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ボーナスない人はこんなに多い!公共料金&税金&社会保険料が次々と「ひっそり」値上げ!
http://biz-journal.jp/2017/08/post_20203.html
2017.08.16 文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー Business Journal
今年も猛暑が続いている。仕事から帰ったら、ビールと枝豆で一杯という方も多いだろう。
そんなささやかな庶民の楽しみを奪うかのように、6月1日、酒類の過度な安値販売を禁止する目的で「改正酒税法」が施行され、スーパーなどを中心にビール類の価格が10〜20%値上がりした。最近、2本目を開けるのをちょっとためらってしまうのは筆者だけではないはずだ。
■今年の6月以降、“ひっそり”と値上げされたモノは多い
値上がりラッシュは、ビールだけにとどまらなかった。原材料費や人件費高騰を背景に、バターやガス・電気料金、はがきの郵便料金(52円→62円)、タイヤなどが一斉に値上がりしたのだ。
日本郵便では今回の値上げに伴い、新たに62円切手が発売された。消費税増税以外の理由で値上げするのは約23年ぶりだというのに、インパクトは薄く、値上げは“ひっそり”と行われた印象を受ける。
このところ値上げが続くガス・電気料金も、大手14社(都市ガス4社)がそろって値上げ。電気料金の場合、標準家庭で月30〜60円、ガス料金の場合、標準家庭で月20〜25円に値上げされている。これからが夏場本番。クーラーなどが欠かせない季節に突入し、一気に電気代がかさむご家庭も多いだろう。
電力・ガス料金のプランの見直しも効果が高いが、エアコンをこまめに掃除するなど、すぐにできることもある。ちなみに、エアコンは立ち上がりの際に最も電気代がかさむので、こまめなオンオフは逆効果だそうである。
■夏ボーナスがない人が4人に1人!
モノが割安なデフレ社会に慣れた私たちにとって、物価が徐々に値上がりしていくと、防衛本能が働いてサイフのヒモも固くなる。物価上昇に連動して、収入も期待できるようなら気分も変わるのだが、どうもそううまくはいかないようだ。
日本経済新聞社が行った2017年夏のボーナス調査によると、全体の支給額は前年比0.44%減少となって81万8,845円。人手不足が深刻化する非製造業は、人材つなぎとめのために賞与アップを図ったものの、全体として支給額は減少した。
実は、国内上場企業の今年3月期決算の純利益は過去最高だったのだが、世界経済の先行き不透明感が強まったことで、企業は軒並み賃上げやボーナス増額に慎重な姿勢を見せたようだ。将来、万が一何かあったときのために財布のヒモを固くするのは、個人だけではなさそうである。
さらに、ボーナス制度自体がないという人もいる。ファイナンシャルアカデミーが実施したボーナスに関するアンケート(5月)によると、今年の夏のボーナスについて「支給されなかった・されない予定」「ボーナス制度がない」と回答した人が全体の約3割を占め、4人に1人が夏ボーナスの支給がないという。
さらに、「ボーナス制度がない」と回答した人は約2割にものぼる。業績が悪ければボーナスがもらえないどころか、制度自体がないのだから、当たり前に会社からもらえるものという認識を改めざるを得ない。
そして、みなさんの家計を直撃する引き上げや改正が8月以降も控えていることをご存じだろうか?
■「総報酬制」の導入で給与が高い人ほど負担が増える
まずは、40代から60代前半の現役世代に対する負担増についてみてみよう。
5月26日に今国会で成立した改正介護保険関連法では、40〜64歳の第2号被保険者が支払う保険料について、収入に応じて負担が増す「総報酬制」が導入されることになった。介護保険料は月給と賞与に、健保組合など医療保険者ごとに定める保険料率を乗じた額で計算され、その金額は国が各組合等に割り当てていた。
これまで、割当額は加入する第2号被保険者の人数(加入者割)で決められていたのだが、これが「総報酬制」に変更されるという。変更された場合、各医療保険者間での保険料率格差が是正される半面、平均賃金が高い人ほど負担が重くなる。
総報酬制は、大手企業の会社員が加入する健保組合、公務員の共済組合、中小企業の会社員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)の被保険者に適用される(自営業者らが加入する国民健康保険は適用外)。
ただし、「総報酬制」の変更で、負担が増えるケースばかりではない。一般的に、被保険者の給与水準が高い組合では負担増に、逆に低い被保険者が多い組合では負担減になる。
厚生労働省の試算では、負担増となるのは1,030の健保組合と84の共済組合、逆に負担が減るのは379の健保組合と1つの共済組合、協会けんぽだという。平均すると、1カ月当たり健保組合が727円、共済組合が1,972円の引き上げとなり、年間約8,700〜約2万4,000円の負担増。逆に、協会けんぽは241円の引下げとなる。
8月から切り替えを始め、2020年度には全面的に移行される。
また介護保険料だけでなく、04年から毎年0.354%ずつ上がり続けていた厚生年金の保険料率も9月から18.3%に引き上げられる。これが13年間続いた最後の引き上げで、今後は固定され、これ以上は上がらないと法律に明記されている(国民年金保険料は1万6,900円)。
■住民税課税世帯の「高額介護サービス費」の上限額が引き上げ
続いて、主に高齢者の医療費や介護サービス利用者負担がアップする改正についても見てみよう。
8月から「高額介護サービス費」の1カ月の利用者負担上限額(以下、上限額)が、「世帯員の誰かが市町村民税を負担している」世帯では、これまでの「月額3万7,200円」から「月額4万4,400円」に引き上げられる。
高額介護サービス費とは、介護保険の介護サービスを利用し、一定の自己負担割合の合計額が1カ月の間に上限額を超えた場合、払い戻される制度だ。上限額は、所得によって決められており、今回改正されたのは第4段階の「一般」の所得に区分されている世帯となる。
ただし改正では、経過措置として新たに自己負担額の年間(前年の8月1日から7月31日までの間)の合計額について、44万6,400円(従前の月額上限3万7,200円×12カ月分)の負担上限額を設定することになっている(3年間の時限措置)。
■介護費用ばかりでなく医療費も!「高額療養費」の上限額も引き上げ
さらに、同じく8月から介護費用だけでなく、医療費が高額になった場合に払戻しが受けられる「高額療養費」の70歳以上の自己負担も引き上げられる。
まず17年8月から18年7月までの1年間の診療分については、
•「現役並み」の外来上限額が「4万4,400円」→「5万7,600円」
•「一般」の負担額が、外来が「1万2,000円」→「1万4,000円」、入院が「4万4,400円」→「5万7,600円」
続いて、18年8月分からは、
•「現役並み」については、外来だけの上限額が廃止
•「現役並み」については、年収による区別および上限額が69歳以下と同じになる
•「一般」の外来について、上限額が「1万4,000円」→「1万8,000円」
要するに、住民税がかからない低所得者以外の世帯は軒並みの負担増になるわけだ。高額療養費については、70歳未満の改正が15年1月に行われたばかり。70歳以上が改正されるのも時間の問題と考えられていたが、制度が変わったことを知らない人も多い。急に負担が多くなって慌てないよう注意したい。
■高所得者の介護保険の自己負担も「2割」から「3割」にアップ
介護保険は、今年だけにとどまらず、前掲の改正介護保険関連法では18年8月以降、所得の高い65歳以上(第1号被保険者)のサービス利用者負担が3割になることも盛り込まれている。
基準は、合計所得金額220万円以上、年収340万円以上(年金のみなら344万円以上)の場合で、負担増となるのは約12万人。受給者全体の3%程度と見込まれている。
65歳以上の利用者負担については、前回の14年改正によって15年8月から、一定以上所得者(原則、年間所得金額160万円以上)の場合、「2割」負担に引き上げられたばかり。今回は、この2割負担者のなかから、さらに所得が高い人が3割負担者の対象となる。
実際に介護を行っている介護者に聞くと、介護費用で最も負担に感じるのは、この自己負担分だと言う。1割でも負担に感じているものが、2割、3割となったら、どうなるのだろうか?
■公的制度の限界とそれを補てんする自助努力の必要性
現在の日本の超高齢社会と少子化の状況を踏まえると、税や社会保障などの負担増は免れないと思うものの、相次ぐ負担増のスピードはあまりにも早い。今のところは、現役世代や所得の高い高齢者など、「取れるところ」が優先されているが、徐々にその範囲が広まっていく可能性もある。
医療保険や介護保険、年金保険など、私たちの保障のベースとなるのは、公的制度であることに変わりはないが、限界もある。これらの改正を鑑みるに、徐々に自助努力の割合を増やしていかざるを得ないことを痛感している。
(文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー)
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