相変わらずだな既に財政破綻自体が問題ではないのは明らか 問題は、改革の放置と財政ファイナンスの結果、悪いコストプッシュインフレが進み、 国内産業が衰退して、雇用や賃金の質が劣化して実質生活水準が低下したり 実質的に社会保障を維持できなくなること 既に、その芽は労働生産性と賃金の低迷、社会保障負担の止まらない増加、 そして企業(特に中小企業)の労働分配率や内部留保高止まりと投資低迷などの形で表面化しつつある https://style.nikkei.com/article/DGXMZO21414260S7A920C1000000 このままだと日本は「ゆでガエル」になる(澤上篤人) さわかみ投信会長 日経マネー
2017/10/30 記者会見する黒田日銀総裁 日経マネー 澤上篤人氏(撮影:大沼正彦) 澤上篤人(以下、澤):日銀による大量の資金供給の出口政策というか、行き着く先についての検討を、そろそろ始めておいた方がいいだろう。 長期投資家はいつも10年ぐらい先までを、ひとまとめにして考えて行動している。その意味でも、いずれ到来する日銀の強腕政策の限界といったあたりを、今回は草刈と話し合っておこう。 ■日銀の資金供給は意味がない 澤:日銀は2%のインフレ(物価上昇)という目標を、2017年9月時点で7度も先延ばしにしている。だが、なかなか期待通りになってくれない。 草刈貴弘(以下、草):アベノミクス1本目の矢だったのですがね。2本目、3本目の矢は放たれず、金融政策だけ深みにはまってしまった感じです。 澤:もともとは、政府による景気刺激と成長促進政策を、日銀としてどう援護射撃するかで、2%のインフレ目標を打ち出した。経済の動きが活発化すれば、物価も上昇する。その逆もありで、2%のインフレ目標でもって経済の活性化を支援しようとしたわけだ。 しかし、景気もインフレも、どちらにもなかなか火が付かない。せいぜい、財政支出を拡大させてのバラまき予算と、日銀による大量の資金供給とで、景気の落ち込みとデフレ現象の深刻化を回避しているだけのこと。肝心の個人消費がさっぱり高まってこない。 草:いくら金融緩和をしたとしても、庶民の懐が温まらないのであれば消費は増えませんからね。 澤:その原因については、学者など専門家が色々分析しているが、どれも現状の政策を肯定してのものだ。どうにも成果の出ない経済政策を全面的に見直すという方向では、検討すらされない。 そもそも、個人消費が高まらないのは、もう20年余りにもなる超低金利政策に加え、近年のマイナス金利もあって家計の利子所得が奪われ続けてきたからだ。バブル崩壊時に40兆円弱もあったとされる家計の利子所得だが、最近は数千億円にまで激減している。これでは個人消費が高まるはずもない。 草:可処分所得が増えないことも要因です。平均給与は1997年をピークに減少し続けています。最近3年ほどは賃上げの影響から上昇していますが、リーマン・ショック前の水準には戻っていません。その間にも社会保険料や消費税といった負担が増え、現役世代の手元に残るお金は減っています。 2007年以降は団塊の世代が引退を迎えています。所得が固定される高齢世帯の増加と、現役世代の可処分所得の減少というダブルパンチも大きいでしょう。 澤:その間に、個人金融資産における預貯金額は、およそ500兆円も膨れ上がっているのだ。利子なんてゼロ同然なのに、せっせと預貯金に走る日本人の預貯金信仰への凝り固まりには、もうつける薬はないといったところか。 ともあれ、いくら日銀が資金を大量供給しても、企業の内部留保額や家計の預貯金残高だけが積み上がるばかり。それでは、2%のインフレになりようがない。 ■お金の価値は下がっている 澤:これだけ日銀が資金を大量に供給し続けているということは、日銀券の発行残高が増加の一途にあることでもある。毎年80兆円もの国債に加え、ETF(上場投資信託)も6兆円購入している。その購入分に見合う金額の円紙幣が発行され続けているのだ。 すさまじい勢いで円紙幣が刷られているわけだが、それは日銀の帳簿上でのこと。大量の新札が市中に出回るわけではないので、誰もそれほど気にかけない。しかし、恐ろしいほどのスピードで日銀の財務が肥大化、つまり悪化しているのは厳然たる事実である。 草:日本の国債市場はもはや日銀の独壇場と言えます。株式市場でも、年間6兆円も買う主体は普通ありません。アベノミクスの原動力となった海外投資家の買い越し額は、13〜16年の4年間で約12兆円。その半分を単年で買うわけですから影響力は大きいでしょう。 そこまでしても変わらないのであれば、根本的にアプローチを変える必要があるはず。副作用が増すだけではないでしょうか。 さわかみファンドCIOの草刈貴弘氏(左) 澤:本来なら、中央銀行の財務悪化がもたらす信用力低下は、通貨の価値を下げ物価上昇を招くことになる。ところが、日本は世界最大の債権国であり、最大の米国債保有も誇っている。だから日銀の財務悪化で円の価値の下落、つまり円安を招くには至らない。また、輸入物価が急上昇する気配もない。 草:日本国内は構造的に物価が上がりにくくなっています。賃金だけでなく、価格も低位で硬直的になっています。やはり、効きもしない劇薬を打ち続けているだけなのではないでしょうか。 澤:これは恐ろしいことだ。政府はいくらでも野放図に国家財政を膨らませ、その財源として毎年40兆円前後の国債を発行し、日銀に買わせることができる。その結果、日銀の資産は異常に膨れ上がっているが、円安にもならないし、悪性インフレにもつながらない。それをよいことに、国も日銀も一向にブレーキをかけようとしない。 こんな状態が永遠に続くことはない。将来とんでもないしっぺ返しが襲ってくるのは必定。 http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/column/backnumber/20171101-2/ 給料が20年間上がっていない日本の深刻な実態(大前研一) 内部留保 財務省が9月1日に発表した法人企業統計によりますと、企業が利益を蓄積した内部留保は、2016年度末の時点で406兆2348億円と、初めて400兆円を超えたことがわかりました。一方、企業が稼いだ付加価値のうち、どれだけ人件費に回したかを示す労働分配率は、アベノミクスが始まる前の2012年度には72.3%でしたが、2015年度には67.5%にまで低下しています。
労働分配率に関しては、成長期には設備投資などがあるので、基本的に50/50と言われていましたが、今では三分の二が労働分配率となっています。日本の場合には企業が稼ぐ利幅が非常に薄く、三分の二は人件費が持っていってしまうわけです。したがって、これ以上人に手厚くするのも難しいのです。かつ、投資機会がない、成長機会がないということなので、大きな設備投資をする企業は少ないのです。こうしたことから、内部留保が積み上がってしまうわけなのです。 労働分配率のグラフを見ても、現在落ちてきているわけですが、それでも三分の二という割合は世界的に見ても非常に大きいです。したがって人件費が、企業が創出した付加価値のかなりの部分を持っていってしまう状況です。 これ以上人に賃金を払う場合には、生産性の向上がしっかりとないといけません。そうなってくると、事業機会が増えずマーケットが伸びていなければ、人をクビにしなければいけないという問題に直結するのです。そうしたことを全部考えていく必要がある問題なのです。 労働生産性 安倍首相が1日の特別国会で第98代総理大臣に選ばれ、第4次安倍内閣が発足しました。首相は記者会見で、全ての閣僚を再任し、引き続き経済最優先で取り組むと表明。また、人づくり革命と生産性革命を両輪として、デフレ脱却に向けて税や予算などの政策を総動員する考えを示しました。 安倍首相が経済を理解していないのはご存知の通りです。人づくり革命と生産性革命を両方やると矛盾が起こります。生産性革命については、日本の場合には間接人員の生産性が低いとして、それをやっていくということはコンピューター化、ロボット化を進めることになります。 そうなると今度は、今までの働き方しか知らない人達はやる仕事がなくなって失業が溢れます。ですから、本当の人づくり革命というのは、機械などが出来ないことをやらなくてはいけないわけです。しかし、今の大学や社内の教育制度ではそういう人は出てこないのです。 首相は生産性革命と人づくり革命で頭の中がどのようになっているのかとても想像できません。二つを両輪としてデフレ脱却すると言っているわけですが、この三つの言葉「デフレ脱却」「人づくり革命」と「生産性革命」は、実は相矛盾する言葉なのです。両輪だとか、デフレ脱却の政策だなどと言っていますが、私には実態が分かっていないとしか思えません。 これがどのくらい深刻な問題かと言うと、まず、一人当たりの労働生産性を見てみます。日本は少なくともOECDの中では最下位クラスで、あのトラブルを起こしているギリシャよりも低いという惨憺たる状況です。また日本人の総実労働時間は、少しずつ下がってきています。これは就業人口が減っているというやむを得ない面もありますが、同時に、残業などが少なくなってきているということが問題です。 名目賃金の推移 そしてもっと深刻なのが名目賃金です。ヨーロッパとアメリカは、95年からどんどんと上がってきて2倍近くになっています。その中で、日本だけが落ちてきているのです。アベノミクスで反転していると言われていますが、反転などしていないのです。アベノミクスの効果などは全く出ていません。これが日本の実態なのです。
日本では給料など上がっていないのです。そのかなりの部分は、日本が得意だった製造業が中国など他国へ行ったことによるものです。残ったところは給料を上げれば倒産してしまうので上げられません。かつ、シリコンバレーのようなところは日本ではなかなか出てこないということで、付加価値の高い仕事のできる人が非常に少ないのです。 このことは日本にとってものすごく深刻な問題で、賃金が20年間上がっていないというのが現実なのです。この問題をどう捉えるのかが非常に重要なのです。これについて何も危機感を持たずに、人づくり革命、生産性革命と言っているわけです。 今の日本の多くの人は定型業務をやっているので、その定型業務について生産性向上をやろうとすると、その仕事を機械が取っていってしまうのです。そうして自分の仕事を機械に奪われた人たちが、何か全く新しい、機械には出来ないことをしなければいけないのです。 スウェーデンなどは、このことに一生懸命取り組んできたわけですが、日本の場合にはそうした動きはありません。かと言って大学に戻っても、大学の先生もそうしたことを教えられるように社会とともに進歩していっている大学は、ほとんどないのです。そして、こうした状況を、少なくとも私は安倍政権が理解しているとは思えないのです。 このような状況を踏まえて、我々もBBTの大学や大学院で従来の大学とは全く違うことを教えていますが、文科省はそうしたことに対して否定的なのです。もっと伝統的な、アカデミックなことを教えろといい、しかもドクターなどの学位を持った人たちが教えるのが大学というものだと言うのが文科省なのです。 少なくとも安倍政権はそのことを理解していない上に、この名目賃金の比較を見て、こんなものかと怒りもなく、政治問題化しないというところに調子の良さを感じます。この状況を5年間放置してきている安倍政権が、同じキャビネットで同じ人にやらせ、そして同じことを宣言しているということは、最大の問題だと言えるのです。 ▽▼ 2018年1月 秋葉原で170名限定セミナー開催! ▼▽ 満足度90%以上、2018年を占うセミナー投資戦略を考える。 ◆詳細・お申し込みはこちら:http://bit.ly/2xIZThO 講師紹介 ビジネス・ブレークスルー大学 資産形成力養成講座 学長 大前 研一 11月05日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。 詳しくはこちら その他の記事を読む 現行制度が阻む所有者不明土地 有効活用化の実態とは(大前研一) https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL06I32_W7A101C1000000/ 名目賃金、9月は0.9%増 伸び率14カ月ぶり高水準 毎月勤労統計 経済・政治 2017/11/7 9:00 厚生労働省が7日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、労働者1人あたりの名目賃金にあたる現金給与総額は前年同月に比べて0.9%増の26万7427円だった。増加は2カ月連続で、増加幅は2016年7月(1.2%増)以来14カ月ぶりの大きさだった。基本給や残業代、ボーナスの項目全てが増加した。 内訳をみると、基本給にあたる所定内給与は0.7%増、残業代など所定外給与は0.9%増だった。ボーナスなど特別に支払われた給与は前年同月比11.6%増と大幅な伸びを記録した。 物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.1%減少した。減少は4カ月連続。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が0.9%上昇し、実質賃金を抑えた。 パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比2.3%増の1113円だった。パートタイム労働者比率は30.46%と0.33ポイント低下した。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23178360X01C17A1EAF000/ 9月の実質賃金0.1%減、4カ月連続マイナス 経済 2017/11/7 9:02 厚生労働省が7日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で0.1%減少した。4カ月連続でマイナスだった。賃金の増加が物価上昇になお追いつかない現状を映す。厚労省が同日公表した2017年夏のボーナスは36万6502円となり、前年比0.4%増加した。 9月の名目賃金にあたる従業員1人当たりの現金給与総額は26万7427円と、前年同月に比べ0.9%増えた。16年7月(1.2%増)以来、1年2カ月ぶりの増加幅となった。他方、9月の消費者物価指数が0.9%上昇となったため、結果として実質賃金を押し下げた。 名目賃金の内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が前年同月比0.7%増の24万2143円だった。残業代を示す所定外給与は0.9%増。その他特別に支払われた給与は前年同月比で11.6%増加した。 夏のボーナスは人手不足が深刻な中小企業を中心に増えた。事業所の規模別にみると、従業員が5〜29人の事業所では前年比2.0%増、30〜99人の事業所では3.6%増となった。規模が500人以上の事業所は2.8%減った。業種別では医療・福祉(前年比2.8%増)や教育・学習支援業(1.5%増)などで増加が目立った。 http://jp.reuters.com/article/qualcomm-m-a-broadcom-idJPKBN1D62X4 2017年11月7日 / 09:27 / 27分前更新 実質賃金、4カ月連続で減少=9月の毎月勤労統計 1 分で読む [東京 7日 ロイター] - 厚生労働省が7日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報)では、名目賃金に当たる現金給与総額が前年比0.9%増の26万7427円と、2カ月連続で増加した。実質賃金は0.1%減と4カ月連続で減少したが、厚労省は「賃金は基調として緩やかに増加している」としている。
給与総額のうち、所定内給与は前年比0.7%増の24万2143円と6カ月連続で増加した。所定外給与は同0.9%増の1万8913円と、3カ月連続で増加した。
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