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新紙幣はポリマー素材でできている
イギリス旅行に潜む罠 まさかのムダ遣いを強いられる理由
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171028-00000002-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 10/28(土) 13:00配信
「こんなにたくさんのお菓子、どうするの! うちのマンション中にお土産を配ろうっていうの!?」
4泊6日のロンドン出張から帰国した30代男性のKさんは、妻にそう怒られたという。Kさんは、スーツケースとは別に「Duty Free」と書かれた大きなお土産を抱え帰宅した。さらに、両手では持ちきれずに空港から宅配便で送った大量のお土産が届き、その中身が(妻が喜ぶブランドモノではなく)お菓子やイギリスの国旗柄のTシャツ、マグカップなどだったことで、妻が激怒したのである。
普段は出張や旅行に行っても必要最低限のお土産しか買わない、どちらかというと倹約志向のK氏が散財したのには理由があった。同氏が語る。
「出国時、空港で1000ポンド分(約15万円)、両替したのです。受け取ったのは10ポンド札と20ポンド札の束でした。上司と一緒で、私が2人分の支払いをしなければならず、現地での飲食代やタクシー代などを考えて、余裕を持って1000ポンド。スケジュールに1日空きがあって、初めてのロンドンだったから観光しようと思っていたので、その費用も勘案しました」(以下、「」内はKさん)
出張自体は順調だった。予定通り、現地の取引先との打ち合わせを次々にこなし、新たな契約見込み先も紹介してもらった。だが、スケジュールが空いていた帰国前日──現地駐在の日本人の案内で市内観光していると、思わぬことを告げられた。
「『日本で両替してきたポンドは、新札への切り替えでもうすぐ使えなくなるから注意してください』というのです。なんでも、日本での両替で受け取った旧10ポンド紙幣は来年の前半には使えなくなり、20ポンド紙幣も数年以内に切り替えが予定されているという。
さらに1ポンド硬貨と5ポンド紙幣は切り替わったばかりで、旧1ポンド硬貨はこの10月までで使えなくなる、旧5ポンド紙幣は5月で使えなくなったからお釣りを受け取るときに注意──と、要するにあれもこれも切り替えらしいのです。でも、貨幣の種類が多い上に手元にあるお札やコインが新しいのか古いのかわからなくて…」
Kさんが混乱したのも無理はない。整理すると、以下の通りだ。
・1ポンド硬貨──旧硬貨は円形。2017年3月に12角形の新硬貨がお目見えし、旧硬貨は10月に店頭で使用不可に。イギリスの王立造幣局によると、旧硬貨は偽造されたものが大量に出回っており、市場にある3%程度が偽造だったため、偽造対策として切り替えられた。
・5ポンド紙幣──2016年9月に新紙幣が登場。2017年5月に旧紙幣は使えなくなった。新紙幣はポリマー素材でできたツルツルのもので、洗濯しても破れないという。
・10ポンド紙幣──2017年9月に新紙幣が流通し始めた。旧紙幣は2018年前半に使えなくなる(具体的な日付は3か月ほど前に発表される)。新5ポンド紙幣と同様、新紙幣はポリマー素材。
・20ポンド紙幣──2020年に新紙幣が流通予定。
イギリスはこのほかにも1ペニー硬貨(1ポンドの100分の1の価値)、2ペンス硬貨(ペンスはペニーの複数形)、5ペンス硬貨、10ペンス硬貨、20ペンス硬貨、50ペンス硬貨、2ポンド硬貨、50ポンド紙幣など多種多様な貨幣があり、“旅行者を混乱させる通貨”として知られている。
ポイントは、新しいお札や硬貨が発行されてから、1年も経たないうちに使えなくなるということだ。
Kさんがそのことを知った時点で、現金はざっと10万円分余っていたという。イギリスは予想以上にクレジットカード社会で、タクシーはもちろん、地下鉄の切符もクレジットですぐ買える。だからあまり現金を使う機会がなかったのだ。
「現金が余ったら次回の旅行で使おうかと思っていたし、現金があったほうが安心だからと途中までクレジットカードを多用していたのですが、これは帰りの空港で使ったほうがいいと思いました。
まず100ポンド(約1万5000円)くらいでブランドモノのサングラスを買ったのですが、途中からどのお札がいつまでに使えなくなるかワケわからなくなってしまって。とにかくお菓子などを買っていってお土産として配ればいいかと思い始めたら、持ちきれないほど大量に買い込んでしまいました……」
ちなみに、イギリスでも旧紙幣は店舗では使えなくなるものの、銀行に持ち込めば、新紙幣に交換してくれる。Kさんはそれを知らずに全部お土産にしてしまったらしい。
日本の場合、新紙幣が流通しても旧紙幣が店舗などで使えなくなることはない。日本銀行ホームページによると、「1946年に発行され、1958年に発行停止された二宮尊徳の1円札」「1946年に発行され、1955年に発行停止された5円札」を始め、現在発行されていない紙幣も額面通りの金額として利用できるという。記憶に新しいところでは、1986年に発行停止された「聖徳太子の1万円札」も利用できる。
財務省関係者は、「日本でも実際にはお店で古い札を出したら、『偽札かどうか見分けられない』『そもそも見たことがない』などの理由で受け取り拒否されることもあるかもしれませんが、少なくとも制度上は『有効』です」という。
慣れない通貨と切り替えに混乱して思わぬムダ使いをしたKさんだったが、イギリス旅行を控えている人は同じミスをしないようくれぐれもご用心あれ。
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