他の役員の経営責任については「自主的な判断」で、ゴーン会長を含めて明らかにしていない。17年間にわたって日産のトップに君臨しているゴーン氏をはじめ経営責任の不透明さを記者から追求された西川社長は「(進退は)取締役会で決められる性格のもの」と述べた。しかし、日産の筆頭株主は、ゴーン氏が覇権を握るルノーだ。
燃費不正問題を機に資本提携した三菱自動車の経営再建でゴーン氏は、燃費不正問題の責任を明確化するとして日産の傘下入り後に辞任する意向を示していた三菱自の益子修会長兼社長を社長職に留任させた。この時も株主総会で批判の声が上がったものの、ゴーン氏は「株主が決めること」と述べて一蹴。三菱自の筆頭株主は日産になったからだ。
世間の目は無視し、資本の論理を盾に自分の思い通りに経営するゴーン氏と、ゴーン氏の恐怖政治にかしずく日産経営陣。日産は今後、完成検査の不正に関して管理層などを処分する見通し。しかし、経営陣が超高額な報酬を一部自主返納したところで、現場の士気が上がることはない。日産の真の再生の道のりは険しそうだ。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)
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