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大手ハウスメーカーもだまされてしまった手口とは?(写真 : Graphs / PIXTA)
積水ハウスまで騙された「地面師」暗躍の実態 3Dプリンタで実印すら完全偽造される時代に
http://toyokeizai.net/articles/-/183621
2017年08月09日 長嶋 修 :不動産コンサルタント(さくら事務所 会長) 東洋経済
大手ハウスメーカーである積水ハウスが、東京・五反田駅近くの土地を購入のために63億円を支払ったにもかかわらず、土地の所有者側の提出書類に真正でないものが含まれていたことを理由に法務局に登記を拒否され、その後売り主と連絡が取れなくなっているという事件が、業界を揺るがせている。
「地面師」がまた少しずつ暗躍している
この犯罪行為の主役は、他人の土地を自分の物のように偽って売買するよう仕向けカネをだまし取る、いわゆる「地面師」だ。地面師は土地価格の上昇が続いたバブル景気のときに多く跋扈(ばっこ)していたが、その後は不景気の影響もあり存在感を薄めていた。しかし、最近の金融緩和政策に伴う土地取引の増加によって、また少しずつ暗躍するようになっている。
事件を受け、筆者の下に各メディアから「プロでもだまされてしまうものなのでしょうか?」という問い合わせが相次いだ。答えは「YES」だ。不動産取引のプロでも見抜けないほど、最近の地面師の手口は巧妙化している。
印刷技術の発達もあり、パスポートなどの偽造は以前に比べてますます容易になっている。陰影がわかれば、3Dプリンタを用いることで実印すら偽造することも可能だ。仮に偽造が見抜けるとしても、過去にはこうした書類を受け取り登記申請を行う司法書士が、地面師グループとして関与し逮捕された事件もあった。
地面師は単独で動くことはなく、大抵の場合、グループで行動する。今回の事件で売り主を装い、偽造した印鑑登録証明やパスポートを携えて取引の場に登場した人物は、どちらかといえば脇役だろう。主犯は、裏でこの事件全体をプロデュースした者だ。
このプロデューサーは、売り主を装った人物のほか、パスポートなどを偽造する者などをまとめ、事件のストーリーを仕立てる。前述したとおり取引に携わる不動産業者や弁護士までグルになっていることもある。少しでも取引に関係するプレーヤーはなるべく味方側であるほうが、成功の可能性が高まるためだ。今回の事件詳細については各種報道に譲るとして、ここでは一般論として、こうした事件に巻き込まれないためにはどうしたらいいか、考えてみよう。
まず、自分が所有する不動産を勝手に売却されてしまう可能性について。狙われやすいのは、たとえば都心の超一等立地など、誰もが欲しくなるような物件だ。必然的に取引価格は億単位となる。
地面師グループもリスクを冒して犯罪を行うわけだから、同じリスクでなるべく多く稼ぎたいと考える。またこうした魅力的な物件を、やや相場より安い価格で買い主に提示することによって、迅速な犯罪遂行のために契約を急がせたり、契約内容についてあまりうるさいことを言わせないといった土壌づくりを行う。
また、建物のない更地か、建物が立っていても所有者がそこに住んでいないことが望ましい。買い主が現地を訪れた際などに、売り主と買い主が会ってしまえば、自分が偽売り主であることを見抜かれてしまう。
都心物件であれば、地方や海外に居住する売り主であることが望ましい。取引関係者は少しでも少ないほうがリスクが減るため、また自身らの手取額が減ることを嫌って、金融機関が関与する抵当権が付いている不動産も避けられがちだ。
偽造を見抜けなければお手上げ
しかし、勝手に売却されてしまうのを完全に防ぐことは難しい。権利書や印鑑証明書、実印、そして身分証明書の4点セットを偽造され、それを買い主が見抜けなければお手上げだ。
毎年4〜5月に送られてくる固定資産税の納税通知書が届けば、それは自分から他の誰かに所有権が移転していない証しにはなるが、納税通知書は1月1日時点の所有者に対し自動的に送られてくるため、数カ月のタイムラグの間に売られてしまったら、気づくことは遅れる。そもそも納税通知書が送られてくることで確認できるのは年1回だ。心配なら頻繁に法務局に通い、登記情報に変化がないか確認するしかない。
本人が契約にかかわっておらず、勝手に転売されたということが明らかになれば、その契約は無効であり、所有権は取り返せるが、印鑑登録カードや権利証などの保管について過失を問われる可能性はある。
せめてできることとして、上記の4点セット(印鑑証明書の場合は取得するための印鑑登録カード)について、別々の場所で管理・保管しておくのがよいだろう。重要なものはひとまとめにして管理したくなるが、保管場所を分散することも盗難や偽造を防ぐ一定のリスクヘッジにはなる。
売り主の成り済ましを防げるかどうかは別問題
次に、今回の積水ハウスの事例のように、偽の売り主から不動産を買ってしまう可能性について。一般的な不動産取引の慣行では、契約の前に売り主・買い主が会うことはない。それでも、「事前にお会いしたい」と交渉してみる手はあるだろう。しかし、このときに、売り主の成り済ましを防げるかどうかは別問題だ。
偽売り主は、生年月日や親族の名前・住所、その不動産の経緯をはじめ、聞かれそうなことはあらかじめ想定問答を行っている。そして、前述したとおり、各種書類は精巧に偽造されている。取引物件の現地で面会する際には、近所の知り合いを装った者が偶然通りかかったように見せかけ、売り主に対し、以前から知り合いであったかのように会話させるといった手を使われることもある。
また、登記についての業務を行う司法書士が、どの程度の保険に加入しているかを確認するという手があるだろう。万が一、司法書士が業務に関する事故を起こしてしまった場合には、業務賠償保険に加入していれば1000万円を限度として保険金を受け取ることが可能だ。さらに、不動産という高額の財産を扱う関係で、1000万円では足りないと判断している司法書士は、別途、億単位の保険に加入していることも多い。金銭的リスクの軽減につながることとして、きちんと確認しておきたい点だ。
宅建業者にも、法律上の損害賠償請求に備え、限度額5000万〜1億円の業務賠償保険が存在する。ただし加入は任意であるため、加入の有無や条件を確認するといいだろう。
いずれにしてもこうした犯行の対象物件となるのは、誰もが欲しがるような物件であることが通例だ。地面師グループは犯行をできるだけ早期に遂行したいゆえ、契約や決済をせかせる必要があるため。したがって「なんとなく契約をせかされる」「なんとなく不自然なところがある」といった違和感を感じた場合には、いったん立ち止まることも必要だろう。
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