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ソフトバンク決算 営業利益50%増(「アフロ」より)
ソフトバンク、報じられない巨額損失…「投資会社化」の危険なリスク露呈
http://biz-journal.jp/2017/08/post_20349.html
2017.08.28 文=編集部 Business Journal
ソフトバンクグループ(G)は事業会社なのか、それとも投資会社なのか――。業績の解読がますます難しくなった。
ソフトバンクGは8月7日、2018年3月期の第1四半期(4〜6月期)決算(国際会計基準)を発表した。売上高は前年同期比3%増の2兆1860億円、営業利益は同50%増の4792億円。最終利益は同98%減の55億円だった。前年に計上した中国・アリババ集団などの株式売却益2042億円がなくなったため、大幅な最終減益となった。
今期からソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が連結対象になった。SVFはインターネット関連に出資する巨大ファンドで今年5月、930億ドル(10兆1000億円)規模で発足した。年内に1000億ドルの出資を目指す。
ソフトバンクG会長兼社長の孫正義氏は、“行動する国際的な投資家”ぶりをいかんなく発揮した。
米大統領に当選したトランプ氏といち早く会い、米国へ500億ドルの投資と、新たに5万人の雇用を生み出すと約束した。SVFが、その米国への投資の柱となる。
SVFを連結決算に組み込んだことが営業増益に貢献した。SVF事業は米半導体大手、エヌビディアの株価上昇による評価益を中心とするセグメント営業利益1052億円を叩き出した。5月にファンドの初回出資を完了した際、エヌビディア株式を取得したことを明らかにした。エヌビディアは自動運転車に使う半導体に強みを持ち、SVFは4000億円前後、4.9%出資している。
孫氏は決算発表の記者会見で、SVF事業について「順調にいけば、毎年数千億円の収益増に貢献するのではないかという気がする」と強気の発言をしている。
半面、最終利益は98%も減った。前年同期に英ARMホールディングス(アーム)の買収資金を捻出するため、中国IT大手、アリババの株式の一部を売却したからだ。今期は、その売却益がなくなったことに加え、2571億円のアリババ関連のデリバティブ損失を計上した。
孫氏は2571億円のデリバティブ損失について、アリババ株の変動に損益が左右される仕組みになっていて、前期からの3年間で損失の総額は、利益との相殺で9億ドル(約1000億円)と説明した。この特別損失について、突っ込んだ報道は見当たらない。
第1四半期決算は、投資案件によって巨額の評価益や評価損が出ることを実証したわけだ。このことがソフトバンクGの業績の解読をますます難しくさせている。
■米ケーブルテレビ、チャーターに買収提案
質疑応答では、米携帯電話大手スプリントと同業のTSモバイルUSとの統合交渉についての質問が集中した。スプリント事業の売上高は前年同期比4%増の9104億円、セグメント営業利益は同2.9倍の1319億円。通信網の品質を改善する投資を進めた効果が出たほか、割安な料金で新規顧客を獲得した。主力の後払い契約は、4〜6月は8万8000件の純増となった。
全社に占めるスプリント事業の割合は、売上高では41.6%だが、営業利益は27.5%にとどまるため、今後はアーム事業とSVF事業を主力に据える。
業績が持ち直したといっても、スプリント事業は米国では負け組だ。そこで孫氏は大型買収を仕掛けてきた。記者会見で質問が出た米携帯電話大手TSモバイルUSとの経営統合は、3年前に独占禁止法に抵触するとして立ち消えになっている。
新たに統合を検討しているのは、米ケーブルテレビ(CATV)大手チャーター・コミュニケーションズだ。スプリントはチャーターに合併を提案したが、チャーターは7月30日、スプリントが提案した合併案に反対を表明した。
だが、孫氏はチャーターの買収をあきらめてはいない。米通信社ブルームバーグは7月31日、孫氏がチャーターに対し直接、買収提案を行うことを検討していると報じた。
■バフェットを超える世界一の投資家になれるか
ソフトバンクGは今や、ベンチャー企業に投資する巨大ファンドである。同時に、通信、電子商取引など既存の出資先の運営にも関与する事業会社でもある。孫氏自身は「僕は事業家」と言い切るが、創業以来、三十有余年、2つの顔を使い分けてきた。
ファンド経営では投資先の株価の動きによって、業績は上昇したり下降したりを繰り返す。
孫氏に対する経済界の評価は真二つに割れている。
「孫さんはウォーレン・バフェットを超える世界一の投資家になる。間違いない」
みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長は7月28日、東京都内で開かれた催しで、孫氏を絶賛した。バフェット氏は「投資の神様」として名高い米国の投資家だ。
他方、ソフトバンクGの社外取締役である柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長は「日経ヴェリタス」(6月18日号)のインタビューで、こう苦言を呈している。
「彼には投資の才能があることは分かっている。だが、同じ才能を生かすなら投資家ではなく実業家として成功してもらいたい。本業に徹してもらいたい。孫さんはグループ会社を5000社にすると言っているが、僕は20〜30社にしてそれぞれが何兆円という売上高を持つ会社にしてもらいたいと思う。そうじゃないと実業家ではなく投資家になってしまう」
“孫氏の商法”の評価が定まるのは、もっと先のことになりそうだ。
(文=編集部)
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