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2033年、日本のマンションがスラム化する 怖すぎる未来の年表A
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52270
2017.09.06 週刊現代 :現代ビジネス
■2033年団地やマンションがスラム化
「これから空き家が大問題になるのは首都圏です。郊外に暮らしてきた団塊の世代が2023年には後期高齢者となり、施設に移るなどしますが、その家の引き取り手がいない。売りに出そうにも需要はない。
結果、大量の空き家が発生します。世田谷や杉並、練馬といった土地でも、駅から少し離れた場所では、そういった状況になっていく」(オラガ総研代表・牧野知弘氏)
野村総研の推計によれば、2033年には日本全国の3戸に1戸が空き家になっているという(ページ末の図参照)。総住宅戸数は約7126万戸へと増大、空き家数は約2167万戸にもなる。
「戦後、マンションや戸建てが建設され、住宅の供給が続けられてきましたが、これは現在から見れば供給過剰でした。
今後の首都圏では、駅から少し離れれば、団地もマンションも、買い手がつかず、商品価値がなくなってしまう。家やマンションが、毎年固定資産税を食っていくだけの不良債権となるのです。
空き家率が30%を超えた地域は、治安が著しく悪くなると言われています。そうした地域はスラム化したり、犯罪の温床になったりする可能性が高い」(前出・牧野氏)
高齢化率が高い地域は、とくに空き家率が高くなりがちだ(ページ末の図参照)。
さらに、こうした場所ではインフラの問題も深刻化する。
老朽化するインフラ整備にかける予算は年々増加しており、国土交通省によれば、2033〜2034年にかけて、最大の5兆5100億円が投じられると見られている。インフラ問題に詳しい東洋大学の根本祐二教授が指摘する。
「日本では1970年代がインフラ投資のピークで、その耐用年数は50〜60年程度。それゆえ、'20〜'30年代に改修のピークを迎えます。
しかし、全国のインフラを一気に改修する財源はとても捻出できない。そのために、インフラの老朽化だけが進んでいくのです」
事故もすでに起きている。'12年には山梨県の笹子トンネルの崩落が、'13年には浜松市の弁天橋のワイヤー切断、'14年には京都市の水道管破裂が起きた。根本氏が続ける。
「水道管は、水圧をかけて流しているため、ほんの小さな穴があいただけでも、破裂してしまう。そうなると、一旦水を止め、修復をするために半日くらい断水することがあります。
また、吹き出す水の圧力は強く、非常に危険です。しかし、今後はこうした事故が頻発しかねない」
学校や図書館などの公共の建物にも改修が必要なものが多いが、手つかずのままになる。
■2036年東京でバスの本数が激減する
過疎地では、利用者が激減し、バスや電車といった公共交通機関の本数が減っていく。国土交通省によれば、'00〜'13年に鉄道は35路線、バス路線に至っては、'06〜'11年で1万1160km分の路線が廃止された。
「バス、電車の本数が減るのは、地方だけの問題ではありません」と言うのは前出の河合氏だ。
「東京では、別の理由から公共交通の本数が減る可能性が高い。現在でも、高齢者は乗り降りにひと苦労で、バスが遅れることがありますが、東京都は高齢者がこれからの20年間で100万人以上増えると見込まれている。
今後、そうした遅れが激増するのは確実です。車椅子の人が電車を使うことも増えますが、いま駅に設置されているエレベーターでは輸送力が足りず、大混雑することが予想される。バス会社や鉄道会社は本数を減らさざるを得ないのです。
これからの東京は、いままでのように『若者』『ビジネスマン』のリズムに合わせて動かない。時間ピッタリに電車やバスが来ると考えないほうがいい」
実際、国土交通省は、'16年度の「交通の動向」で、2036年に高齢者の割合が約33%となること、高齢者のバス、鉄道の利用率が高いことを指摘し、高齢者、障害者が使いやすい交通機関の設計が喫緊の課題だとしている。
2037年には、高齢者の人口がピークに近づく。そのことで、現在よりもさらに危機が深刻化するのが、新聞社である。なぜか。
『新聞社 破綻したビジネスモデル』の著者で毎日新聞元常務の河内孝氏が言う。
「インターネットの出現で情報の入手経路が無限に広がる中、現役世代のビジネスマンはまだしも、年金を受け取っている人が新聞に3000〜4000円という額を払うとは考えにくい。この頃までに、新聞への需要はさらに減るでしょう。
アメリカではアマゾンのジェフ・ベゾスがワシントンポスト紙を買収しましたが、あれは世界に発信する媒体だからこそ。日本の新聞の魅力は低い。新聞業を止めて、別のことをやる新聞社も出てくるかもしれない」
人口の変化で、社会の基本的な形が大きく変わるのだ。
■2039年所得税率が50%に
200万円の自動車を買おうとすると、実際には280万円を支払わなくてはならない。
給与明細を見ると、額面の大半が税や保険料として徴収されている――2039年には、そんな風景が現実になる。
現状のままいけば、いまから20年ほどで、年金をはじめとした社会保障制度が破綻するという指摘は多い。
「年金の支給額は目減りしていきますし、これから給付開始年齢も引き上げられるでしょう。しかし、延命策をとっても、少子化という根本問題が解決されない限り、この仕組みは崩壊してしまう。仕組みの前提が崩れてしまうのです。
あと20年もすれば、支給額がほぼゼロになるといった『制度の終わり』が見えてきます」(社会保険労務士の北村庄吾氏)
となると、不足分を補填するための消費税や所得税の増税は、待ったなしだ。
実際、'09年には経団連が、'25年までに消費税を17%に引き上げるよう提言している。さらに過激な提案もある。
アトランタ連邦準備銀行シニアエコノミストのリチャード・ブラウン氏は、日本の財政安定のためには、消費税を恒久的に33%にしなければならないと試算したのだ。
また、南カリフォルニア大学のセラハッティン・イムロホログル教授は、'19〜'87年の間、約60%の消費税率にすることを提案している。こうした数字をもとに税率の引き上げが行われ、消費税が40%程度になる日は差し迫っている。
所得税率も上がる。現在も年収が4000万円を超えると税率は45%となるが、この税率がひとつの「基準」となり、一般的な収入の国民にも適用されることになる。
現在、年収695万〜900万円の場合、税率は23%だが、これが45%となり、最高税率は50%を超える率まで引き上げられるだろう。
■2040年 119番をしても救急車が来ない
現在でも都市圏では、救急車が来ても搬送先が見つからず、たらいまわしにされたりするケースが指摘される。とはいえ、119番をしてから到着までの平均時間(全国)は10分を切っており、「電話をすれば救急車が来てくれる」状況にある。
ところが、今後の日本では、救急車に来てもらえることが「幸運」と考えられるようになる。
体に不調をきたしやすい高齢者が増えることによって救急車を呼び出す回数が増加。
出動数が増え、常に救急車が来てくれるとは限らなくなる。
とくに都市圏での状況は深刻だ。札幌市消防局が'15年に行った推計によれば、'10年には7万5575件だった救急出動数が2040年には、10万6899件と、なんと約1.4倍にまで膨れ上がることになる。
しかも、若者の人口減少で救急医療の専門家を十分に確保するのは難しい。救急車を必要とする人は増えるのに、対応できる人は激減するアンバランスな状況となる。
受け入れ先の病院でも人材の確保が困難となる。'13年には、埼玉県で、呼吸困難を訴えて119番した75歳の男性が、25病院から36回搬送の受け入れを断られ、2時間半後にようやく受け入れられた病院で死亡したが、人手不足の影響で、こうした「たらいまわし」のケースが増加すると考えられる。
救急車が来ないのならタクシーを使おうと考えるのが普通だが、実はそれも難しい。都市圏ではタクシー運転手の人手不足に加え、多くの車両は高齢者の「専用の足」として利用されており、使いたい時に使えるとは限らない。
さらに恐ろしいのは、自衛隊や消防隊の人手不足だ。いまでこそ、台風や地震など災害の際に、救助活動が行われるのは当たり前と捉えられている。
しかし今後は、台風などで広い地域に被害があった場合、ひとつの地域に救助が集まり、別の地域は切り捨てられる、ということが起きるのだ。
■2053年人口が1億人を割り経済は「世界7位」に
2053年には人口が9924万人となり、1億人を割り込むことになる(国立社会保障・人口問題研究所〈社人研〉の推計)。ピーク時の'95年に約8726万人だった生産年齢人口は、約5119万にまで落ち込む。
「人口というのは、ある意味国力の基盤です。母数が多ければ多いほど、優秀な人材が出てきますし、逆に少なければ人材も生まれづらく、切磋琢磨も起きない。
ビジネスにおいても、チャンスが少ないので失敗を許されず、チャレンジをすることができません。手をこまねいていれば、経済は停滞していきます」(前出・河合氏)
働き手が減り、イノベーションが起きない日本の経済力は低下していく。イギリスのコンサルティング会社・PwCが'15年に行った推計によれば、'50年の日本のGDPは世界7位になる。
中国、インド、アメリカは当然のことながら、インドネシア、ブラジル、メキシコにも抜かれ、小国になっていくことはもはや必然だ。
GDPが縮小すれば、国際社会における存在感も低下し、日本の発言力は小さくなっていく。
さらに、農業人口が減った日本では、他国から食料を購入しなければならないが、稼ぐ力が落ちてくると、好きなものを好きなだけ輸入することもままならない。仮に農産物の生産国が不作に襲われ、食料を輸出できない状況に陥れば、日本の一部で「食糧難」が起きることも考えられる。
縮小するニッポンをどうすればいいのか。対策は多くはないが、その時を漫然と迎えるのではなく、今すぐ覚悟を決め、国を挙げて備える必要に迫られている。
全国の3戸に1戸が空き家になる
首都圏でも「限界団地」が広がる
年間死者数が170万人でピークに
高齢者数が4000万人でピークに
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