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一流の投資家だけが知っている「バブル崩壊のある法則」 じゃあ、いまのバブルはいつまで…?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53496
2017.11.15 加谷 珪一 現代ビジネス
寿命100年時代を迎えようとするこれからの時代、投資に対する考え方も変える必要がある。退職金などまとまったお金を手にしてから運用を始めるのではなく、早い段階からコツコツと投資残高を積み上げ、時間を味方に付ける方が長寿社会においては合理的だ。
長期で投資を継続していれば、リーマンショックのような株価下落が発生しても、その影響を最小限にとどめることができる。だが、そうは言っても、こうした暴落は何とか回避したい。もっと言えば、暴落に乗じて儲けたいというのが、多くの個人投資家のホンネだろう。
バブルの発生やその崩壊を予測するのは難しいと言われているが、実はそうでもない。マクロ経済のある指標に着目すれば、かなりの確率でバブル崩壊を察知することが可能だ。実際、優れた投資家はこの手法を駆使して大暴落から自らの資産を守っている。
■そもそもバブルとは何か
ひとくちにバブルといってもその形態は様々であり、人によって意味するところも違う。それぞれが勝手に「バブルだ」「いやバブルではない」と論争したところで意味はない。まずはバブルというものについて、しっかりと定義しておく必要があるだろう。
バブルと呼ばれるものには大きく分けて2つの種類がある。
ひとつはマクロ的な現象で、過剰流動性が発生し、資産価格全般が高騰するタイプのバブルである。リーマンショック前の米国や、1980年代における日本のバブル経済はまさにこれに相当する。
もうひとつは特定の産業セクターを対象とした局所バブルである。局所バブルは新しいテクノロジーに対する過度な期待から生まれることが多い。期待感が先行し、その企業が現在、生み出している利益水準からは説明不能なレベルまで株価が高騰する。2000年前後に発生したネットバブルはまさにこの典型といってよいだろう。
局所バブルは、いつの時代でも発生している。新技術への過剰な期待から株価が高騰したり、一気に下落するのは株式市場ではよく見られる光景といってよい。だが長期的に投資に取り組む個人投資家にとって最も気になるのは、こうした局所バブルではなく、リーマンショックに代表されるようなマクロ的なバブルの方だろう。
マクロ的なバブルが崩壊すると、株式や不動産、金、債券など、あらゆる資産価格が一斉に下落し、場合によっては金融危機が発生する。
過剰な下落の後には、反動で上昇することがほとんどであり、投資を継続していれば、それほどの損失にならないケースが多い。実際、リーマンショックの後にも淡々と投資を継続すれば、バブル崩壊の損失は比較的短期間で取り戻すことができた。
だが、言うは易しで、現実はそう甘くはない。バブル崩壊直後、市場参加者全員が恐怖を感じている中、追加投資を決断できる人は少ない。できればバブル崩壊前に一旦、手仕舞いし、落ち着いてから投資を再開したいと考えるはずだ。
■バブル発生と崩壊の法則
バブルの崩壊を予測することは困難だと言われており、実際、バブルが頂点となる段階では、さらなる株価の上昇について誰も疑わなくなる。そしてある時、株価は一気に崩壊に転じる。
だがこうしたマクロ的なバブルの発生と崩壊には、ある種の法則が見られる。多くの場合、金融機関による総融資残高がGDP(国内総生産)に対して一定倍率を超えるとバブルは崩壊することが多い。実際に過去の事例を検証してみよう。
2008年のリーマンショックは過剰なサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)を背景とした典型的なバブルの崩壊だが、2007年時点における金融機関の融資残高は約23兆ドルであった。同年の米国のGDPは14.5兆ドルなので、融資残高はGDPの約1.6倍と計算される。
一方、1980年代後半に日本において発生したバブル経済とその崩壊はどうだったのだろうか。当時はノンバンクを経由した不動産に対する過剰融資が社会問題となったが、1989年における日本の融資残高は767兆円だった。
当時の日本におけるGDPは416兆円なので、融資残高はGDPの1.8倍である。多少の差はあるが、どちらもほぼ同じ水準でバブルの頂点となり、そして崩壊に向かった。
中国市場でも同じ現象が観察されている。中国は国家による統制経済なので、日本や米国のようなバブル崩壊は発生しにくい。だが中国は2013年から2014年にかけて過剰流動性相場が終了し、不動産を中心としたバブル相場は、事実上、崩壊したとみて差し支えない。
当時、中国ではシャドーバンキングと呼ばれる銀行以外の融資が急膨張し、これが不動産価格を押し上げる原因となった。日本におけるノンバンク融資や米国におけるサブプライムローンとまったく同じ図式である。
2013年当時、シャドーバンキングを加えた中国の融資総額の対GDP比はやはり1.6倍だった。各国によって細かい条件は異なるが、総融資残高がGDPの1.6倍〜1.8倍になるとバブル崩壊の可能性が高まってくると考えればよい。
■では現在はどうか
現代とは社会情勢が大きく異なっているが、1929年に発生した世界恐慌と、その直前まで続いた空前のバブル経済もほぼ同じ水準でバブルが崩壊している(約1.6倍)。時代や地域が変わっても、ある程度、普遍性のある法則が見られるのであれば、この数値を参考にすることで、バブル崩壊を回避できるはずだ。
では、この法則を現在の状況にあてはめるとどうなるだろうか。
米国はトランプ政権の誕生以降、株価の上昇に弾みが付いており、一部からはバブルとの声も聞かれる。確かにネット企業など一部企業の株価は過剰に高騰している可能性があるが、こうした現象はあくまで個別の事例である。
問題は米国の株式市場全体がバブルであるかという点であり、もしそうなら、米国の株価が崩壊した場合、日本も甚大な被害を受けることになる。
米国の2016年末時点における融資残高はリーマンショック当時とほぼ同額の24兆ドルである。しかしリーマンショック後、米国経済は順調に拡大しており2016年のGDPは約18.6兆ドルに達する。
融資額は増えていないにもかかわらず経済規模は大きく拡大した。GDPに対する融資残高の比率は1.3倍なので、数字から判断した場合、今のところバブルの懸念はまったくない。
少なくとも米国の株価がバブルだといって過剰に心配する必要はなさそうだ。足元の米国経済は極めて順調であり、このままの状態が続けば、企業業績もさらなる拡大が期待できる。
日本経済についても、融資残高の比率は1.4倍なのでバブルの兆候は見られない。というよりも日本の場合、バブルどころか失われた20年からの回復もままならない状態であり、米国のような景気過熱を心配するフェーズではない。
このところ日本の株価が急騰しており、相場の上下変動としての調整はあるかもしれないが、経済全体がバブル化する可能性は今のところ考えなくてよいだろう。
ただ、日米ともマクロ的には問題がなくても、個別セクターでバブルが発生していない保証はない。もしバブル的な株価になっている業界があるとするなら、それはAI(人工知能)関連かもしれない。
■ハイテク・バブルは避けた方が賢明
マクロ的なバブルと違って、こうしたハイテク・バブルを見極めるのは簡単ではない。その理由は、株価が上昇している時点ではバブル的な株価であっても、その技術が本当に普及した場合、その株価はバブルではなくなってしまうからだ。
1920年代、自動車という画期的なテクノロジーが普及し、米国の自動車メーカーであるGM(ゼネラル・モーターズ)の株価は200倍に高騰した。だがその後、GMの株価がバブルだと指摘する人は誰もいない。
トヨタも日本市場で自動車が急速に普及した1960年代には、株価が約70倍に高騰している。その後、トヨタの株価はさらに上昇して現在に至っているが、トヨタ株がバブルなのかは説明するまでもないだろう。
最近でも同じような現象が見られる。パソコン向け半導体では圧倒的なシェアを持つインテルの株価は、約20年間で100倍を超えた。ITバブルと言われた2000年前後、インテルの株価は説明不能とされたが、その後、インテルの株は紙くずになったのだろうか。
もっとも株価が高かった2000年と比較すると、約半額になってはいるが、それほど大きく下落したわけではない。結局のところ、そのテクノロジーが期待通りに普及すれば、現実の企業利益が株価に追いつき、バブルと言われた株価もバブルではなくなってしまうのだ。
だが、どの技術が将来、生き残るのかについて完璧に予測する方法はない。今、株価が高騰しているAI関連の銘柄はいずれ暴落するかもしれないし、20年後には現在の水準が妥当と認識されているかもしれない。
こうしたテクノロジー・バブルに賭ける投資は運に左右されやすいので、長期的なスタンスの投資家はあまり積極的に取り組まない方がよいだろう。
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