これも面白い https://www.mckinsey.com/global-themes/urbanization/urban-world-cities-and-the-rise-of-the-consuming-class Urban world: Cities and the rise of the consuming class http://diamond.jp/articles/-/146793 2017年10月27日 週刊ダイヤモンド編集部 2025年に世界上位200都市の1/4は中国が占める!マッキンゼーが予測
リチャード・ドッブス(マッキンゼー&カンパニー 英国オフィス シニア・パートナー) 類書が多数ある中で、今年1月に出版された『マッキンゼーが予測する未来』は、日本で4万人以上の読者を獲得した。その共著者の一人で、東アジアの情勢に詳しいドッブス氏に日本の課題を聞いた。(週刊ダイヤモンド編集部 池冨 仁) リチャード・ドッブス/マッキンゼー&カンパニー 英国オフィス シニア・パートナー Photo by Shinichi Yokoyama ──世界経済で起こり得る出来事の超長期の予測をまとめた著書では、さまざまなトピックを扱っています。その中に「2025年までに世界の上位200の都市のうち46都市は中国圏になる」という予測があります。なぜ、約4分の1が中国になるのですか。 将来の世界経済の行方を考えると、従来は当たり前のように考えていた「国」という単位ではなく、今後は「都市」という単位が非常に重要になってくるからです。 私たちの予測では、25年までのグローバル経済をけん引する要因の4分の3は、新興国市場から来るもので、その多くは中国の都市になる。急激な都市化の進行により、国という単位を超えた大きな経済圏が続々と生まれてきます。 ──国の単位を超える経済圏とは、どのようなものですか。 一例を挙げると、中国の北東部に天津(てんしん)という都市があります。 現在、この都市におけるGDP(国内総生産)はスウェーデンの首都ストックホルムと同じくらいです。ストックホルムは、欧州圏では今後も成長が見込まれる都市ですが、天津のGDPはその勢いを上回るスピードで成長します。25年には、天津はスウェーデンという国と遜色ない経済規模にまで到達すると私たちは見ている。 先進国の企業経営者は、北京のことは分かっても天津については知らないことが多い。しかし、世界には「自分たちの目に留まっていない都市でも急成長している所がある」という現実を見逃してはいけません。例えば、「東京のGDPは、すでにカナダという国と同じ規模だ」と聞くと、多くの日本人は驚くのではないでしょうか。 ──今回の著書では、中国の46都市は全て軽重を付けて挙げられていますが、日本の都市については挙げられていません。 ちょっと待ってください(手元のスマートフォンを操作する)。 それは、私たちが米アップルのアップストアで無償提供している「Urban World」というアプリケーションで調べることができます。25年時点の上位200都市のうちでは、札幌、仙台、宇都宮、東京、浜松、名古屋、大阪、岡山、広島、福岡の10都市が入っています。 このアプリでは、世界2600都市の状況について、今日現在のGDP実測値と25年時点のGDP予測値などを比較できます。 ──なぜ、錚々(そうそう)たるグローバル企業をクライアントに持つコンサルティングファームが、無償アプリを公開しているのですか。 やはり、世界の企業経営者や政策決定者などに、「従来とは全く異なる現実を前にして、私たちは直観力をリセットする必要がある」ことを知ってもらうためです。 過去の分析などから、常識だと考えていたことでも、「それらの大半が間違っているとしたら、どうするか」という前提に立つ。 今回の本を英ロンドン、米シリコンバレー、中国の上海に拠点を置く3人のコンサルタントが共同執筆したことも、同じ問題意識からでした。台頭するこれらの地域は、都市という単位で“経済活動とダイナミズムの重心”となっている。大きな歴史のうねりの中で、経済の重心地というものは、移動していくものなのです。 日本の経営者は1週間シリコンバレーに行け ──ところで、コンサルティングファームは、激務で知られています。日常的には、どうやって調査活動と両立させるのですか。 私たちの調査活動機関、マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)は年間に12件ほどの調査を行います。MGI活動のリーダーとなるコンサルタントは50%をMGI向けの仕事、50%を通常のクライアント向けの仕事と自分の時間を割り振ります。 その下で働く、調査案件ごとに関与するコンサルタントは、クライアント向けの仕事を離れ、一定期間だけMGIの仕事に100%コミットすることになります。 ──「アップ・オア・アウト」(昇進か退社か)の厳しい社内競争がある組織で、一時的にお金を稼がない人が存在するのですか。 その通りです。マッキンゼーには、世界中に約9000人のコンサルタントがいます。組織として重視している調査活動である以上、問題なくやっていけるのです。 ──なぜ、マッキンゼーは、年間で4億〜5億ドル(約450億〜約560億円)もの大金を調査活動に費やしているのですか。 端的に言えば、クライアントに必要としてもらうために、(1)アイデアがないといけない、(2)新しい考え方を知らないといけない、(3)それをどうやってビジネスに適応させていくかというテクニックが必要になる、などからです。 私たちは、やはり洞察力(インサイト)を得たい。それをグローバルに追求している組織だという言い方もできます。そのためには、お金も、時間も、労力も、惜しむものではありません。お金もうけのためというより、優秀なメンバーと優れた洞察力を生み出すことの方が重要だと考えています。 マッキンゼーの卒業生は、米国の雑誌「フォーチュン500」で選ばれる有力企業の経営幹部などに転身するケースが非常に多い。 ──俗に「マッキンゼー・マフィア」と形容される影響力ですね。 いや。それは「リーダーシップ・ファクトリー」と言ってほしい(笑)。実際のところ、調査活動ばかりでなく、人材育成にも多額の費用を投じています。その結果として、産業界などで活躍するリーダーを数多く輩出してきました。 『マッキンゼーが予測する未来』 リチャード・ドッブスほか著 吉良直人訳 (ダイヤモンド社 1800円) ──ドッブスさんは、インドや韓国などにも駐在経験があります。日本は、東アジアの中で相対的な地位が落ちていると感じませんか。
実は、私が1988年にマッキンゼーに入社して最初に取り組んだ仕事は、日本のある金融機関の英国における戦略をアドバイスすることでした。 それ以来、ずっと考え続けています。振り返れば、日本の産業界のピークは88〜99年でしたね。金融、家電、自動車などは世界の市場を席巻しました。その後、グローバル展開では、韓国や台湾、そして米国の巻き返しで、日本は後れを取りました。ここで重要なのは、米国が復活したことです。 ──なぜ、米国が復活したことが、日本にとって重要なのですか。 これまで誰が、いったんは退場したに等しかった家電で、アップルなどの隆盛によって米国企業が盛り返すと考えたでしょうか。同じく、凋落が続いた自動車では、いま世界で最も革新的なメーカーは電気自動車の米テスラです。 日本の経営者には、米国のビジネススクールで勉強した方も多いですが、25年以上も前の知識に頼らず、いまならシリコンバレーに1週間滞在するなどして“視野を広げる”べきです。さらに、“自社内での競合を恐れず、新しいサービスを始める”ことです。 日本は米国の復活に学ぶことができる。直観力をリセットすれば、再びグローバル市場に出ていけるはずです。 リチャード・ドッブス(Richard Dobbs)/1966年、英ロンドン生まれ。オックスフォード大学で工学と経済学を専攻した後、88年に米マッキンゼー&カンパニーの英国オフィスに入社。米スタンフォード大学ビジネススクールに留学後、EU諸国からインド、東アジアまでの国・地域において、さまざまな分野のコンサルティングを手掛ける。2009〜16年、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートのディレクターを兼務した。https://www.mckinsey.com/mgi
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