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橋本真里子さん(写真:フジサンケイビジネスアイ)
最後の現場は「とにかくひどかった」… 34歳で一念発起、元受付嬢が“独学”で起業できた理由
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170908-00000500-fsi-bus_all
SankeiBiz 9/8(金) 7:30配信
こんにちは。受付嬢から起業家に転身したディライテッドCEOの橋本真里子です。これまでの私の受付嬢人生についてお話した前回に引き続き、第二回の今回は、キャリアの集大成となったGMOインターネットでの経験を紹介します。実はここでの経験があったからこそ後の起業へとつながったのです。
GMOインターネットは、102社(2017年6月時点、連結)からなる巨大ITネットワーク「GMOインターネットグループ」の代表企業。勤務先の超高層オフィスタワーには約2000名の従業員。GMOインターネットと契約を交わした私でしたが、実際はさらに大役の「グループ総合受付」として就業しました。受付嬢として一番長く勤め、学ぶことが非常に多い環境でした。今ではGMOインターネットには本当に感謝しています。
ですが、入社してまず感じたことはこうでした。「とにかくひどい」。
◆とにかくひどかった受付現場
入社当時の受付スタッフは計4名。受付リーダーを長年務めていた方が退職し、後釜を探していたGMOインターネットが私のキャリアに目をつけてくれたのです。
入社してまず感じたこと。それは「とにかくひどい」でした。なにがひどいかと言うと「モチベーションが低い」「ビジネスマナーがなってない」「リーダー不在によるわがまま放題」−。受付として会社の最前列に立っている意識が全くなかったのです。スタッフからは社会人としての自覚すら感じられません。しかし、同時に「リーダーとしてこの全てを改善する」と覚悟を決めました。
モチベーションを上げるには、前々職のUSENでの経験が生きました。当時、USENの受付は6名体制。固定メンバーが4名、残り2名はグループの芸能事務所からアルバイトとして日替わりで派遣されていました。このような体制下で意思統一を図るのは至難の業。GMOインターネットの受付嬢のモチベーションが上がらない様子を見て、「見たことがある光景だな」とその当時を思い出しました。
まずはスタッフとコミュニケーションを取り、それぞれの個性をつかむ努力をしました。次にスタッフの中で自分が一番働くようにしました。自分の説得力が増しますし、受付一人が変わるだけでも社員やお客様が受ける印象は違ってくるからです。
ときには理不尽な思いをすることもありました。あることないことを言われたり、新方針に共感できないメンバーが去っていったり、組織を改革するのは簡単ではありませんでした。
でも、それ以上にやり甲斐がありました。「この現場に必要とされている」「これまでのスキルが今の自分を支えている」と毎日身に沁みて感じていたから仕事を続けられたのです。
いつのまにかストレスも消え、協力してくれた仲間たちと理想的な受付を作り上げることができました。社員やお客様からも「とてもいい受付だね」と声を掛けてもらうようになり、リーダーとしての役目を果たせた達成感に満ち溢れました。「もう私がいなくても大丈夫だな」。そして次のキャリアを考え始めたのです。
◆起業は「独学」 無縁のビジネス用語…それでも投資家と会え!
私の受付人生を振り返ったときに「もう10年になるのか」と思いました。前回も触れましたが、一般的に「受付嬢」は、一生は続けられません。秘書やアシスタントへの転身も多く、私が一緒に働いてきた仲間でも10年以上続けている人はいません。10年続けてきた私のキャリアは大変貴重なのです。
この“日本一”のキャリアは、これまで勤めた企業の社員、受付対応したお客様、ともに働いた仲間らに支えられて築けました。「私もみんなの役に立ちたい」「みんなに恩返しがしたい」−。この一心で、社会に貢献できる事業を立ち上げようと決めました。
起業のタネは意外と近くに落ちていました。現場に立っていたことから、受付業務の改善点や効率化ポイントがあちこち目についていた私は、これらの課題を解決できないかと考えました。「誰もやらないなら私がやるしかない」。
起業は会社勤めと並行して「独学」で進めました。IT系企業の受付だった私は、幸運なことに「起業家」「ベンチャー」といった環境がとても身近にありました。業務時間外はとにかく起業家や投資家に会い、徹底的に情報を集めたのです。そこでも「資本政策」「資金調達」など受付嬢とは無縁のビジネス用語が飛び交います。会話についていけるよう、空いた時間はネットでの情報収集も欠かしませんでした。
あとは起業に家族は同意したのか、気になるところだと思います。実家はサラリーマン家庭でしたし、すごく心配されたり、止められたりするのだろうなと早合点していました。なので、会社を登記し、GMOインターネットも退職する態勢を整えてから報告しました。「相談」ではなくあくまで「報告」です。(笑)
予想に反して、家族はすんなり受け入れてくれました。きっとこれまでの仕事への姿勢を見ていてくれたからでしょう。
起業すると決めてからは、とにかく発信し続けました。「起業しました」「こういうことをやります」「仲間を集めてます」といったことです。
自分一人で漕ぎ出した小さな舟です。自分一人でできることなんて微々たるものです。自分を支えてくれて、実現したい世界に共感してくれる仲間が必要でした。仲間と言っても社員だけでなく、応援してくれる起業家や投資家も仲間です。そう言った仲間をどれくらい集められるかが、起業のスタートを切るのにとても重要だと思います。
いよいよ、私の小さな舟に乗ってくれる「仲間集め」を始めました。長くなりそうなので、つづきは次回にお話しますね。
【プロフィル】橋本真里子
はしもと・まりこ ディライテッド株式会社代表取締役CEO。1981年11月生まれ。三重県鈴鹿市出身。武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)英語英米文学科卒業。2005年より、トランスコスモスにて受付のキャリアをスタート。その後USEN、ミクシィやGMOインターネットなど、上場企業5社の受付に従事。受付嬢として11年、のべ120万人以上の接客を担当。11年という企業受付の現場の経験を生かし、もっと幅広い受付の効率化を目指し、16年1月にディライテッドを設立。17年1月に、クラウド型受付システムRECEPTIONISTをリリース。
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