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2018年金融市場大波乱は必至の情勢かー(植草一秀氏)
http://www.twitlonger.com/show/n_1sqa9sc
6th Nov 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks
2013年版から刊行を始めた年次版のTRIレポート。
シリーズ第6弾となる2018年版TRIレポートが11月11日に公刊される。
タイトルは『あなたの資産が倍になる』である。
『あなたの資産が倍になる
金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」』
(ビジネス社、税込み1620円)
https://goo.gl/Lo7h8C
これまでのシリーズ5作は以下のとおり。
2013年版『金利・為替・株価大躍動』
https://goo.gl/JiKt6p
2014年版『日本経済撃墜』
https://goo.gl/gX8Pce
2015年版『日本の奈落』
https://goo.gl/FU7wKp
2016年版『日本経済復活の条件』
https://goo.gl/4PGXwA
2017年版『反グローバリズム旋風で世界はこうなる』
https://goo.gl/WutRXu
2017年版のサブタイトルは
「日経平均2万3000円、NYダウ2万ドル時代へ!」
であった。
昨年11月8日の米大統領選でドナルド・トランプ氏が
第45代米国大統領に選出された。
メディアはクリントン氏の当選を確実視したが、結果は異なった。
筆者はトランプ当選の可能性が十分にあると予測していた。
トランプが当選すればドルとNYダウは暴落、
クリントンが当選すればドルとNYダウは急騰するとも予測されていた。
しかし、トランプが当選して、これを境にドルとNYダウが急騰した。
NYダウは
2016年11月4日の安値17883ドルから
2017年11月3日の高値23557ドルまで
ちょうど1年間で5674ドル、31.7%上昇した。
歴史的にも稀有な株価の急騰が観察されている。
2017年版TRIレポートはNYダウと日経平均株価の急騰を予測した。
金融市場では内外株価の反落を予測する見解が圧倒的多数を占めていた。
日本経済新聞などは、NY市場、東京市場のバブルがいつ弾けるのかとの見解を
表出し続けた。
また、中国株価も人為的に買い支えられており、
暴落に転じるのは時間の問題とする見解を表明し続けていた。
日本経済新聞社が『中国バブル崩壊』という書を刊行したのは
2015年10月のことだ。
上海総合指数は2014年7月の2000ポイントから
2015年6月の5178ポイントへ、
1年で2.6倍の急騰を演じたのち、反落した。
その株価下落の局面で上掲書が出版された。
2015年末から2016年初にかけて、
書店の新刊コーナーには中国バブル崩壊、
チャイナ・メルトダウンの類の新刊書が山積みにされた。
このなかで筆者は2016年版TRIレポート『日本経済復活の条件』を上梓した。
このなかで、中国経済は、メルトダウンでなく、
緩やかな底入れを実現する可能性が高いとの見通しを示した。
中国株価の急落は短期間に急騰したものが、その反動で下落しているもので、
下落の底値が2000ポイントから3000ポイントの間にとどまるのであれば、
経済崩壊のリスクは限定的であることを指摘した。
実際に上海総合指数は2016年1月に2638ポイントで底値を記録して、
その後は緩やかな反転上昇を示した。
流れを転換させた最重要イベントは2016年2月に中国上海で開催された
G20会合だった。
この会合で、世界経済の下方リスクが認定され、
参加国の政策総動員の方針が確認された。
中国当局は直ちに5兆円規模の減税策を策定して実施した。
この2016年2月G20が世界経済の流れを転換させる、
最重要のイベントになったのである。
筆者は会員制レポートの
『金利・為替・株価特報』
http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html
で、直ちにG20会合の重要性を指摘した。
結果的に見ても、このG20がトレンド転換の最重要イベントになったことが
確認されている。
金融市場の先を読む「洞察力」が予測の命である。
2018年版TRIレポートでは、2018年の波乱リスクについて詳述している。
ご高覧を賜れればありがたく思う。
なお、新著については、11月13日夕刻にIWJによるインタビューが
生中継される予定になっている。
こちらもご高覧賜れればありがたく思う。
『金利・為替・株価特報』では、2012年10月29日発行号で、
政局転換=金融政策転換=円安進行=株高進行の可能性を指摘した。
そして、2012年11月14日の野田佳彦−安倍晋三党首討論で衆院解散が確定し、
この日を境に円安=株高相場が始動した。
想定した事態が現実化したのである。
11月14日の日経平均株価は8664円だったが、
その後の半年で8割の株価急騰が生じることになった。
『金利・為替・株価特報』では2012年12月25日発行号に
「日経平均株価は18,000円を目指す流れに転じた」と明記した。
この基本観を記述したのが2013年版TRIレポート『金利・為替・株価大躍動』
だった。
2014年版『日本経済撃墜』は、
安倍政権が2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げれば、
日本経済が撃墜されることを警告した書である。
そして実際に、日本経済は消費税増税によって撃墜された。
日本の実質GDP成長率は2014年1−3月期から7−9月期まで、
3四半期連続でマイナス成長を記録した。
鉱工業生産指数は2014年1月から2016年5月まで、
約2年半にわたって下落基調を示し続けた。
消費税増税不況と円高不況が連続して、
日本経済は2014年初から2016年央まで2年半の景気後退期を
経過したのである。
日本政府は2014年1月から2016年5月の景気後退期を隠蔽している。
日本の場合、景気後退、景気拡大は、政府が人為的に決定する。
客観的な決定方式が取られていないのだ。
消費税増税で不況に突入した事実が確認されると、次の消費税増税に差し障りが出る。
このために、2014年の景気後退は、明白に存在したにもかかわらず、
その存在が隠蔽されたままになっている。
本年10月の総選挙に際して、政府は景気回復期間が「いざなぎ景気」を
超えたことをアピールしたが、これも真っ赤なウソである。
真っ赤なウソであるために、安倍首相もテレビでは、
さすがにこれをあまりアピールしなかった。
2015年版『日本の奈落』は、
安倍政権が2015年10月に予定していた消費税率の10%への引上げを
実行する場合、日本経済が奈落に転落することを警告したものである。
結局、安倍政権はこの警告を受け入れて、
2015年9月の消費税増税を1年半延期した。
その結果、日本経済は崩落を免れることになった。
そして、2016年版『日本経済復活の条件』で、
筆者は新興国、資源国、資源価格の底入れを予測した。
圧倒的多数見解の「中国崩壊」、「新たな金融危機」説に対峙して、
緩やかな世界経済改善の予測を提示したのである。
そして、2017年版『反グローバリズム旋風で世界はこうなる』において、
内外株価の大幅上昇を予測した。
日本株価が上昇しているのは、
単なる人為的な「株価吊り上げ」によっているのではない。
株価を決定する最重要のファクターは企業収益である。
この企業収益動向が株価上昇の基本ファクターになっている。
これ以外に日本株価を変動させている要因が、
ドル円、NYダウ、上海総合指数
の三つの変数である。
これらの四つの要因が、すべて日本株価上昇を支える方向に変化しているために
日本株価の上昇が生じているのであり、これは「バブル」ではない。
2017年版TRIレポートも、
2017年の金融変動を的確に予測し得たと自負している。
順風満帆の2017年に対して、
2018年は、いよいよ波乱の目が広がることになる。
米国の金融政策、日本の財政政策が焦点になる。
アベノミクスの評点は全体として「落第点」である。
実質経済成長率が民主党政権時代よりもかなり悪い。
民主党政権時代自体が暗闇の経済であったのだから、
これより悪いというのは深刻なことなのである。
そして、労働者の実質賃金が5%もダウンしている。
あの民主党政権時代でさえ、実質賃金はほぼ横ばいだった。
圧倒的多数の主権者にとって、最重要の経済指標は実質賃金指数である。
これが5%もダウンした。
アベノミクスの評点が落第点になるのはやむをえない。
アベノミクス下で良くなったものは次の五つだけだ。
名目GDP
雇用者数
有効求人倍率
大企業収益
株価
安倍首相は、これだけを長々としゃべる。
だから、これだけを聞いた人は、日本経済が良くなったと勘違いする。
しかし、これは大学入試に失敗した人が、
「あの計算問題は解けた」とか「あの漢字の読み方問題は解けた」と
負け惜しみを言っているようなものだ。
安倍首相は、日本の名目GDPが
2009年の489兆円から2016年の537兆円に増えたと自慢している。
しかし、これは、2006年の530兆円の名目GDPを自民党政権が
2009年に489兆円に減らしたものを元に戻しただけのことで、
自慢できるような代物でない。
大企業収益増大と株価上昇は事実だが、上場企業の数は約4000社。
日本の法人数400万社の0.1%に過ぎず、1%対99%どころか、
0.1%対99.9%の0.1%の側の話に過ぎないのだ。
雇用者が増えた、有効求人倍率が上がったと言うが、
全体として減った所得を分け合う人数だけが増えたということに過ぎない。
そんなに喜ぶべきことではない。
政治経済金融を正確に分析して、
正確に洞察することが、経済政策論議をするうえで不可欠の前提条件になる。
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