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株高支える「低インフレ」はいつまで続く?
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171118-00197852-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 11/18(土) 8:01配信
(写真:freeangle/PIXTA)
11月15日付日本経済新聞の“大機小機”で、「上昇に転じた世界物価」という記事が掲載された。世界の物価が上昇に転じたことにもっと注目すべきであるという内容だ。
たしかに、米国の雇用拡大、主要国の需給ギャップの縮小もしくは解消、原油価格の上昇など、世界的にインフレ率が底を打つ兆候が少しずつ表れているように見える。もしそうだとすると、世界的なマネーの流れに大きな影響が生じる可能性があるので、少し突っ込んで検証してみよう。
図1は、IMFが作成している世界物価指数の長期推移だ。1990年代半ば以降に、世界的に低インフレ時代に入り、それが現在まで続いていることが分かる。
これだけだと最近の状況が分からないので、ここ数年の動きをもう少し細かく見たのが図2である。これをみると、2016年後半に世界物価が高まる兆しが見えたものの、2017年に入って以降は失速し、依然として力強さには欠ける動きとなっている。
大機小機で取り上げているのは主要50カ国の加重平均指数ということなので、IMFの世界物価指数とは異なる動きをしているのだと思われる。そこで、世界のビッグ3である日米中3カ国の物価上昇率を取り出すと図3となる。米国はジワリと物価上昇率が上がり、あともう少しで低インフレ圏から脱する可能性がある。日本も2016年のマイナス圏からは脱したようだ。
だが全体的に見て、世界的な物価動向は依然として力強さに欠ける。ここ20年来続いている低インフレ局面という大きな流れの転換を取りざたするには時期尚早であると見ていいだろう。確かに世界的な物価上昇の兆しはあるものの、現段階では兆し以上のものではないということだ。
■ 低インフレ環境の継続が意味すること
インフレ率があまりに低すぎる水準にとどまることは、もちろん好ましいことではない。それは、賃金の低成長を意味し、日本の財政赤字や米中の民間債務問題にも長期的に悪影響を及ぼす。だが、こと株式市場に関して言えば、低インフレはそれほど悪い話ではない。
世界が低インフレ時代へと移行した1990年代半ば以降、世界中で金利が低下し、株式のバリュエーションは押し上げられた。2010年代に入って株式相場が世界的に好調に推移しているのも、低インフレ・低金利・金余りの3点セットがあるが故である。
世界の物価上昇率が高まれば、その前提が崩れてグローバルなマネーの流れが大きく変わり、現在の高株価を維持できなくなる可能性が高い。とくに米国の物価上昇率が一段上がるようなことがあれば、FRBによる利上げが加速し、世界の市場は混乱に陥るだろう。恐らく、それこそがグローバル市場にとって最大のリスク要因だと考えられる。
現在の世界物価指数の動きからは、低インフレ局面からの脱却は必ずしも見通せない。それは逆に、グローバル市場に波乱が起きるリスクが必ずしも警戒水準にまで達してはいないことを示唆しているのではないだろうか。
田渕 直也(たぶち・なおや)/1985年、一橋大学経済学部卒業。日本長期信用銀行(現新生銀行)で主にデリバティブのトレーディング、ポートフォリオマネジメントに従事。UFJパートナーズ投信(現三菱UFJ投信)債券運用部チーフファンドマネージャーとして、社債やストラクチャード・プロダクトへの投資運用体制を構築。『カラー図解でわかる金融工学「超」入門』、『投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について』など著書多数。現在、ミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
田渕 直也
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