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「年金の受給漏れ」に遭わないためのカンタン自衛策(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/17/hasan123/msg/698.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 9 月 20 日 19:20:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


「年金の受給漏れ」に遭わないためのカンタン自衛策
http://diamond.jp/articles/-/142709
2017.9.20 深田晶恵  ダイヤモンド・オンライン


振替加算だけで約600億円!
年金支給漏れの背景とは?


 先週、9月13日、厚生労働省は10万6000人に対し約598億円公的年金の支給漏れがあったと発表した。情報システムの不備や事務処理ミスが原因で、公務員だった人の妻を中心に「振替加算」という制度で発生したという。同じ仕組みの年金未払い額としては過去最大規模となる。

 多くの人が「支給漏れ、またか」と不信感を募らせていることだろう。あるいは「公務員だった人関連なら、自分には関係ない」と思う人もいるかもしれないが、“多くは”元公務員の妻というだけで、元会社員の妻も支給漏れに遭っているので他人事で済ませてはいけない。

 新聞各紙、厚生労働省の説明資料に一通り目を通してみると、システムの不備と情報データの連携不足が主要因であることは間違いない。年金機構や共済組合のコンピューターシステムが現行のままだとすると、支給漏れは今後も起こりうると危機感を持った。

 読者のみなさんが、将来年金の支給漏れに遭わないためには、どう自衛するといいのかを考えてみたい。

 その前に、まず今回の支給漏れの背景と要因について解説しよう。キーワードは「加給年金」、「振替加算」、「妻が65歳になったとき」の3つである。厚生年金・共済年金の年金には「20年加入して一人前」という考え方がある。勤め人として20年以上の加入期間があると、年金制度で各種特典があると覚えておこう。

 図を使ってケースで見てみる。前提条件は「夫は、厚生年金か共済年金に20年以上加入した、(年金制度的に)“一人前”の人、妻は専業主婦の期間が長く、勤め人を20年したことがない“一人前ではない”人」の組み合わせだ。妻は夫の3つ年下とする。



 夫は自分の年金が1階と2階が満額支給になると、年金の家族扶養手当の意味合いの「加給年金」が上乗せされる。加給年金受給の要件は、「厚生年金か共済年金に20年以上加入していること(一人前)」と「配偶者は厚生年金か共済年金の加入期間が20年以上ないこと(一人前ではない)」である。図の通り、加給年金は夫につくものだ。

 妻が65歳になると、夫の加給年金はストップし、妻の老齢基礎年金に上乗せされるのが「振替加算」だ。振替加算は、妻自身の年金となる。

 今回、支給漏れとなったのは、この「振替加算」の部分。夫は加給年金を受給していたが、妻が65歳になった時点で加給年金がストップしたにもかかわらず、妻に「振替加算」がされなかったというわけだ。それが、1991年以降、10万6000人も該当するのは、衝撃の事実である。

支給漏れの発生要因は
システム処理の不備と事務処理ミス


 厚生労働省の説明資料を読むと、支給漏れは総点検の結果、4つの事例に分類されるとある。4つのうち3つは、システム処理の不備と事務処理ミスだ。

 そもそも、公務員が加入する共済年金と日本年金機構のコンピューターシステムは別物である。2015年10月に共済年金が厚生年金に一元化されたが、システムが完全一致しているわけではない。

 説明資料の図には「各共済組合」「年金機構」「(年金機構の中に)共済データベース」の3つのシステムがある。資料を読む限り、システムがシステムだけで相互機能していないため、補足的に「手入力」や「プリントアウトした紙でチェックして不備があれば、手で修正する」作業を長年行っていたようだ。

 資料にある一例では「年金機構は、妻65歳時に夫の加給年金が終了したという情報を受け取ったが、夫の加給年金開始情報は受け取っていなかったため、年金機構の中にある共済データベースには加給年金終了情報が収録されていない。このため、妻に振替加算がされなかった。補正の仕組みが用意されていたが、機能していなかった」というケースがあった。

 これを読んだとき、コンピューターがない時代の処理か!と、唖然とした。他の事例も似たようなものだ。本来コンピューターで漏れなく処理すべきものが、共済組合と年金機構のシステムが異なるため、手作業で情報処理をしてきたため起こったミスだ。

 どんな場合でも多少の作業ミスは起こるものであるが、振替加算の支給漏れは2003年にも約300億円の規模で発生しているにもかかわらず、今回、それを上回る漏れが発覚したということは、その時の対策が万全ではなかったということだ。

 資料を一読したときは、厚労省は「日本年機構と共済組合の情報連携不足」と発表しているが、公務員の妻(第3号)の手続きは共済組合が行っているなら、共済組合の事務処理ミスに原因があるのではないかと考えた。

 しかし、よく読み込んでみると、共済組合と年金機構のシステムが2つ以外に「共済データベース」なるものがあり、その共済データベースの処理がどちらで滞っていたのか今の時点ではわからないので、一概に共済組合の処理ミスとも言いがたい。

 犯人捜しよりも重要なのは、年金を支給する側は、一刻も早く「万全なシステム」を構築すること、受け取る側である私たちは「現状のシステムのままだと支給漏れに遭う可能性は高い」と思って、自衛することだ。

妻が年上だと
仕組みはもっと複雑!


 厚労省の点検結果の事例4は「お客様からの届け出漏れ」とある。これは、妻が夫より年上のケースで起こる。

「年上の妻」を持つ夫は、妻が先に65歳になるため加給年金は受け取れない。このことは、退職セミナーなどでも説明があるので、該当する人は「年下妻、いいなぁ」と思いながら聞いているので知っている。

 しかし、夫が加給年金を受け取れないケースでも、妻は振替加算を受け取れることは、ほとんどの人が知らない。夫が加給年金を受け取れる要件の年齢(昭和24年4月2日以降の生まれだと65歳、それ以前の生まれだと60代前半でも受け取れる)になると、妻は「振替加算」を受け取れるのである。妻が振替加算を受給するには、妻が年金事務所で届け出をする必要がある。

 下記のケースだと、夫が65歳のときに妻は届け出をすることにより、振替加算を受給できるようになる。



 事例4の支給漏れは、約1万2000人、金額は128億円。多くは夫が共済年金受給者とのことだが、会社員の妻でも同じことが起こりえるだろう。

 恥ずかしながら、私は「年上の妻は、自ら手続きを取らないと、振替加算が受け取れない」ということを今回初めて知った。複雑だからこそ、システムで処理されているものだと思っていた。勉強不足を棚に上げるようだが、FPとして年金制度全体の勉強をしていても知らない実務がある。このようなケースほど、システムで自動処理すべきであろう。

年金制度は一から勉強せずに
「自分のケースの形」だけ覚える


 日本年金機構は、今回の振替加算支給漏れについて、おおむね11月15日に支払うように事務を進めるとしている。該当する人は、支給漏れ分を随時受け取ることができるだろう。

 ただし今回露見したシステム不備を見ると、今後も振替加算以外にも支給漏れが起こる可能性はあると思う。そういった前提で自衛策を考えてみよう。

 年金制度をしっかり知ろうと思って、年金の本などで一から勉強するのはお勧めしない。年金の本は、「日本の年金制度」から始まり、保険料、老齢年金、障害年金、遺族年金などが個別に幅広く学習できるようになっている。しかし、専門家でない限り、全部を知る必要はない。

 しかも、年を取ってから受け取る「老齢年金」は改正に次ぐ改正で、その都度「経過措置」が取られているため、生年月日により異なることが多いのである。生まれ年が違う人の年金については知る必要はない。年金制度は「自分のケース」と「配偶者のケース」だけ知っておけばいいのだ。

 勤務先で「退職セミナー」があるなら、その時に年金制度の説明があるはずだから、必ず参加しよう。そういった説明会がないなら、「定年退職に備える本」などといったムック本(大型の雑誌の大きさの書籍)を購入し、自分が受け取れる年金の「形」を覚えておく。何となくでもいいので基礎知識を持ったところで、夫婦で年金事務所に相談に行くのと理解が早い。

 日本の社会保障制度は優れたものが多いが、ほとんどが「申請主義」なので、自分で手続きをしないとお金を受け取ることはできない。つまり「社会保障は知らなきゃソン」だと覚えておこう。

((株)生活設計塾クルー取締役 ファイナンシャルプランナー 深田晶恵)


 

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